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●情報収集事業
調査団名:アジア・大洋州F班
対象国:ウズベキスタン
調査分野:鉄道
調査期間(日数):14.2.21〜3.10(18)
 
【調査の概要】 アングレン―パップ間鉄道新線建設計画
 
(拡大画面:55KB)
 
背景
 1991年にウズベキスタン共和国が旧ソ連より独立した際、ウズベキスタン鉄道網は隣国を通らなければ繋がらない地域が発生した。本プロジェクト対象地域もその1つで、首都タシケント―フェルガナ渓谷間が隣国タジキスタンを通過して接続されている。本プロジェクトはウズベキスタン国の鉄道新線建設優先順位第3位であり、第1位のUchkuduk−Navoi間鉄道新線建設は終了し、2002年5月には営業開始の予定である。そして第2位のGuzar−Kumkurgan間鉄道新線は工事着工している。この3線完結によりウズベキスタン鉄道ネットワーク統一がほぼ完成することになる。
 1994年のPre−F/Sはウズベキスタン鉄道(UTY)によりおおよそのルート選定と積算が行われた。その後政府により2001年〜2005年の5カ年計画に含まれたが、進捗は無い。
 他の交通手段としてはクラミンスキー山脈のカムチック峠を通る山岳道路があるが、高低差が1,500mあり大量輸送には適さず、冬場の積雪により閉鎖されることがある。タジキスタンとの国境を閉鎖された場合、輸送機関が利用できなくなることによりフェルガナ渓谷地域は孤立する恐れがある。
 UTYは、タシケントとフェルガナ渓谷を直結するためタシケントより東l14kmまで延びているアングレン駅からその東に位置するナマンガン−コカンド線のパップ駅をつなぐ新線建設を計画している。
 アングレン−パップ間は全長約162kmでクラミンスキー山脈を横切る。高低差の緩和、冬場の積雪による閉鎖回避のためにもトンネルにより通過する必要がある。新線建設により輸送距離が約123km短縮し、輸送時間短縮、運転費用の削減、タジキスタン国通行料支払いが不要になることによる外貨節約など大きな経済効果をもたらす。
 
現況、問題点
1)1993年内閣府令によりTashkent−Angren, Fergana地域の電化が計画された。
2)1994年のPre−F/Sは、大まかなルート選定と積算を行った程度であるため、より詳細なF/S調査が必要である。
3)Angren駅付近に炭鉱があり、迂回する必要がある。
4)総事業費は、2,137百万ルーブル(1991年価格)と見積られているが、事業関係者はこの積算は問題があり、見直しが必要である、と認識している。
5)将来建設されるであろう大陸横断鉄道(欧州−中央アジア−中国)の通路として多大な経済効果が生まれることが予想される。
 
所見
 UTYは円借款のみでなく日本の山岳鉄道建設技術の活用を希望していること、JETROによるF/Sの作成を希望していることを考慮すると円借款供与への期待は大きい。
 
アンダレン駅とパップ駅を往復するオイルタンクローリー
 
パップ駅(ナマンガン方を見る)
  







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