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5. 海外調査ニュース
●情報収集事業
調査団名:アジア・大洋州D班
対象国:インドネシア
調査分野:鉄道
調査期間(日数):13.11.27〜12.11(15)
 
【調査の概要】 インドネシア国パンジャン―バカウヘニ間鉄道新線建設計画
 
(拡大画面:115KB)
 
背景
 ジャワ島とスマトラ島間の旅客輸送は、航空機とフェリーがある。そのうちフェリーを使用するルートであるジャワ島各地―メラク港、バカウヘニ港―スマトラ各地間はバスが主な輸送手段となっている。バスの乗車率は既に飽和状態であり、また道路渋滞も発生し、その結果道路の傷みが著しく、道路補修費が膨大になっている。
 理由としてスマトラ島のフェリー乗場バカウヘニ港から南スマトラ鉄道の起点であるパンジャン駅まで(約80km)の鉄道が無いことがあげられる。そのためか、ジャワ島におけるジャカルターメラク間の鉄道利用客が少ない。そこでジャカルタよりスマトラ島各地、スマトラ島各地よりジャカルタヘの乗り継ぎを少なく移動がスムーズに行えるようバカウヘニ−パンジャン間を鉄道で繋ぐことが求められている。鉄道、フェリーがリンクすることによりバスから鉄道主体となり交通渋滞緩和、旅客安全性の向上、大気汚染防止、移動時間短縮と道路補修費等の低減が見込まれる。
 以上のような背景からインドネシア運輸省陸運局はバカウヘニ−パンジャン駅間の鉄道新線を計画している。
調査内容
1)現地調査
 今回の新線建設の起点であり、既設線との接続点となるパンジャン、フェリーの着くバカウヘニ、メラク両港を現地踏査し、既存の交通機関の状況を視察した。
 メラク−バカウヘニ間の海上輸送は、フェリーと高速船が受け持っている。フェリーにはスマトラ島内各所からバスを利用してバカウヘニ港で乗り換える乗客の他、バスのままフェリーに乗りジャワ島各地へ向かう乗客も多い。それは両港での乗り換えが煩雑なこと、鉄道駅のあるタンジュンカランからバカウヘニ間に鉄道など他の手段がないためである。バスごと乗り込む場合、乗船時間が3時間かかる他、港での待ちの時間もあり、また同区間は道路渋滞がひどく、通過にさらに時間がかかるようである。
 一方で高速船は1時間程度で同区間を結んでおり、需要も高いようである。現在両港において我が国の円借款供与による港湾設備の改良工事が行われており、フェリー埠頭も整備されつつある。なお、ジャワ島の玄関口メラクにはフェリー連絡に適した位置にメラク駅があるものの、ジャカルタからの直通急行は1本/日であり、枝線への旅客もあるため乗客は少なかった。
2)関係機関へのヒアリング
 鉄道新線建設を計画しているDGLC(インドネシア運輸省)より、計画案の内容と今後の手順について、また、フェリー公社メラク事務所を訪問し、現在のフェリーの運航状況と今後の増便や施設改良の計画についてヒアリングを行った。
 DGLCによると、同区間新線プロジェクトについて非常に必要性が高いと考えており、今後、プロジェクト実施に向けて検討する用意であるとの見解を示した。同省によってF/Sが行われ、インドネシア政府に認められた場合、新線の建設費を我が国からの円借款等によって調達する可能性が高いものと思料する。
 
メラク駅構内
 
バカウヘニ港桟橋
  







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