日本財団 図書館


鹿児島県の運輸と観光
特集 鹿児島県の運輸と観光
鹿児島県 交通政策課、観光課
道路建設課、港湾課
 
[1]はじめに
 鹿児島県は、我が国本土の西南部に位置し、面積は約9187km2で全国第10位であり、人口は、平成15年1月1日現在で約177万9千人(推計人口)となっている。
 県域は、太平洋と東シナ海に囲まれた南北600kmにわたり、この県土の広がりの中に、世界遺産に登録されている屋久島をはじめとする特色ある多くの島々や、霧島・桜島などの火山、変化に富んだ長い海岸線や豊富な温泉など、多彩で豊かな自然に恵まれている。
 また、県内には、獅子島、甑島、種子島、屋久島、トカラ列島、奄美群島など数多くの離島があり、面積として、本県総面積の約27%と大きな比重を占めている。
 鹿児島県では、平成13年度から22年度を計画期間として、「共生ネットワークで築く心豊かで活力あふれる『かごしま』」を基本理念とする「21世紀新かごしま総合計画」を平成13年1月に策定した。
 同計画においては、人、物、情報等が活発に行き交う「交流連携で伸びゆく魅力あふれる南の拠点『かごしま』」の実現を目標のひとつとして掲げており、現在、九州新幹線、高規格幹線道路、航空路線、航路など、国内外を結ぶ高速交通体系の整備等に向けて、各般にわたる施策を積極的に推進している。
 
[2]鹿児島県の運輸について
(1)旅客・貨物流動の現状について
 当県における旅客流動量は、平成12年度で約11億人となっているが、ほとんどが県内の流動である。約4500万人いる県外流動については、宮崎県がその半数近くを占めており、続いて熊本県となっているが、東京都や大阪府など大都市圏との流動も多く見受けられる。輸送機関別に見ると自動車、鉄道、旅客船、航空の順となっているが、全国平均や九州平均と比較しても、自動車への依存度が高いことがうかがえる。
 一方、貨物流動については、平成12年度で約1億6千万トンで、うち68%が県内相互、23%が本県発、9%が本県着の貨物となっており、県外では宮崎県、福岡県が多くなっている。輸送機関別では、旅客流動と同様、自動車が大きな比重を占めているが、多くの離島を有することから、他県と比較して海運の占める割合が大きくなっている。
 
(2)航空について
(1)鹿児島空港の概況
 鹿児島空港は国管理の第2種空港であり、昭和47年4月に、鹿児島市内から現在地(溝辺町)に移転して、開港した。
 
輸送機関別旅客流動
 
輸送機関別貨物流動
 
 鹿児島空港は、開港以来、施設や空港機能の整備・拡充が進められてきており、昭和55年には滑走路が2500mから3000mに延長された。また、昭和57年に国際線旅客ターミナルビルが、昭和63年に新貨物ビルが、平成10年に鹿児島空港事務所の新庁舎が、それぞれ完成している。運用時間については、平成4年に現在の14時間に延長された。また、航空路線の拡充も着実に進められてきており、平成14年の乗降客数は、国内線、国際線合わせて約624万人と開港以来最高となるなど、南九州の拠点空港として発展を続けている。
 
(2)国内路線の概況
 鹿児島空港の国内路線は、東京、大阪をはじめ、福岡、名古屋、那覇空港等の県外空港と鹿児島空港を結ぶ路線が13路線、奄美大島や屋久島等の県内離島空港と鹿児島空港を結ぶ路線が7路線の計20路線(約90便)が運航されており、県内外と緊密な航空ネットワークが形成されている。
 
空港位置と航空路線網図
(拡大画面:195KB)
 
船舶乗降人員・自動車航送台数
(拡大画面:38KB)
 
 国内線の乗降客数は、平成14年には、約615万人と開港以来最高を記録した。特に平成14年4月に新規航空会社が参入した鹿児島・東京線は、対前年比1割増の約235万人と大幅に増加した。
 
(3)国際路線の概況
 鹿児島空港には、現在、平成2年5月に開設された鹿児島・ソウル線(週3便)と、平成14年8月に開設された鹿児島・上海線(週2便)の2つの国際定期路線が就航しているほか、国際チャーター便が、アジアを中心に、世界各地に向けて運航されている。
 国際線の乗降客数は、平成12年に過去最高の約9万4500人を記録した。平成14年の乗降客数は約9万1500人であったが、このうち、国際定期路線の乗降客は約7万8400人と、国際定期路線の乗降客数としては、過去最高となった。
 国際航空路線に関しては、県や関係する航空会社、旅行エージェント等で「鹿児島空港国際定期路線利用促進連絡会」を組織し、南九州地域の国際交流を促進するツアー助成事業を実施するなど、鹿児島空港の国際定期路線の利用促進に努めている。
 
(4)離島航空路線
 県内には、鹿児島空港のほかに、種子島、屋久島、奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の7つの離島に、それぞれ県管理の第3種空港が設置されている。
 この内、奄美空港と徳之島空港は2000mの滑走路を有し、ジェット機が就航している。その他の空港は、滑走路が1200mから1500mであり、プロペラ機が就航しているが、種子島においては、平成18年の供用開始を目指して、滑走路2000mを有する新空港の建設を推進している。
 離島空港には、鹿児島空港との間や離島間を結ぶ航空路線が開設されているほか、県外の空港とを結ぶ路線として、奄美空港には東京、大阪、沖縄路線が、種子島空港には大阪路線が、与論空港には沖縄路線が、それぞれ開設されている。
 離島航空路線は、離島住民の生活や産業活動にとって極めて重要な交通手段となっているが、一般的に運航距離が短く、需要が少ないため、採算性の面などで大きな課題を抱えている。このため、当県としては、離島航空路線の維持・確保を図るために、国と協調して、離島航空路線に係る運航費補助をはじめ、航空機購入費補助や着陸料の軽減措置などの支援策を講じてきている。
 また、今後、離島空港には、現在運航しているYS―11型機(64人乗り)の後継機として、新たに、より高速で快適性に優れたDASH8―400型機(74人乗り)が就航する予定である。
 
鹿児島空港の航空旅客の推移
(拡大画面:105KB)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION