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Column
わたしの天職
長崎自動車株式会社
観光バスガイド
蔭平 美絵
 
 私の観光バスガイドになりたいとの思いが芽生えたのは、小学生の頃。私と母、伯母の三人は、よく弊社の企画するツアーに参加しておりました。その都度、出会ったガイドさん達の笑顔、心配りなど品の良さに魅了され、子供ながらに自分も大人になったら、こういう女性になりたいという一種の憧れが心に深く刻まれたのです。
 さて、私もそろそろ就職を考え始める高校生となり、楽しい思い出づくりの修学旅行先では、新人ガイドさんが観光地の案内文を忘れてしまったり、私たちの質問にうまく答えられなかったり、大変な緊張の中、悪戦苦闘されている姿があり、外見は、華やかではあるものの、とても難しい、でもやり甲斐のある職業として、これが私の天職だとの思いを益々抱くようになったのです。
 いざ、就職という段階になって、いろいろ悩み、家族、友人、先生に相談致しましたが、最終的には、「やっぱり、思い続けたガイドになりたい。」との思いが全ての不安を吹き払い、観光バスガイドヘの道、扉を開くこととなりました。
 あれから二年、観光バスガイドとなって感激したこと、困ったことをあげれば枚挙にいとまがありませんが、例えば、感激は、私自身の拙い観光地案内に対しても、お客様からお褒めの言葉、お手紙、色紙等いただくことであり、つらい時など、そのお手紙を読み返すことで、自然とやる気が出てくるのです。そして、お客様にもっともっと喜んでいただきたいとの思いから、勉強にも更に熱が入ることとなります。
 単に、観光バスガイドとは、観光地案内をするだけにとどまらず、礼儀や作法を身に付け、人とのかかわりの中にこそ、人生の素晴らしさがある事を実感できる職業であり、魅力ある女性となるべく、努力しなければなりません。
 困ったことといえば、私が観光バスガイドとしての経験が浅いため、今でも、お客様が何を求めていらっしゃるかに、戸惑いを感じながら接している点です。一団体ではなく、いろいろなお客様が混在するツアーバスにおいて、個々のお客様のニーズになかなか応えられないジレンマが存在することです。
 
 今はまだ、案内もお話もままならず、お客様全員にご満足をいただけるには、はなはだ力不足でありますが、すこしづつでも、成長し、お客様とともに、心の通った感動を追い求めていきたいと思っております。
 観光の一翼を担う職業でありますが、決して肩に力を入れず自然体で、憧れの品のある優しい女性となれるよう、これからも努力していきたいと思っております。
 







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