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特集 長崎県の運輸と観光
長崎県交通政策課・新幹線建設推進室
観光課・道路維持課・港湾課
 
[1]はじめに
 長崎県は、陸地は平地に乏しく、いたるところに山岳や丘陵が起伏し、海岸線は多くの半島、岬と湾、入江から形成されており、海岸線の延長は約4178kmにおよび、北海道につぎ全国第二位の長さを誇っている。
 東は島原半島に突出し、有明海を隔てて、熊本県、福岡県と接し、南は長崎半島が天草灘にのぞみ、西海上には五島列島が、西北海上には壱岐及び対馬があり、朝鮮海峡のかなたに韓国を望んでいる。
 北は国見山、多良岳の山系をもって佐賀県と分界をなしている。
 また、本県は大小594の島を有し、その内74が有人島であり、県土の約44.6%を占め、県民の約14.9%が生活している。
 歴史的に見ると、1635年から200有余年続いた鎖国政策の中で、日本が唯一海外(オランダと中国)へ開いた窓として存在し、今日の異国情緒溢れる国際観光都市長崎を形成していった。
 さらに、本県はアジア諸国と近距離に位置しているが、特に国境の島対馬は韓国まで最短距離49.5kmであり、対馬ではこうした地の利を活かした韓国との国際交流が盛んである。
 観光について見てみると、グラバー園、孔子廟、興福寺などの歴史的観光資源、四季折々の姿を楽しむことができる九十九島、「人と自然の共存」を基本理念としたテーマパークのハウステンボスなど、魅力に富んだ観光地である。
 食に関しては、全国有数の水産県である本県は海の幸が豊富であり、訪れた人々の舌を楽しませてくれる。
 このように、豊かな観光資源、自然の恵みを有する長崎県の県政運営の羅針盤として、平成12年8月に「長崎県長期総合計画(21世紀への羅針盤)」を策定し、基本政策で、
・地域の新たなコミュニティづくりと地域間交流の推進
・総合交通ネットワークの充実
・美しい「しま」づくり
等をかかげ、21世紀の社会を展望し、質の高い豊かさを実感できる県民生活の実現と、活力ある県土づくりに取り組んでいる。
 
[2]長崎県の運輸について
(1)貨物流動の現状について
 国内貨物流動量については、平成11年度が約1億3千7百万トンであるが、輸送機関別ではトラック輸送が82%弱を占めて最も多く、次いで内航海運が18%弱となっており、鉄道輸送と航空機輸送が占める割合は非常に少ない。
 また、本県における貨物流動量は九州全体(沖縄県を除く)の約9.2%であるが、その特徴として、内航海運による輸送割合が大分県に次いで2番目となっている点があげられる。
 
(2)航空について
(1)長崎空港の概況
◆施設概況
 長崎空港は、本土側のA滑走路(旧大村空港)と、いわゆる世界初の海上空港としてのB滑走路の2本の滑走路があり、昭和50年5月にB滑走路が供用開始されてからは、民間の定期航空路としての航空機の離発着はすべてB滑走路において行われている。運用時間については、平成10年7月17日から14時間(7時30分〜21時30分)運用がなされている。
 長崎空港のB滑走路は、大村湾内の大村市箕島(北緯32度54分、東経129度54分)にあり、本土側とほぼ平行に1km、南側滑走路端からの飛行コース延長線上約11kmは海で隔てられている。
 
長崎発着貨物流通量(輸送機関別)
 
長崎空港の概要(B滑走路) 主な諸元
設置者及び管理者 国土交通省
位置 長崎県大村市
標高 +2.5m
空港敷地面積 1,756千m2
基本施設 滑走路 長さ3,000m×幅60m
着陸帯 長さ3,120m×幅300m
誘導路 長さ3,320m×幅9m、23m、28.5m、34m
エプロン 10バース
〃(小型機用) 5バース
保安施設 無線 ローカライザー、グライドパス、VHF全方向レンジ距離測定装置
航空灯火 進入路指示灯、進入角指示灯、滑走路灯、滑走路末端灯など
駐車場 普通車 804台
身障者用 8台
大型車 23台
 
◆国際路線概況
 長崎空港発着の国際定期航空路線は、上海線(浦東空港)とソウル線(仁川空港)の2路線であり、それぞれ週2便ずつ運航されている。
 上海線は、昭和54年9月に開設されており、すでに就航から22年を経過している。この間、長崎と中国の400年以上にわたる交流の歴史と、日中国交回復以前からの友好・親善関係に支えられて発展をとげるとともに、一昨年9月から中国からの団体観光ビザが解禁されたことで、中国からの観光客も着実に増加している。
 ソウル線は、昭和63年12月に開設され、今年末で就航14年目を迎えることとなるが、平成9年6月〜11年12月中旬まで1年半の間、韓国経済の深刻な低迷により運休する事態も経験しているが、運航再開後は、平成13年3月末から機材が大型化された効果もあって、旅客数は堅調な伸びを見せている。
 
 また、国際チャーター便については、近年、香港や台湾から団体観光ツアーの来訪が好調であり、本県観光の国際化や県民レベルでの交流の進展に大きく貢献している。
 長崎発のチャーター便については、高校の修学旅行が主体となっており、北京・天津や上海など中国向け運航が大半を占めている。
 
◆国内路線概況
 現在の国内定期路線及び便数は、東京、大阪、名古屋の国内主要都市を結ぶ路線をはじめ、宮崎、鹿児島など九州内の路線、さらに五島、上五島、小値賀、壱岐、対馬と県内離島とを結ぶ路線があり、12路線37便での運航がなされている。
 国内定期便の乗降客数は(離島路線を合む)は、平成13年度において274万人を数える。
 
◆利用促進
 長崎空港の一層の利用を図るため、長崎空港離発着の航空機利用回数に応じた特典を得られる「長崎空港ファンクラブ」が平成13年10月に設立された。ファンクラブ会員の加入は順調であり、平成14年3月末において、会員数(家族会員を含む)は7500を超えている。
 長崎空港ファンクラブの実施主体である長崎県地域振興航空基金により、長崎空港ファンクラブを含む国内線・国際線・離島路線の総合的な利用促進対策が講じられているところである。







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