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私はこう考える【イラク戦争について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/03/21 読売新聞朝刊
[社説]米攻撃開始 イラク戦争の早期終結を望む
◆非はイラクにある
 米攻撃開始 イラク戦争が始まった
 イラクと米英軍などの双方に多くの犠牲が出ることが予想される。極めて残念な事態だ。
 だが、やむを得ない。一日も早く戦闘が終わり、平和が戻ることを切望する。
 フセイン政権は、一刻も早く降伏すべきだ。
 今回の武力攻撃は、フセイン政権が湾岸戦争から今日までの十二年間、再三にわたって国連決議を無視し、国際社会を欺き続けたことの帰結である。
 湾岸戦争の停戦の際、フセイン政権は大量破壊兵器の廃棄を義務付けた国連決議を受け入れた。しかし、その後は義務を履行せず、一九九八年から四年間は、国連の査察も拒否した。
 国連安全保障理事会は昨年十一月に、義務履行の最後の機会をイラクに与える決議を全会一致で採択した。それにもかかわらず、イラクは、小出しに協力のポーズを繰り返すだけで、大量破壊兵器の廃棄を証明しなかった。
 米英両国とスペインが、国連安保理での新たな決議の採択を断念したことをもって、武力行使を「国際法違反」とする批判が、今なお内外に少なくない。
 湾岸戦争以来の経緯を踏まえれば、そうした批判は当たらない。一連の安保理決議の有効性を指摘して「武力行使の法的根拠はある」とする、米英両国の主張に理がある。
 米軍は、巡航ミサイルなどによるイラクの軍事施設爆撃に続き、今後、大規模な空爆や地上軍の進攻などで、短期間にフセイン政権を壊滅させる構えだ。一方、フセイン大統領は、市街戦に持ち込んで徹底抗戦する姿勢を見せている。
 フセイン政権下の四半世紀、イラク国民は、独裁者の専制支配の下で苦しんできた。戦争は誰も好まないが、これを機に、一日も早くイラク国民が圧政から解放され、自由で豊かな国づくりに踏み出す時が訪れることを期待したい。
 四十か国以上が、今回の米国の行動を支持している。米国が国際社会で孤立しているわけではない。
◆国際協調の拡大を
 しかし、湾岸戦争に比べ、武力行使に対する国際社会の支持が少ないことも事実だ。湾岸戦争の多国籍軍に加わったサウジアラビアやエジプト、シリアといった中東諸国の名前も、支持国のリストには見当たらない。
 大量破壊兵器が危険な独裁者やテロリストの手に渡れば、国際社会にとって深刻な脅威となる。米国は、そうした観点から、武力行使によるイラクの早期武装解除の必要性を訴えてきた。
 それに対して、仏独露などが異論を唱えたのは、「イラクはまだ切迫した脅威ではない」といった見方と共に、国内事情や国益を考えた結果だろう。
 国際社会の足並みの乱れは、国際協調が必要な戦後復興や、世界の平和と安定のための今後の秩序づくりに、悪影響を与える。
 国際社会は、イラク問題の本質がどこにあるのか、もう一度原点にかえって認識を共有する必要がある。米英両国も、国際社会に支持を広げる努力を怠ってはならない。
 日本政府は、米国支持の方針を改めて表明した。邦人保護や被災民への人道支援、在日米軍施設などの警備態勢の強化など五項目の対処方針も決定した。
 イラク攻撃の今後の展開によっては、デフレに苦しむ日本経済に、深刻な影響が及ぶことが予想される。政府と日銀は市場の動向などを注視しつつ、あらゆる手だてを迅速に講じ、混乱回避に全力で取り組む責任がある。
 戦後復興への支援策も、今から準備しておくべきだ。とくに自衛隊を派遣する法制の整備を急ぐことが必要だ。戦後のイラクには、米国を中心とした多国籍軍の駐留が予想されるが、現行の国連平和維持活動(PKO)協力法では、日本は参加できない。
 中東地域の平和と安定に貢献することは、石油の九割近くをこの地域に依存している日本の国益にかなう。
 国内には、米国支持の政府方針に対して、「米国追随だ」などとして反対する声が根強い。
◆日米同盟堅持が国益
 日本にとって、核開発を進める北朝鮮の脅威は強まりつつある。ソ連の崩壊で周囲に脅威となる国がなくなった仏独などとは、安全保障環境が全く異なる。「戦争はイヤ」といった感情論で日本の進むべき道を選択すれば国を誤る。
 非がイラクにあることと併せ、日本の安全保障にとって米国との同盟が死活的重要性を持っていることを踏まえた対応でなければならない。
 一昨年の米同時テロを境に国際情勢は大きく変化した。だが、国際社会の新たな秩序づくりはなお不透明だ。そうした現実を踏まえれば、なおさらである。
 まず日米同盟を一層強化した上で、国際協調の再構築に全力を挙げる。国益の観点からは、それこそが、日本が基本とすべき対外戦略である。
 
 
 
 
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