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私はこう考える【イラク戦争について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2002/12/30 毎日新聞朝刊
[クローズアップ2002]民主帝国アメリカン・パワー(その1)
 
<第1部 イラクとの戦い>
◇タカ派の影、じわり−−ネオ・コンサーバティブ(新保守主義)
 ブッシュ政権は、国際的な懸念を押して、なぜイラク攻撃に傾斜するのか。よく指摘されるのは、イラクの大量破壊兵器の脅威やイラク石油への思惑だが、ネオ・コンサーバティブ(新保守主義)と呼ばれる米国のタカ派組織の台頭も重要な要素になっている。ネオコンは60〜70年代に米民主党の対ソ連、対イスラエル政策への反発から同党を離党した人たちが源流だ。ネオコンの実態と影響力を探った。
◇中東の民主化、掲げ 政権首脳と定期的に接触−−イラク攻撃
 11月15日、ホワイトハウスのルーズベルト・ルームを10人ほどの男性が訪れた。イラク攻撃を求める組織「イラク解放委員会」(CLI)の幹部たちで、大学教授や元下院議員も含まれていた。
 応対したライス大統領補佐官は、一行に約束した。「イラクを攻撃する場合、フセイン政権を倒しただけで米軍が撤退することはない。必ず民主化する」
 同組織の目標は、フセイン政権の打倒を突破口に、中東を「民主化」することで、そのためには米軍の力が必要だ。米軍の「長期駐留」を示唆するようなライス氏の発言は、大きな得点だった。
 ランディ・シュネマン会長は、かつてラムズフェルド国防長官の顧問を務め、多くの政府高官と旧知の仲だ。イラクの地図を壁に張った事務所で「電話は向こう(国防長官)からもかかってくる」と政権への影響力をさりげなく口にする。
 ネオコンのもう一つの代表的組織「アメリカ新世紀プロジェクト」(PNAC)は、イラク解放委と多くのメンバーが重なっている。新世紀プロジェクトは98年1月26日付でクリントン大統領(当時)に一通の書簡を送った。
 「大統領。フセイン(イラク大統領)を政権から引きずりおろすべきであります。武力行使も辞さない覚悟が必要です」
 書簡には(現在の肩書で)ラムズフェルド長官、ウルフォウィッツ国防副長官らの署名がある。97年6月には、(1)国防支出増額(2)敵対政権への挑戦(3)諸外国の政治的経済的自由の推進――などを盛り込んだ「原則声明」を発表、これにはチェイニー副大統領やジェブ・ブッシュ・フロリダ州知事らが署名した。
 新世紀プロジェクトのウィリアム・クリストル会長は、ブッシュ元大統領の政権下で、クエール副大統領の首席補佐官を務めた。やはり「中東全体の民主化」を目標に掲げ、「ネオコンが現政権の知的枠組み(戦略)を用意した。大統領のイラク政策は我々の意見に沿っている」と明言する。
 ネオコンなど保守系組織とブッシュ政権の深い関係を示すのが、「水曜会」と呼ばれる会合だ。ワシントン中心部のビルの2階で、毎週水曜日午前10時から開かれる。
 共和党の集票マシンとなる組織を網羅する会合で、ローブ大統領上級顧問や国務省、国防総省の高官らが常時参加し、政策面で支持組織の要望を吸い上げる役割も果たしている。
 特別に取材を許された12月11日の会合には、同性愛や中絶に反対する団体や「全米ライフル協会」などから約120人が出席。参加者の1人で保守系組織「安全保障政策センター」のフランク・ギャフニー元国防次官補は「大統領の考えは我々に近い」とブッシュ政権との蜜月を強調した。
◇「9.11」後、発言力増す−−イスラエル保守派と関係密接
 ネオコンは物事を善悪の二元論で見るのが特徴で、レーガン共和党政権がソ連を「悪の帝国」と呼んだのは、ネオコンの影響とされる。ブッシュ大統領の「悪の枢軸」演説や「テロリストをかくまう者も同罪」などの発言に、ネオコンの影響を指摘する識者も多い。
 クリントン政権下で、ネオコンは大きな影響力を持たなかったが、ブッシュ政権になって息を吹き返し、同時多発テロ後は、愛国心を重視する風潮の中、発言力が増した。
 ネオコンはイスラエルとの連帯感が強く、特に右派政党リクードのネタニヤフ元首相との関係が密接とされる。現政権の閣僚、高官の中にもネオコン出身者、支持者が少なくない(図参照)。中でも国防総省はネオコン支持者が中枢を固める。
 ラムズフェルド長官は、イスラエル占領地を「いわゆる占領地」と発言、アラブ系米国人の猛反発を買った。長官の御意見番的なパール国防政策委員長は、イスラエル紙「エルサレム・ポスト」の幹部を務め、タカ派的発言ゆえに「暗黒のプリンス」の異名がある。
 パール氏は91年の湾岸戦争で、フセイン政権を倒さなかったのは誤りとし、当時の制服組トップ(統合参謀本部議長)だったパウエル国務長官を公然と批判。ファイス国防次官はユダヤ系組織との関係が緊密で、ブッシュ政権の「先制攻撃ドクトリン」の策定に深く関与した。イスラエルは81年、イラクの原子炉爆撃を敢行するなど、脅威への「先制的防衛攻撃」を採用してきた。先制攻撃ドクトリンやイラク攻撃の論理は、イスラエルの国防理念に極めて似ているとの見方が強い。
 ネオコンは「中東民主化」を主張するが、フセイン政権の軍事的解体がイスラエルの安全保障に寄与するのは言うまでもない。イラク攻撃計画の陰に「イスラエルの利益」が隠れている。
 (この記事には図「ブッシュ政権の対イラク外交チーム」があります)
 
 
 
 
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