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自動衝突予防援助装置関連機器の船舶設備規程
(船速距離計)
第百四十六条の二十五 国際航海に従事する総トン数500トン以上の船舶には、船速距離計を備えなければならない。
2. 遠洋区域、近海区域又は沿海区域を航行区域とする船舶(前項に掲げる船舶及び沿海区域を航行区域とする帆船を除く。)には、船速距離計その他の自船の速力を測定することができる装置を備えなければならない。ただし、管海官庁が当該船舶の構造、航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合は、この限りでない。
第百四十六条の二十六 前条第1項の規定により備える船速距離計は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)
速力及び距離の表示は、管海官庁が適当と認めるものであること。
(2)
対水速力及び対地速力を測定することができるものにあっては、測定中の速力の種類を表示することができるものであること。
(3)
総トン数10,000トン以上の船舶に備えるものにあっては、対水速力及び対水距離を測定することができるものであること
(4)
前進方向以外の速力を表示することができるものにあっては、当該速力の方向を表示することができるものであること。
(5)
船体を貫通する計測部が損傷を受けた場合においても浸水を生じないような措置が講じられているものであること。
(6)
計測部の保護のため、可動式計測部の状態を表示する装置を備え付ける等管官庁が適当と認める措置が講じられているものであること。
(7)
測定した速力及び距離に係る情報を自動衝突予防援助装置その他の必要な航海用具等に伝達することができるものであること。
(8)
第百四十六条の十の三第六号、第百四十六条の十三第2項第一号から第七号まで第百四十六条の十七第三号及び第百四十六条の十九第六号に掲げる要件。
(関連規則)
船舶検査心得 3−1
146−25・2(船速距離計)
(a)「その他の自船の速力を測定することのできる装置」とは、船舶の最大航海速力までの速力を計測できる装置をいい、「船底測程機械」又は「GPS受信機及び潮汐表」のいずれかの装置とする。
(b)「管海官庁が当該船舶の構造、航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合」とは、次に掲げるいずれかの場合とする。
(1)
次に掲げる船舶であって、「船速図及び潮汐表」を備えるものである場合。この場合において、船速図とは、各船舶ごとにプロペラの回転数及び載貨状態等に応じて計算により求められた船速を明瞭かつ簡易にわかるように表した図表等をいう。ただし、当該図表等は航海中必要に応じて船橋で確認できるよう表示又は保管されたものであること。
(i)
最大航海速力が20ノット以下の船舶
(ii)
瀬戸内のみを航行区域とする船舶
(iii)
沿海区域を航行区域とする船舶であって沿海区域における航行予定時間が2時間未満のもの
(2)
沿海区域を航行区域とする船舶であって(i)及び(ii)の要件に適合するものである場合
(i)
当該船舶の航海用レーダーが、第146条の13第2項の規定に適合するもの又は船上で航海用レーダーを作動させた場合に当該船舶の周囲にある20海里以遠の適当な陸地若しくは物標を表示できるものであること。
(ii)
(イ)又は(ロ)に適合するものであること。
(イ)
当該船舶の最高速力が12ノット以下であるか、又は当該船舶の航行区域が海上交通安全法(昭和47年法律第115号)第2条に定める航路の全部又は一部を含まないものであること。
(ロ)
適当な対水速力計を備え付けていること。この場合において、対水速力計については、資料を添えて、首席船舶検査官まで伺い出ること。
(c)船舶の用途又は航法を考慮して、(a)又は(b)(1)によることが不合理と認められる場合には、資料を添えて、首席船舶検査官まで伺い出ること。
146-26
(a)第1号の「管海官庁が適当と認める」表示は次に掲げるところによること。
(1)
船首尾方向以外の方向の速力を表示できるものにあつては、対水速力を船首方向の速力成分及び横方向の速力成分によつても表示することができること。
(2)
測定中の速力の種類(対水速力又は対地速力)を表示すること。
(3)
測定した速力の有効性
(b)第7号の「測定した速力及び距離に係る情報」は次に掲げるところによること。
(1)
接点信号により情報を伝達するものにあつては、速力に係る情報は前進速力情報のみを伝達するものであること。
(2)
シリアルデジタルインターフェイスにより情報を伝達するものにあつては、当該速力の方向も伝達できるものであること。
 
3・3 艤装工事に関する船舶設備規程及びその関連規則
 航海用レーダー等は、船舶の重要な装備品なので、前節で述べたように船舶設備規程によってその内容が細かく規定されているが、これを装備する艤装工事についてもその船舶に適用される規則や規程などを満足していなければならない。
 ここでは、ケーブルとその布設工事に関する船舶設備規程及びその関連規則並びに日本海事協会鋼船規則(NK規則)のH編の、航海用レーダーに関係あると思われる部分について記載する。なお、記載は省略するが、このほかにもそれぞれについて細かい規定があるので、艤装工事の際にはこれらも参照されたい。また、非義務船舶に取り付けられるレーダーについては特に規定されていないが、その艤装工事についてもできる限りこれらを準用することが望ましい。
 また、装備するレーダーに特殊なケーブルが使用されるときには、これらは、レーダーメーカーから支給されるが、このときの取扱いや、艤装工事に関してはメーカーの指示に従わなければならない。
 
3・3・1 電線
(ケーブル及びキャブタイヤケーブル)
第二百三十五条 船内の給電路には、配線工事にあってはケーブルを、小型電気器具以外の移動式電気器具にあってはキャブタイヤケーブルを使用しなければならない。
(関連規則)
船舶検査心得 3−1
235.1(a)小型電気器具(扇風機、電気アイロン、電熱器、電気洗濯機等)には、コードを使用しても差し支えない。
第二百三十六条 ケーブルは、難燃性のものでなければならない。ただし、管海官庁がその用途を考慮してやむを得ないと認める場合は、この限りでない。
2 ケーブルの耐電圧特性その他の特性は、管海官庁が適当と認めるものでなければならない。
(関連規則)
船舶検査心得 3−1
236.1(a)「難燃性のもの」とは、JIS C3410「船用電線」の耐炎性試験に合格したものとする。
(b)「管海官庁がその用途を考慮してやむを得ないと認める場合」とは、無線周波数で使用するケーブル及び光ファイバーケーブルを限定的、かつ、少量使用する場合とする。
236.2(a)「管海官庁が適当と認めるもの」とは、JIS C3410「船用電線」に適合するもの又はこれと同等以上の効力を有するものとする。
 
3・3・2 配電工事
(配電)
第二百三十九条 主配電盤又は補助配電盤から動力設備及び電熱設備に至る電路は、これらの配電盤から照明設備並びに船内通信及び信号設備に至る電路のいずれからも分岐して配線してはならない。ただし、小容量の動力及び電熱設備に至る電路については、この限りでない。
(関連規則)
NK鋼船規則H編
2.2.8 通信装置及び航海装置回路
−1.
重要な船内通信、信号及び航海装置は、なるべく独立した回路を持ち、その装置自体で完全に機能を保持できるものでなければならない。
−2.
通信用ケーブルは、誘導障害を生じるおそれのないように布設しなければならない。
−3.
一般警報装置への給電回路には、操作スイッチ以外のスイッチを設けてはならない。また、過電流保護に遮断器を用いる場合は、“切”位置にしたまま放置されることのないように適当な方法を講じなければならない。
2.2.9 無線設備回路
 無線設備の給電回路は、国際法及び船籍国の国内法の要求に従って設備しなければならない。
2.9.10 ケーブルの布設(抜粋)
−1.
ケーブルは、できる限り、近寄り易い場所に直線状に布設しなければならない。
−2.
ケーブルは、できる限り、船体構造物の伸縮する部分を横切って布設することを避けなければならない。やむを得ず布設する場合には、ケーブルは、伸縮する部分の長さに応じた半径のわん曲部を設けて布設しなければならない。この半径は、ケーブル外径の12倍以上としなければならない。
−3.
二重の給電が要求される場合には、各ケーブルはできる限り離れた電路に布設しなければならない。
 
(配電工事の種別)
第二百四十五条 配線工事は、第1種配線工事及び第2種配線工事の2種とする。
2 第1種配線工事とは、次に掲げるものをいう。
(1)
がい装鉛被ケーブル、がい装合成ゴムシースケーブル、がい装ビニールシースケーブルを用いた工事
(2)
鉛被ケーブル、合成ゴムシースケーブル又はビニールシースケーブルで、金属製管に納入したものを用いた工事
3 第2種配線工事とは、鉛被ケーブル、合成ゴムシースケーブル又はビニールシースケーブルを用いた工事をいう。
 
(金属製管を使用する配電工事)
第二百四十六条 前条第2項第二号の第1種配線工事は、次の各号に適合しなければならない。
(1)
ケーブルは、より線を使用すること。
(2)
管の接続部分は、電気的に連続したものであって、かつ、振動により損傷しないものであること。
(3)
管の内部にケーブルの接続点を設けないこと。
(4)
垂直管内のケーブルは、自重による引張り応力を防止するため適当な方法を講ずること。
(5)
鋳鉄管又は鋼管は、腐しょくを防止するためメッキ又は塗装すること。
(6)
管は、端末処理を施すこと。
(関連規則)
NK鋼船規則H編
2.9.16 ケーブルの機械的保護
−1.
金属がい装のないケーブルが機械的損傷を受けるおそれのある場合には、ケーブルは、金属覆を用いて保護しなければならない。
−2.
貨物倉等で特に機械的損傷を受けやすい場所に布設するケーブルは、金属がい装があっても、これを適当に保護しなければならない。
−3.
ケーブルの機械的保護に用いる金属覆は、適当な防食処理を施したものでなければならない。
−4.
非金属製のダクト、コンジット等は難燃性のものでなければならない。冷蔵倉又は暴露甲板にはビニルコンジットを使用してはならない。
2.9.17 ケーブルの管内布設
−1.
ケーブル用金属管は、接合部を機械的及び電気的に連続させ、かつ、有効に接地しなければならない。
−2.
管を曲げる場合の曲げ内半径は、ケーブル用に決められた値(2.9.10−6参照)より小としてはならない。ただし、外径が64ミリメートルを超える管の曲げ内半径は管の外径の2倍より小であってはならない。
−3.
管の内部断面積は、管内に布設するケーブルの総断面積の2.5倍以上としなければならない。
−4.
水平に配置する管には、適当な排水装置を設けなければならない。
−5.
管系の全長が長い場合には、必要に応じて管に伸縮継手を設けなければならない。







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