日本財団 図書館


3.5 動作警報
3.5.1
ARPAは、観測者により選択された距離に接近したすべての識別可能物標について可視及び/又は可聴信号によって観測者に警報する能力を持たなければならない。警報を発生させた物標は表面上に、該当するシンボル*で明りょうに表示されなければならない。
3.5.2
ARPAは観測者により選択された最小距離及び最小時間内に接近すると予測されるすべての追尾物標について可視及び/又は可聴信号によって観測者に警報する能力を持たねばならない。警報を発生させた物標は表示面上に、該当するシンボル*で明りょうに表示されなければならない。
3.5.3
追尾物標が距離レンジの外へ出た場合を除いて、当該物標が消失した場合には、ARPAは明りょうに表示しなければならない。また、物標の最後の追尾位置は表示面上に明りょうに表示されなければならない。
3.5.4
動作警報を動作状態にさせたり、または非動作状態にさせることが可能でなければならない。
3.6 データ要求
3.6.1
観測者は、情報を得るために、いかなる追尾物標をも選択できなければならない。選択された物標は、レーダー表示面上に該当シンボル*で記されなければならない。同時に、2以上の物標についての情報が要求される場合それぞれのシンボルは、例えばシンボルに接近して数字を付す等によって、個別に識別されなければならない。
3.6.2
観測者の要求により、下記の情報が、すべての追尾されている物標について、文字及び数字によりARPAから直ちに提供されなければならない。
1. 物標までの現在距離
2. 物標の現在方位
3. 最接近距離(CPA)における物標までの予測距離
4. CPAに至るまでの予測時間(TCPA)
5. 物標の計算された真針路
6. 物標の計算された真速力
3.6.3
3.6.2.5.及び同 6.の情報の表示は、提供された情報が対水又は対地の安定のうち、どちらに関連するものか方式の識別を含めなければならない。
3.6.4
いくつかの物標の情報が表示される場合、3.6.2で示された2以上の項目が、選択されたおのおのの物標について同時に表示されなければならない。おのおのの物標について情報の項目が対で表示される場合、組合せは、3.6.3.1.と同2、3.6.2.3.と同4、及び3.6.2.5と同6.としなければならない。
3.7 試航操船
3.7.1
ARPAは、物標の追尾及び実際の物標の文字数字式の情報表示について更新を中断することなく、操船する前に時間遅れを付けたり付けなかったりして、自船の操船によるすべての追尾物標に対する影響を模擬表示できなければならない。この模擬表示は該当するシンボル*で表示面上に示されなければならない。
3.7.2
操作手引書は、もしあるならば自船の操縦特性の模擬を含め、採られる試航操船技術の基礎となっている原則の説明を含めなければならない。
3.7.3
いかなるときでも、試航操船の解消ができなければならない。
3.8 確度
3.8.1
ARPAは付録2に定義する4種類のシナリオについて3.8.2及び3.8.3に示す確度を下回るものであってはならない。付録3に規定するセンサー誤差のもとで、これらのシナリオの値は±10度の横揺れの環境条件において、最良なものとして得られる手動プロットの性能に関するものである。
3.8.2
ARPAは、1の物標の相対運動の傾向を安定して追尾した後、1分以内に、下記の確度値(95%確率値)で物標の相対運動傾向を示さなければならない。
注1:
定常状態の追尾で、自船及び物標としての相手船の双方は、一定速力で直線針路をたどるものとする。
注2:
確率値は、信頼レベルと同等である。
 
3.8.3
ARPAは、1の物標の運動を安定して追尾した後、3分以内に下記の確度値(95%確率値)で物標の運動を示さなければならない。
 
(拡大画面:19KB)
 
3.8.4
1の追尾物標又は自船が操船を完了した場合に、ARPAは3.4.7、3.6、3.8.2及び3.8.3に従い1分以内にその物標の運動傾向を表示しなければならず、また、3分以内に物標の予測運動を表示しなければならない。ここで「自船の操船」には、1分間に±45度の針路の変更を含むものとする。
3.8.5
付録2の複数のシナリオに対して、ARPAは自船の運動が最も好都合な状態において、入力センサーにより生ずる誤差に比べて、ARPAから発生する誤差の分担が極めて小さくなるように設計されなければならない。
3.9 他の装置との接続
3.9.1
ARPAは、センサーの入力を提供するいかなる装置の性能をも低下させてはならない。ARPAは他のいかなる装置への接続によっても、その装置の性能を低下させてはならない。この要件は、ARPAの運転時、停止時を問わず満足しなければならない。更に、ARPAは、実行可能な限り、故障状態にあってもこの要件に適合するよう設計されなければならない。
3.9.2
ARPAは、外部センサーからのいかなる入力もないとき、その旨表示をしなければならない。また、ARPAは、その操作に影響するおそれのある外部センサーからの入力情報の性質に関する警報又は状況のメッセージをすべて繰り返さなければならない。
3.10 ARPAのテスト及び警報
3.10.1
ARPAはそのシステムの正しい動作を観測者が監視することができるように、ARPAの不調を知らせるのに適当な警報を持たなければならない。加えて、ARPA全体の性能を定期的に既知の結果と比較して評価できるようにテスト・プログラムが利用可能でなければならない。テスト・プログラムが実施されているとき、該当するテスト・シンボル*が表示されなければならない。
3.11 対水及び対地安定
3.11.1
ARPAは、対水及び対地安定が可能でなければならない。
3.11.2
ARPAに入力する速力表示器は、船首尾方向における対水速力を与えることができなければならない。
3.11.3
対地安定入力は、船速計、速力計測精度がA.824(19)の要件に適合している場合の電子位置測定装置、又は追尾された静止物標から供給することができる。
3.11.4
使用されている入力と安定のタイプが表示されなければならない。
 

(注)* 印は本編74ページ参照(シンボル表、表146−17.0〈1〉)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION