日本財団 図書館


第4節 変圧器
(変圧器の配置及び構造)
第205条 居住場所に設ける変圧器は、乾式変圧器でなければならない。
2. 乾式変圧器の巻線は、湿気等に耐えるような処理がなされたものでなければならない。
第205条の2 第 183条の2第1項各号に掲げる船舶(限定近海貨物船にあっては、機関区域無人化船に限る。)にあっては、当該船舶の安全性又は居住性に直接関係のある電気利用設備の大部分に配電する配電盤に変圧器を用いて給電する場合には、その給電回路に2以上の変圧器を備えなければならない。この場合において、当該変圧器は、そのうちの1が故障したときにおいても給電を維持できるものでなければならない。
(温度上昇限度)
第206条 変圧器の温度上昇限度は、次表の通りとし、周囲温度が摂氏40度をこえる場所で使用するものにあっては、その超過する温度を次表の温度上昇限度から減じた温度とする。
 
変圧器の部分 温度測定方法 温度上昇限度(摂氏・度)
A種絶縁 B種絶縁
乾式自冷式巻線 温度計法 50 70
抵抗法 55 75
乾式風冷式巻線 抵抗法 55 75
油入自冷式巻線 抵抗法 55
油入風冷式巻線
温度計法 50
鉄心その他の金属部分で絶縁物に近接した部分 温度計法 近接した絶縁物の温度上昇限度に同じ。
 
(関連規則)
1. 舶検第48号(56.3.26)
 H種絶縁変圧器の温度上昇限度について
 H種絶縁変圧器に係る温度上昇限度については、NKの鋼船規則に準拠する。
2. 船舶検査心得 205.-2.0(変圧器の配置及び構造)
(a)本条の規定は、図205.-2.0〈1〉の点線で囲まれた部分の変圧器に適用する。
 
(拡大画面:10KB)
図205.-2.0〈1〉
 
(絶縁耐力)
第207条 変圧器の絶縁耐力の試験は、巻線の定格電圧が、 250ボルト以下の場合には1500ボルト、定格電圧が 250ボルトをこえ 500ボルト以下の場合には2000ボルトの試験電圧による。
(誘導絶縁耐力)
第208条 変圧器は、100ヘルツ以上500ヘルツ以下の正弦波に近い交流電圧で、巻線に定格電圧の2倍の電圧を誘起させた場合に、次の算式により算定した時間(15秒未満の場合には15秒、60秒をこえる場合には60秒とする。)中これに耐えるものでなければならない。
 
 
(短絡電流に対する耐力)
第209条 インピーダンス電圧が4パーセント以上の変圧器は、次に掲げる時間中支障なく短絡電流に耐えるものでなければならない。
 
インピーダンス電圧 (パーセント) 4以上 5未満 5以上 6未満 6以上 7未満 7以上
試験時間(秒) 2 3 4 5
 
2. インピーダンス電圧が4パーセント未満の変圧器は、定格電流の25倍の電流に2秒間支障なく耐えるものでなければならない。
(電圧変動率)
第210条 変圧器の電圧変動率は、力率 100パーセントの定格負荷において5パーセントをこえてはならない。
(関連規則)
NK規則
2.10 動力及び照明用変圧器
2.10.1 適用
 単相1kVA 以上、三相5kVA以上の変圧器は、本2.10の規定による。
2.10.2 構造
−1. 居住区画に装備する変圧器は、乾式自冷式のものでなければならない。なお、機関区域に装備する変圧器は、油入自冷式のものでもよい。
−2. 電動機始動用の変圧器を除き、変圧器の一次巻線と二次巻線は、完全に絶縁しておかなければならない。
−3. 10kVA以上の油入変圧器には、油面計及び排油装置を備えなければならない。また、75kVA以上の油入変圧器には、温度計をも備えなければならない。
−4. 変圧器は、使用中に最大短絡電流を通じても、2秒間支障なくこれに耐えなければならない。
2.10.3 温度上昇
 変圧器の温度上昇は、定格出力で連続使用しても表H2.14に定める値を超えてはならない。なお、基準周囲温度が40℃以下の場合には表の値よりその差だけ高くなってもよい。
 
表H2.14 変圧器の温度上昇限度(基準周囲温度の限度45℃)
部分 温度上昇限度(℃)
測定方法 A種絶縁 E種絶縁 B種絶縁 F種絶縁 H種絶縁
巻線 乾式変圧器 抵抗法 55 70 75 95 120
油入変圧器 抵抗法 60
温度計法 45
鉄心表面 温度計法 絶縁物を損傷しない温度
 
2.10.4 電圧変動率
 全負荷、力率 100%のもとにおける変圧器の電圧変動率は、次に示す値を超えてはならない。
単相 5kVA 三相15 kVA以上・・・ 2.5%
単相 5kVA 三相15 kVA未満・・・5%
NK(検査要領)
H3.2.2 変圧器の容量及び台数
−1. 変圧器が船舶の正常な稼動状態及び居住状態を維持するために必要な電気設備に電力を供給する場合には、少なくとも2組の変圧器を備えること。ただし、特定の負荷に専用に給電する変圧器であって、本会が差し支えないと認めたものについては、1組の変圧器とすることができる。
−2. 前−1. の変圧器の容量は、いずれか1組の変圧器が停止した場合にも、正常な稼動における推進と安全を維持するために必要な電気設備へ給電できるものであること。
 また、同時に、少なくとも調理、暖房、糧食用冷凍、機械通風、衛生水及び清水のための各装置を含む最低限の快適な居住状態が確保される必要がある。
−3. 変圧器が前−1. にかかわらず照明、通信、制御装置等にのみ電力を供給する場合には、その変圧器が単相変圧器3台を一次側、二次側ともそれぞれΔ(デルタ)結線により構成されていて、かつ、いずれかの1台が使用できなくなった際V結線変圧器として必要な電力を供給できるものであれば、1組の変圧器とすることができる。
−4. 前−3. において、単相変圧器3台を用いる場合、変圧器の構造は次による必要がある。
(1)単相変圧器3台を同一箱内に納める場合は、各変圧器間に金属又は不燃性材料の仕切壁を設けること。
(2)V−V結線への切換えは容易に行い得るものであること。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION