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7・3 操作箇所の調整
 映像を最良の状態で観測するためには、適正な調整が必要である。ここでは最低必要な調整つまみと調整の際の注意事項を述べる。
1. 同調(TUNE)
 最も大切な調整箇所で、この調整により感度が大きく左右される。
 この調整はできるだけ遠方の物標で行い最も映像が鮮明になるように調整する。(近距離の物標は反射が強力で多少同調がずれていても映像が出るため最良点を求めるのが難しい。)レーダ起動後10分間は同調がずれやすいので再度修正する必要がある。これはマグネトロンの発振周波数が変動するためである。
2. 感度(GAIN)
 遠方の物標を観測する場合は、普通時計方向に回してノイズがわずかに出る位置がよいが、比較的近距離の物標で、反射が強い場合や、物標が密着しているようなときは、多少GAINを下げた方が映像が鮮明になり見やすくなる。ただ、近距離の物標でも反射の弱い物標等は、出にくくなるので注意して操作する必要がある。
3. 海面反射抑制(STC)
 波浪による反射がある場合、つまみを時計方向に回していくと近距離の感度が下がり、海面反射は消える。しかし、このとき海面反射と同じ強度の物標の映像も消えてしまうので、STCを操作するときは注意が必要である。
4. 輝度(INTENSITY)
 ブラウン管の輝度(明るさ)は通常ノイズが見え始める程度に調整する。輝度を上げ過ぎると映像が不鮮明になり、かえって見ずらくなる。
5. 雨雪反射抑制(FTC)
 おもに雨雪の反射除去に使用するが、近接した輪郭のはっきりしない映像にも効果がある。しかし弱い映像は出にくくなるので注意する必要がある。
6. カーソル(CURSOR)
 十文字カーソルはつまみによって時計方向にも、反時計方向にも、任意に360度回転できる。測定する場合は、物標にカーソル線を重ねると、その線の指示する方位目盛環の目盛が物標の方位である。
7. 方位目盛(BEARING)
 方位目盛は、指示部の真上を0度として、ブラウン管の周囲に360度の目盛を刻んだものであるが、機種によってはこの固定目盛板のほかに、つまみでこれを時計方向、反時計方向のいずれにも任意に360度回転できるものもある。このような機種では、REL(相対方位)の場合は船首輝線に目盛の0度を合わせて方位を読み、TRUE(真方位)の場合には方位目盛を回して自船の針路の真方位を船首輝線に合わせ、これを基準にして物標の方位を読む。また、この場合は、この目盛はジャイロと連動させることもできる。
8. 可変距離目盛(VAR MARKER)
 このつまみを回すと画面上の可変距離目盛が移動し、カウンタの数字で距離を直読できる。
9. センター調整(水平HORIZONTAL、垂直VERTICAL)
 映像面のスイープの起点をカーソルの中心に合わせる。
 
7・4 起動→動作→停止(この説明は図7・1の写真のレーダーに準拠している。)
起動― (1) 電源スイッチを[始動・START]の位置にして、約5秒後[準備・STAND BY]にする。船の電源が交流の場合には、すぐに[準備・STAND BY]の位置にしてもよい。
  (2) 約4分経過後準備灯が点灯したら電源スイッチを[動作・ON]の位置にする。
動作― (3) [感度・GAIN]及び[海面反射抑制・STC]を反時計方向一杯に回した状態で[輝度・INT]を時計方向に回してスイープがわずかに見えるように調整し、その後で[感度・GAIN]を時計方向に回し、ノイズが出始める位置に調整する。
  (4) [距離切替え・RANGE]スイッチを希望するレンジにセットする。
  (5) [同調・TUNE]のつまみを調整し、映像が最も明りょうになるように、また、同調メーターが最大になるように調整する。
この調整は、ロングレンジにセットして行うとよい。
  (6) 状況に応じて[感度GAIN][海面反射抑制・STC]を調整し、場合によって[雨雪反射抑制・FTC]も操作する。
  (7) [照明・DIMMER]のつまみも調整し、適当な明るさにする。
  (8) カーソルを物標に合わせて、その方位を測定する。
  (9) もし[距離目盛・MARKER]が不用なときはスイッチを断にする。
停止― (10) 電源スイッチを[動作・ON][準備・STAND BY][始動・START][断・OFF]にする。
  (11) 輝度(INTENSITY)調整つまみは反時計方向一杯に回しておく。これは、次回にレーダーを起動させたとき、もし、スイープ回路等に故障があるとCRTの中心付近に輝点のみが現れて、これをそのまま続けていると、中心付近の蛍光面を焼くおそれがあるからである。
    (電源が交流の場合には[始動・START]の位置で本体は停止するが、直流の場合には、この位置ではまだ付属の電動発電機は回っている。







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