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第5章 レーダーの付属装置
 
5・1 真方位装置
 最も基本的なレーダーの表示方式は相対方位表示方式で、自船の船首方向をCRTの真上方向として物標の方位を表示する方式である。図5・1の左側に示される位置関係にある他船は、相対方位表示方式では同図の右側に示したように、自船の船首方向からθのところに表示される。
 真方位表示方式では、図5・2に示すようにCRTの真上が常に真北(North)に一致している。
 図5・1の左側に示される位置関係にある他船は、自船の船首方向は真北からβの方位角となり、他船の位置は船首からの角度がθとなる。真方位表示方式の利点は、海図と陸上の映像の方位関係が一致することになるので比較しやすいことである。
 相対方位表示方式から真方位表示方式に変える装置が真方位装置で、その構成を図5・3に示す。差動発信器(制御発信器)は回転変圧器の一種で、回転の角度信号を電気信号に変換するものである。この場合は、空中線の相対方位信号とジャイロコンパスからの船首方位信号の差を差動発信器で検出し、この差の信号をサーボアンプで増幅して、サーボモータを回転させる。表示器のサーボモータが回転すると偏向コイルも一緒に回転するので、掃引線は真方位方向に対応して出ることになる。
 
図5・1 相対方位表示方式
 
図5・2 真方位表示方式
 
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図5・3 真方位装置の構成
 
5・2 真運動装置〔トルー・モーション(True Motion)装置〕
 通常、レーダーは、単に物標までの距離と方位を測定する方式である。したがって、図5・4に示すように自船が停止していて他船が移動している場合にはCRT上の自船を中心にして他船の物標が動いているので、それぞれの速度や方位を知ることができる。しかし、自船が動いている場合はCRT上で周囲の物標の位置が一走査ごとに変化し、他船の方位や針路は自船との相対関係でしか分からない。そこで、これを自船の針路方向と速度に従って掃引線の起点の位置を変化させることによって解決することができる。すなわち、掃引線の起点や陸地やその他の固定物標が常に一定の所にあるように変化させておくと、掃引線の起点の位置の変化は自船の針路を現す一本の線として残り、また、他の移動物標も線として軌跡が現されて、その動きの方向を知ることができる。
 
図5・4 中心が固定して動かない(自船は停止中)
 
 真運動装置では、PPIのスイープの起点を、CRTの映像面の中心から任意の所まで移す、いわゆる離心PPIを作り、そのスイープの起点をジャイロコンパスとスピードログなどの信号を利用して移動させている。つまり図5・5で分かるように、自船の位置は円形の距離マーカーの中心であり、この自船位置はその針路と速力に応じて移動する。このとき、その映像の後に残光の尾を引き、この尾の長さで自船の速力が、尾の方向で針路が分かり、また変針の有無も判別できる。陸地、その他の固定物標は船が移動しても映像面上に固定されて動かない。
 
図5・5 真運動後の映像
 
 他船が移動している場合には、残光の尾を引きながら映像面上を移動するので、このときの尾に示されたものが、相手船の真針路と真速力を示すことになる。また、自船が映像面の端に到達したとき又はリセット点に達したときは、手動又は自動的に任意の所まで戻し、そこから再び移動させることができるようになっている。
 
5・3 干渉除去装置
 同一の周波数を使用している他船のレーダーが近距離にある場合には、このレーダーの送信電波が自船の受信機に入り、CRT面上に干渉模様となって現れる。この干渉模様は他船のレーダーもパルスレーダーなので点線状となり、しかも自船とは同期していないため、渦巻状や無数の点となって現れて、必要な映像が見えにくくなる。
 この干渉模様を除去するための装置が干渉除去装置で、その構成を図5・6に、動作原理を図5・7に示す。
 コンパレータで基準電圧V1以上の信号を波形整形し、(b)のゲート1を作る。このゲート1はシフトレジスタで一時記憶する。次に、(d)のゲートが2シフトレジスタに入力すると同時にゲート1を読み出し、ゲート1とゲート2をAND回路に入れてやると、このAND回路の出力は、(e)のように干渉波信号を含まない物標だけのゲート信号となり、このゲートでアナログスイッチを働かすと干渉のない物標信号だけがビデオ増幅器に入ることになる。
 
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図5・6 干渉除去装置の構成
 
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図5・7 干渉除去装置の原理







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