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初級講習用指導書(電気工学の基礎編)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


2・7 自己誘導・自己インダクタンス
2・7・1 自己誘導
 
図2・19
 
 1830年アメリカのヘンリーは自己誘導の原理を見出した。それは図2・19のようにコイルに電流の変化(例えば交流)を与えれば磁束Φも変化し、その結果電磁誘導によってコイルに起電力が生ずる。この現象を自己誘導という。
 
2・7・2 自己インダクタンス
 今、N回巻のコイルに流れる電流がΔt〔s〕間にΔI〔A〕だけ変化したとき、このコイルと交わる磁束がΔΦだけ変化するとすれば2・4・2項で述べた電磁誘導によって、コイルに誘導される起電力eは次の式で表される。
 
 
 ところが、磁束は電流に比例するから、磁束の変化は電流の変化に比例することになる。それ故に上式は次のように書ける。
 
(拡大画面:5KB)
 
 自己インダクタンスの単位にはヘンリー(単位記号H)を使う。
 この自己インダクタンスはコイルの形、巻数及び磁路の透磁率等に関係する。
 自己インダクタンスLは(2・13)式から
 
 
 このことは1〔H〕の大きさは電流が1秒〔s〕間に1〔A〕の割合で変化するとき、1〔V〕の起電力を生じる回路の自己インダクタンスに相当する。
〔例題〕 コイルに20〔A〕の電流を流し、0.12秒間に0にすれば、コイルには60〔V〕の起電力を生ずる。このコイルのインダクタンスを求めよ。
〔解〕 (2・14)によって
 
 
また、(2・12)式と(2・13)式から
NΔΦ=LΔI・・・(2・15)
ここで、IとΦは常に比例することから
NΦ=L・・・I(2・16)とかける。
よって、
 
 
このNΦを磁束鎖交数と称している。
 この意味は「回路の自己インダクタンスLは、その回路に1〔A〕の電流を流したときの磁束鎖交数に等しい」ということである。
〔例題〕 巻数Nが100のコイルに、2〔A〕の電流を流したら、コイルに0.001〔Wb〕の磁束Φが生じた。このコイルのインダクタンスLは何〔H〕か。
〔解〕
 
(拡大画面:3KB)
 
2・8 相互誘導・相互インダクタンス
2・8・1 相互誘導
 図2・20において一次コイル(P)に電流I1を流せば磁束Φ1ができ、Φ1の一部は近くの二次コイル(S)に鎖交する。この場合交流電流のようなI1が変化すればΦ1が変化し、Φ1の一部Φ2もまた変化し、電磁誘導によって二次コイル(S)に起電力が生じる。この現象を相互誘導という。
 
図2・20
 
2・8・2 相互インダクタンス
 上記二次コイル(S)における起電力eS、は次のようになる。
 
 
N2:二次コイル(S)の巻数
 自己インダクタンスの場合の(2・17)式と同様に磁束と電流は比例するから
N2・Φ2=MI1・・・(2・19)とかける
 (2・19)式を(2・18)式に代入して
 
 
 ここで、Mは相互インダクタンスと呼ばれ、二つのコイルの形状、相互位置及びその周囲の物質の透磁率によって定まる値である。相互インダクタンスも単位はLと同じくヘンリーである。
(5・20)式から
 
(拡大画面:4KB)
 
と表される。
 
2・9 電磁結合
 図2・20のようにPとSとのコイルが、磁束を仲介として結合しているとき二つのコイルPとSは電磁結合しているという。今Pコイルの自己インダクタンスをL1、Sコイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとしてこれらの関係をみよう。
 
(拡大画面:19KB)
 
 このKを結合係数という。そしてKが1に近い値のとき、密結合、零に近い値のときを疎結合という。また、PとSコイルを直列に接続し、Pの磁束とSの磁束とが同じ向きに接続することを和動接続といい、Pの磁束とSの磁束とが反対向きに接続することを差動接続という。
 
2・10 磁気ひずみ現象
 強い磁石に磁化される金属、すなわち鉄、コバルト、ニッケルなどを強磁性体というが、これらを磁化すれば、機械的にひずみをうける。逆に機械的にひずみを加えると、磁化の程度が変わる。このような現象を磁気ひずみという。したがって、交流で磁化すれば振動をおこし固有振動と一致すれば激しく振動することになる。
 これを応用したものに磁わい(歪)式音響測深機や、発振回路の素子などがある。
 
2・11 磁気しゃへい
 
図2・21
 
 電気計器のうち、外部からの磁界の影響をうけ指針に誤差を生ずるような場合には、図2・21に示すようにAの計器の外囲を、パーマロイ等のような強磁性体、即ち、透磁率μ(=μoμs)の大きい物質で包むことが有効である。なぜならば、図2・21のよう強磁性体が殆んど磁力線を吸収し、内部には磁力線が入らないからである。しかし、これでも不十分であれば中空を二重にすれば、いっそう有効である。このように強磁性体を使ってしゃへいすることを磁気しゃへいという。
 
2・12 復習問題(2)
(1)H〔A/m〕の磁界中にあるm〔Wb〕の磁極に働く力F〔N〕はどの位か、式を示せ。
(2)磁束密度について述べ、かつ、テスラとはどんな単位かを述べよ。
(3)アンペアの右ねじの法則とはどんなものか述べよ。
(4)直線状電流による磁界を説明せよ。
(5)円形電流による磁界を説明せよ。
(6)起磁力とはどんなものか述べよ。
(7)フレミングの左手の法則を述べよ。
(8)電磁力の大きさの式を示せ。
(9)電流力とはどんなものか説明せよ。
(10)電磁誘導を簡単に説明せよ。
(11)レンツの法則を述べよ。
(12)誘導起電力の大きさはどのような一般式があるか述べよ。
(13)フレミングの右手の法則を述べよ。
(14)うず電流について説明せよ。
(15)磁化曲線を説明せよ。
(16)ヒステリシス損とはどんなものか述べよ。
(17)磁気ひずみ現象を述べよ。また、磁気しゃへいの目的を述べよ。







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