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国連分類調和専門家小委員会
第4回 会合議事概要報告
 
1. 会期、参加国、議題等
 
1.1 会期及び開催場所
会期:平成14年12月9日〜11日
場所:国連欧州本部(Palais des Nations、ジュネーブ)
 
1.2 参加国等
1.2.1 国及び国際機関
(1) 委員国:アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリー、日本、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、英国及び米国
(2) オブザーバー国:スイス及びザンビア
(3) 国連機関及び政府間機関:UNITAR、CEC、IMO 及び OECD
(4) 非政府国際機関:AISE、CEFIC、EIGA、FIPBM、DGAC、ICCA、ISO 及び SDA
1.2.2 わが国からの参加者(敬称略・五十音順)
  遠藤 秀雄(経済産業省資源エネルギー庁原子力安全・保安院保安課)
北林 邦彦(国土交通省海事局検査測度課)
城内 博(分類調和専門家小委員会委員:日本大学大学院理工学研究科)
関口 秀俊(東京工業大学)
中島 紀昭(全日本火薬類保安協会)
行木 美弥(環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課)
藤原 修三(産業技術総合研究所)
八十川 欣勇(分類調和専門家小委員会委員・日本海事検定協会)
吉田 千秋(理工学振興会・東京工業大学)
*小山 清孝(日本化学工業協会:ICCAとして出席)
 
1.3 議題の採択
1.3.1 第4回小委員会の予定議題(ST/SG/AC. 10/C.4/7)は、期限後送付されたINF. Paperを今回会合文書に含めることを承認して採択された。
 
2. 化学物質の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)
2.1 GHS勧告案
2.1.1 3SCEGHSに提案されたGHS勧告案(01/11及び01/20〜28))は、Correpon W/Gによる編集上の修正が施され、その結果を事務局が整理してGHS案(02/16及び02/16/Add.1〜Add.16)として提案された。このGHS案に対しては、若干の編集上等の追加修正案(02/17:Correpon W/G)、金属腐蝕性試験(02/21:事務局)及び3.1.4表の修正(02/23:OECD)及びANE(硝酸アンモニウムマルジョン)の分類基準要件の追加(INF.22)が提案された。これら提案は何れも採択(一部修正されたものを含む)され、GHS案がこれらに基づいて修正された。
2.1.2 GHS案には、上記以外に慢性健康有害の形象の改正に関するW/G提案(02/18)及びGHS/TDGの標札に関する研究結果に基づく米国提案(02/22)が出された。
(1) 慢性健康有害形象の改正
  3SCEGHSの決定に基づきCorrepon W/Gが提案する慢性健康有害を表すの3種類の形象が検討の俎上に上げられたが、この提案の修正としてCorrepon W/G提案の1種類(前回スウェーデン提案No.4形象)を一部修正(横顔を卵型としたもの)した形象が18カ国(日本及びスウェーデンは含まず。)共同提案として提出された。これにより、票決を待つまでもなくこの18カ国提案が慢性健康有害の形象として採択された。
(2) GHS/TDGの標札に関する研究結果に基づく表示の改正
  危険物輸送に関する国連勧告(オレンジブック)において求められている標札とGHSにより要求される表示に関する米国提案(02/22)は時間外W/Gにおいて検討され、TDG標札が付されている場合にはGHS標札は省略できる、TDG標札不要な組み合わせ容器にあってはGHS標札を内装容器に付すなどとした1.4.10.4改正案が修正の上採択された。同提案の表示例についてのGHS案附属書6の修正についても修正の上採択された。なお、この表示例についてはノルウェーが今後更に検討すべきであるとの強い意見を表明した。ただし、表示の寸法や場所、輸送と他の分野における明確な差異に関する規定及び表示する危険性の優先順位については今後の検討課題とすることが合意され、これらを検討する会期外Cprpon W/G(米国取りまとめ)の設置が承認された。本Correpon W/Gには我が国も参加を表明した。
2.1.3 本小委員会は、事務局提出のGHS案(02/16及び02/16Add. 1〜Add. 16)に以上の修正を加えて承認した。このGHS案は、TDG&GHS専門家委員会で承認の上、ECOSOCの決議を経て国連勧告として出版されることとなる。英語版についてはオレンジブックの例に倣えば2003年夏になる予定であり、その他の公用語(仏、スペイン、ロシア、中国、及びアラブ)については遅れるのが通例である。
 
3. 次期2年間(2003−2004)の作業計画
3.1 次期2年間の作業計画については、関連提案(02/14、02/15、02/19及び02/20)を基に検討され、最優先事項(次期2年間で結論を得るよう努力するもの)、優先事項(次期2年間に検討を開始し更に検討期間が必要とされるもの)及び長期検討事項(次期2年間に作業を開始できるが、結論を得るには相当期間を要するもの)に区分し、夫々次のように決定された。
 
3.2 最優先事項
 感作性感度及び導出:感作性の感度及び導出の問題点を調査し、必要な場合には分類基準の改正を提案する。
3.2.2 急性毒性:
(1) 幅のあるデータの利用:実験により得られる急性毒性の摂取経路についての幅ある推定値と点で得られる推定値を考慮して分類基準を見直す。
(2) 粉塵、煙霧、蒸気の用語:吸入毒性に関連する粉塵、煙霧及び蒸気の定義を明確にし、急性毒性分類の必要な改正を提案する。
3.2.3 生殖毒性:GHS3.7.2.1及び3.7.2.2.1で用いられている「生殖毒性」「発生毒性」「生殖能力」「生殖能」「クラス」及び「カテゴリー」の用語を明確にする。
3.2.4 発癌性:GHS3.6.5.2に示された異なる要素の重要性に関する指針を策定する。
3.2.5 取扱い文言:完成標準化標札の用語に採り入れるため取扱い文言の調和を図る。
本件に関しては会期外Correpon W/G(ドイツ取りまとめ)において検討することが承認された。本Correpon W/Gには我が国も参加を表明した。
3.2.6 SDS:GHSに基づくSDSの準備に必要な指針を策定する。本件に関しては会期外Correpon W/G(オーストラリア取りまとめ)において検討することが承認された。本Correpon W/Gには我が国も参加を表明した。
3.2.7
標札:標札規定を明確にするため及び全ての分野におけるGHSのより一貫した実施を達成するための追加的指針を策定する。
3.2.8
教育と能力開発
3.2.9
GHSの実施及びその監視
 
3.3 優先事項
3.3.1 慢性水生毒性:慢性有害性カテゴリーになる水生生物の慢性毒性に適用する分類手順を更に発展させる。
3.3.2 陸生環境有害:陸生環境有害に関する各国の対応及び要件についての分析をSCEGHSに提供し、この有害性に関する分類基準及び標札を策定する場合の問題点を提案する。
 
3.4 長期検討事項
3.4.1 発癌性−潜在力:潜在力推定の方法を調査する。
3.4.2 生殖毒性−潜在力:化学品の相対的潜在力に関する閾値を考慮するために生殖毒性の分類基準を改正する。
3.4.3
感作性−強/弱:感作性の強/弱に関する入手可能な情報を調査し、必要な場合には吸入及び/又は経皮感作性の分類基準の見直しを提案する。
 
4. GHSの実施
4.1 SCETDG議長は、国連モデル規則にGHS案に基づくClass 9としての水質汚染物質の分類基準及びその輸送要件に関する規定を採り入れたこと、次期2年間の作業計画にモデル規則とGHSとの調和の検討を含めたこと等を報告した。
 
4.2 米国が今後GHS実施に関する状況分析及び指針文書の準備を開始したこと、カナダ、中国及び南アが夫々の国における既存システムとGHS要件の比較等GHSの実施に関する検討をはじめたこと、ドイツが化学品に関する他の国際条約(POPs、PIC、バーゼル等)はGHS実施の促進に有用であること、等を夫々報告した。
 
5. 能力開発
5.1 UNITAR代表は、UNITAR/ILOのGHS能力開発計画及びUNITAR/ILO/OECDのGHS国際協力に関する活動状況を報告した。同代表は、GHS実施のための能力開発に関する国際協力がヨハネスブルグサミットにおいて正式に開始されたことも報告した。
5.2 ザンビア、ブラジル、フィンランド、日本等がGHS実施のための能力開発に関する活動状況を報告した。
 
6. ECOSOC決議案
6.1 SCEGHSの活動に関するECOSOC決議案(事務局提案)は、一部修正の上採択された。
 
7. その他の事項
7.1 IMO代表がIMOにおける海洋汚染物質の評価システム見直し検討に関してGHSの有害分類基準との関連について報告し、本小委員会は本件に関するIMOからの提案を待つこととした。
 
7.2 ドイツはバーゼル条約が適用される廃棄物でGHSの分類基準に合致する物質等についてのバーゼル条約締約国会議における検討に注目する必要があることを指摘し、本小委員会は事務局にUNEP事務局と連絡することを要請した。
 
7.3 次期2年間の本小委員会の議長及び副議長には、今次と同じMrs. K. Headrick(カナダ)並びにMrs. A-L Sundquist(フィンランド)及びMr. B. Puiatti(ブラジル)がそれぞれ選出された。
 
7.4 事務局はSCETDGがオレンジブックの第1.4章に「保安規定」をテロ対策の一環として設け、第13版から採り入れられることとなったことを報告した。
 
7.5 次回会合は2003年7月7日(月)〜7月9日(水)AMに開催される予定である。なお、次回会合への提案文書の締め切りは2003年4月18日とされた。
 
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文書番号 議題 提案国等 文書標題 対応 結果
02/14 3 ギリシャ、他 土壌環境有害性の分類 適宜 採択(修正)
02/15・Ad1 3 独、他 取扱い文言の決定理論 適宜 趣旨採択
02/16 2 GHSEG GHS案(前文、目次) 適宜 採択(一部修正)
02/16/Ad1 2 GHSEG GHS案(第1部:序文) 適宜 採択(一部修正)
02/1/Ad2 2 GHSEG GHS案(第2部:物理化学的危険性) 適宜 採択(一部修正)
02/16/Ad3 2 GHSEG GHS案(第3部:健康及び環境有害性) 適宜 採択(一部修正)
02/16/Ad4 2 GHSEG GHS案(付録1:標札要素の配置) 適宜 採択(一部修正)
02/16/Ad5 2 GHSEG GHS案(付録2:分類・標札一覧表) 適宜 採択(一部修正)
02/16/Ad6 2 GHSEG GHS案(付録3:警告文言及び警告形象) 適宜 採択(一部修正)
02/16/Ad7 2 GHSEG GHS案(付録4:傷害の蓋然性に基づく日用品の標札) 適宜 採択(一部修正)
02/16/Ad8 2 GHSEG GHS案(付録5:分り易さ試験方法論) 適宜 採択(一部修正)
02/16/Ad9 2 GHSEG GHS案(付録6:標札要素の配置の例) 適宜 採択(一部修正)
02/16/Ad10 2 GHSEG GHS案(付録7:GHSにおける分類提案の例) 適宜 採択(一部修正)
02/16/Ad11 2 GHSEG GHS案(付録8/9:水生環境有害性に関する手引書) 適宜 採択(一部修正)
02/17 2 GHSEG GHS案の技術的及び編集上の修正 適宜 採択
02/18 2 GHSWG GHS健康有害形象 賛成 採択(修正)
02/19 3 加、他 次期2年間の作業計画 適宜 採択(修正)
02/20 3 加、他 GHS履行に関する訓練及び能力強化 適宜 趣旨採択
02/21 2 事務局 2.16章−金属腐蝕 賛成 採択
02/22 5 米国 GHS/TDGの標札に関する研究結果 適宜 採択(修正)
02/23 2 OECD 3.4.1表の注記の関する見直し 適宜 採択







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