国連分類調和専門家小委員会
第3回会合議事概要報告
1. 会期、参加国、議題等
1.1 会期及び開催場所
会期:平成14年7月10日〜12日
場所:国連欧州本部(Palais des Nations、ジュネーブ)
1.2 参加国等
1.2.1 国及び国際機関
(1) |
委員国:アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリー、日本、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、英国及び米国(出席:21カ国、欠席:5カ国、チェコ、イラン、アイルランド、カタール及びウクライナ) |
(2) |
オブザーバー国:中国、デンマーク、メキシコ、ポルトガル、スイス及びザンビア |
(3) |
国連機関及び政府間機関:UNEP、UNITAR、ILO、IMO及びOECD |
(4) |
非政府国際機関:CGA、CEFIC、EIGA、FEA、FIPBM、DGAC(旧HMAC)、AISE、ICCA、ICMM、IOHA、ISO、SDA及びUIC |
1.2.2 |
わが国からの参加者(敬称略・五十音順) |
|
遠藤 秀雄(経済産業省資源エネルギー庁原子力安全・保安院保安課) |
城内 博(日本大学大学院理工学研究科) |
中島紀昭(全日本火薬類保安協会) |
行木美弥(環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課) |
西尾 明美(経済産業省製造産業局化学物質管理課) |
藤原 修三(産業技術総合研究所) |
八十川 欣勇(日本海事検定協会) |
* 小山 清孝(日本化学工業協会:ICCAとして出席) |
1.3 議題の採択
1.3.1 第3回小委員会の予定議題(ST/SG/AC. 10/C. 4/5)は、修正なく採択された。
2. 化学物質の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)
2.1 GHS勧告案
2.1.1 GHS勧告案(IOMC提案(01/11及び01/20〜28))については、事務局が国連勧告とするための編集上の修正を施したものを提案(INF.5/1〜9)した。事務局提案はその内容が膨大かつ詳細事項に亘るので、Correpon W/G(E-mail等の通信によるW/G)を設置して検討することとなり、このW/Gにおける検討結果を本小委員会の議長及び副議長が取りまとめて次回会合の正式文書として提出することとなった。なお、本件に関しての意見は8月1日までに議長又は副議長に提出するが要請されている。
2.1.2 GHS勧告案の修正に関するカナダ/フィンランド/米国共同提案(01/3)及びベルギー/カナダ等8カ国共同提案(02/4)は、若干の修正を加えて採択された。
2.1.3 GHS勧告案の引火性ガスの定義等ガス規定の修正に関するEIGA提案(02/5(引火性ガスの定義)、02/6(シリンダーへの警告文字の使用)、02/8(有害分類における固有の性状)及び02/9(形象決定の優先順位))については、02/8の提案が一部修正の上採択されたのを除いて、他はいずれも採択されなかった(21SCETDGにおいて不採択になったので、02/5は取り下げられた。)。
2.1.4 呼吸器及び皮膚感作性の関するChapter3.4第1表の修正提案(02/12:カナダ/米国)は、OECDにおける検討結果を踏まえて最終決定することとし、一部修正の上当該部分を暫定的に採択することとした。([]付き)。
2.1.5 エアゾールの引火性試験を危険物輸送に関する国連勧告の試験及び判定基準(試験マニュアル)に採り入れる提案(02/10)が21SCETDGで採択されたことに伴い、GHS勧告案ANNEX 11(01/28)を削除し、この試験法を参照する規定を設けることとなった。
2.2 健康有害に対する新GHS形象
2.2.1 慢性毒性を表す形象としてGHS勧告案に示された「!!」は、その有害性を表していないとして2SCETDGにも新形象を提案していたスウェーデンは、今回も4種類の新形象を提案(02/13)した。スウェーデンは各国等に対する新形象に対する事前の調査を基に、これが多くの支持を得ていることを強調した。
2.2.2 新形象については小委員会の多くのメンバーが賛意を示したが、英国、米国及びオーストラリアはGHS勧告案に示された「!!」を支持し、特に米国は新形象に反対する意思を明確にし、本件は会期外Correpon W/Gを設置して検討すべことを提案した。
2.2.3 小委員会は、今回会合においては新形象についての最終決定を行わず、会期外Correpon W/G(日、米、仏、加等12カ国のメンバー及び中国、スペイン、スウェーデン等8カ国1機関の意見提出予定国)における検討結果を基に次回再検討することとした。
2.2.4 Correpon W/Gは、GHS勧告案の「!!」及びスウェーデン提案No.4形象にこれらに代わるものとして提案された形象(あれば)を加えて検討し、満足する合意が得られれば、9月20日までに具体案を提案することとした。この時点で合意が得られない場合には、その結果を新提案策定のために小委員会メンバーに回章し、10月11日までの期限を切って意見を集約する。最終案は10月25日までに提出する。
2.3 GHS/TDGの標札に関する研究結果
2.3.1 米国は前回に引き続きGHSの形象が輸送の分野に及ぼす影響についての研究の進捗状況を報告した。本研究は第1段階の緊急時対応する者についての研究が終わり、第2段階である輸送従事者についての研究を行っているが、その結果がまだ得られていない。米国はこれら2段階の研究結果は12月の会合に提出する予定であることを報告した。
2.3.2 米国は、この研究結果によりGHS形象の実務的適用について問題のいないことが判明した場合には本研究を打ち切り、何らかの問題点があれば対応する提案を考えていることを表明した。
3. 未解決事項及び今後の作業
3.1 未解決事項
3.1.1 OECDは、GHSに関連する未解決事項として、殊に麻酔効果、呼吸器有害及び水反応毒性があること及びTransformation/Dissolution議定書の批准作業が遅れているを報告した。
3.2 今後の作業
3.2.1 今後の作業の実施範囲に関するカナダ、フィンランド及び米国共同提案(02/2)は、一部修正の上その趣旨が採択された。本提案に関連して本小委員会は、OECDに対してその担当分野についての検討を要請した。
3.2.2 GHSにおけるガスの取り扱いに関して今後検討すべき事項についての提案(02/7)は、今回会合での決定は行われなかった。
3.2.3 今後の作業計画については検討事項やその優先項目についての意見が出されたが、具体的な作業計画は、次回会合で決定することとなった。
4. GHSの実施
4.1 各国におけるGHSの実施に関する活動
4.1.1 豪州、ブラジル及び米国は、国内におけるGHSワークショップや関連周知活動を報告し、アルゼンチンは南米地域においてGHSワークショップが組織されることを望んでいることを表明した。
4.2 国際機関におけるGHSの実施に関する活動
4.2.1 ドイツからEC指令のGHSの実施による影響及びその改正の必要性についての検討が行われていることが報告された。
4.2.2 事務局は、SCETDGがGHSを全面的に反映させるために国連モデル規則改正を決定した場合には次期2年間でその作業が終了し、関連する輸送モードの国際規則(RID、ADR、AND、IMDG Code、ICAO TI)の改正が実施されるのは2007年1月1日になるであろうと報告した。
4.2.3 事務局は、GHS勧告の出版に伴い影響すると考えられる国際条約の全ての事務局と連絡をとる予定であることを報告した。
5. 管理能力強化
5.1 UNITAR及びザンビアの代表は、前回会合以来実施されたザンビア、セネガル及びスリランカで実施された訓練及び能力管理強化活動について報告し、さらに南アも今後の活動予定に入っていることを報告した。
5.2 UNITAR、ILO及びOECDは、ヨハネスブルグサミットの準備に関連してGHS管理能力強化プログラムを強化するための新たなパートナーシップを提案しており、若干の機関は既に賛意を示していることを報告した。
6. その他
6.1 IOHA(International Occupational Hygiene Association)の本小委員会へのオブザーバーとしての参加要請(02/11)は、いずれの国からの反対もなく承認された。
7. 次回会合
次回会合の開催予定期日は、次のとおりである。
22SCETDG |
2002年12月2〜6日 |
4SCEGHS |
12月9〜11(AM)日 |
1CETDG&GHS |
12月11(PM)〜13日 |
*****
文書番号 |
議題 |
提案国等 |
文書標題 |
結果 |
備考 |
01/11 |
2 |
OECD |
GHS案健康及び環境有害の分類基準 |
賛成 |
継続 |
01/20 |
2 |
IOMC |
GHS案(目次、はしがき、1章:序文) |
賛成 |
継続 |
01/21 |
2 |
IOMC |
GHS案(2章:物理化学的危険性) |
賛成 |
継続 |
01/22 |
2 |
IOMC |
GHS案(3章:健康及び環境有害性、3.1−3.4) |
賛成 |
継続 |
01/23 |
2 |
IOMC |
GHS案(3章:健康及び環境有害性、3.5−3.10) |
賛成 |
継続 |
01/24 |
2 |
IOMC |
GHS案(4章:GHSの実施についての一般的考察) |
賛成 |
継続 |
01/25 |
2 |
IOMC |
GHS案(付録1:定義と略号、付録2:標札要素の配置) |
賛成 |
継続 |
01/26 |
2 |
IOMC |
GHS案(付録3:分類・標札一覧表、付録2:注意用語等) |
賛成 |
継続 |
01/27 |
2 |
IOMC |
GHS案(付録5−8:消費財に標札、試験方法、標札例等) |
賛成 |
継続 |
01/28 |
3 |
IOMC |
GHS案(付録9−12:GHS利用指針、エアゾール試験法等) |
賛成 |
継続 |
* |
* |
* |
* |
* |
* |
02/1 |
2 |
米国 |
GHS/TDGの標札に関する研究結果 |
適宜 |
情報 |
02/2 |
3 |
加/米他 |
今後作業の可能範囲 |
趣旨賛成 |
*採択 |
02/3 |
2 |
加/米他 |
GHS文書の編集上の変更 |
適宜 |
採択 |
02/4 |
2 |
加/米他 |
GHS文書の修正提案 |
賛成 |
採択 |
02/5 |
2 |
EIGA |
引火性ガスの定義 |
適宜 |
取り下げ |
02/6 |
2 |
EIGA |
シリンダーへの警告文字の使用 |
適宜 |
不採択 |
02/7 |
3 |
EIGA |
GHSの今後の作業 |
適宜 |
不決定 |
02/8 |
2 |
EIGA |
有害分類における固有の性状 |
適宜 |
*採択 |
02/9 |
2 |
EIGA |
形象決定手順 |
適宜 |
不採択 |
02/10 |
2 |
事務局 |
UN危険物試験マニュアルの改正 |
適宜 |
*採択 |
02/11 |
6 |
IOHA |
IOHAの会合参加 |
適宜 |
採択 |
02/12 |
2 |
加/米 |
呼吸又は皮膚感作性の分類基準の追加規定 |
適宜 |
*採択 |
02/13 |
2 |
スウェーデン |
強健康有害に対する新GHS形象 |
適宜 |
継続 |
|
|