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ICPD行動計画実施のための2002年国際国会議員会議(IPCI) カナダ・オタワで開く
 
会議風景
 
 
ブッシュ政権の行動計画からの離脱でESCAP人口会議に暗雲
 
 十一月二十一日・二十七日の両日、カナダ国会(オタワ)で七十カ国から百三十名の国会議員が集まり、国際人口開発会議行動計画実施のための二〇〇二年国際国会議員会議(IPCI)が開催された。この会議は国際人口開発会議で採択された行動計画を実施に移す上で資金不足が深刻になっている現状を打開するために開催されたものである。
 今回はこのICPD行動計画を達成する上で必要とされる資金が先進国からの拠出を中心に大幅に不足しているだけでなく、アメリカ合衆国のブッシュ政権が、カイロでアメリカ合衆国政府として合意した行動計画そのものからの撤退を打ち出したことから、さらに人口問題に対し暗雲が立ち込める中での会議となった。
 
バチカンなど中心に見直しの声、先鋭化
 現在、アメリカ合衆国の行動計画からの撤退を受けて、バチカンなどを中心に行動計画の見直しを求める声が強くなっている。また人口問題に携わっている主要なUNFPA、IPPFなどの機関にたいする、人口プログラムを通じて人工妊娠中絶を促進し、人権を抑圧しているという非難や、中傷を行なうグループの活動が先鋭化している。
 人口問題および行動計画に対する逆風の下で、ブッシュ政権による行動計画からのアメリカ合衆国の離脱表明後、初めて開かれるESCAPの人口会議は今後の世論や国際合意の潮流を決める重要性を持つことになる。そのため、UNPFAとアジア地域から参加した各国代表との特別会合も会議期間中に行なわれた。
 この会議は、ホスト国カナダのカナダ人口・開発議員連盟(CAPPD)が主催し、人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)、アメリカ地域人口・開発議員グループ(IAPG)、アフリカ・アラブ人口・開発議員フォーラム(FAAPPD)、ヨーロッパ地域人口・開発議員フォーラム(IEPFPD)、地球規模的活動のための国会議員たち(PGA)など地域議連の共催、事務局はアメリカ地域の地域議連であるIAPGが務めた。
 会議議長は運営委員会議長を務めたカナダのローズ・マリー・ロジャー・クールCAPPD議長代行(上院議員)、宣言文をまとめる起草委員長を谷津義男AFPPD議長(衆・自)が務めた。副議長はアフリカ・アラブ地域から各一名。各部会議長も各地域のバランスに配慮して選出された。
 地域議連のうちアフリカ・アラブ地域のFAAPPD、ヨーロッパ地域のIEPFPD、ホスト国カナダのCAPPDは、カイロの国際人口開発会議(ICPD)に合わせて開催された国際人口開発議員会議(ICPPD)以来、AFPPDが中心となって開催してきた様々な国際会議の席で、各地域や各国の議員フォーラムを設立するよう呼びかけることによってその設立が果たされたものである。その設立に際してはAFPPDが事務局業務を肩代わりするなど、大きく貢献した。その意味で地域議連の世界的なネットワークの基盤はAFPPDの努力によって構築されたといえる。この各地域議連の共同開催による今回の会議の結果はオタワ公約(コミットメント)にまとめられた。
 オタワ公約は、GNPの〇・七%をODAに向けるという国際合意の再確認と、ICPD行動計画で推計された資金を充足するということが改めて確認されるなど、行動計画を推進し、その目標を達成するために国会議員が果たすべき役割を具体的に述べたものとなった。
 また、地域フォーラムの代表による今回のような世界的な国会議員会議を二年に一度開催し、会議のない年には運営委員会を開くことになった。来年の運営委員会の開催に関してはヨーロッパ地域のIEPFPDがホストを申し入れている。







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