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4. フィリピン
 
<造船向けに特別区、運輸通信相が提唱>
 メンドーサ運輸通信相が、造船業の振興を目的として、造船や船舶の修繕施設専用の特別経済区の設置を提唱した。国内の港湾は比較的水深があるため、これら施設の設置に適しているというもの。
 同相は、運輸通信省が先に開催した戦略的計画会議の中で、船舶修理と造船開発法案を議会に提出すると表明した。法案には、同産業を世界的な水準に引き上げることや、労働者のトレーニング、既存の造船施設改善のための海洋基金設立などの項目が含まれるもよう。
《16 Aug 2002, The Daily NNA》
 
<海運大手、日本から船舶2隻購入>
 WG&A(ウィリアム・ゴソン&アボイティス)の取締役会はこのほど、名門大洋フェリーから船舶2隻を購入する計画を承認した。フィリピン証券取引委員会(PSE)への報告によると、購入額は8億2,800万ペソ。シティバンクを筆頭とするシンジケート団から総額10億ペソを借り入れる予定。
 WG&Aは1996年、ウィリアム・ラインズ、カルロス・ゴトン・ラインズ、アボイティス・シッピングの3社が合弁して設立された。現在は23隻を保有し、国内最大手となった。
《12 Aug 2002, The Daily NNA》
 
<常石テクニカルサービシズ、ITパークに移転へ>
 船舶設計を手掛ける常石テクニカル・サービシズ(フィリピン)はこのほど、アヤラ系列の不動産開発会社セブ・プロパテイー・ベンチャーズ・アンド・デベロプメント(CPVDC)とオフィスレンタルに関する仮契約を結んだ。
 常石は、CPVDCが開発する情報技術(IT)企業向けアジアタウンITパーク内にある「eオフィスワン」の1モジュール(面積1,008平方メートル)と、新たに建設されるeオフィスの1モジュールに入る。契約期間は3年。今年12月中旬に移転を開始する予定。
 同ITパークは昨年2月、IT向けの特別経済区としての認定を受けた。常石は、NECテレコム・ソフトウエア・フィリピンに次いで2社目の入居企業となる。
《08 Aug 2002, The Daily NNA》
 
5. タイ
 
<海運大手トレセン、貨物船2隻を購入>
 海運大手トレセン・タイ・エージェンシー(TTA)は年内に、2万5,000トン級の貨物船2〜3隻を購入する。船舶の老朽化による買い替えで、保有船数は25隻で変わらない見通し。
 同社は過去1年に2万5,000〜3万8,000トンの貨物船5隻を合計2,200万米ドルで購入している。8月に購入した中古貨物船は積載量2万5,000トン、価格は370万米ドルだった。TTAは経済危機以降に為替差損に悩まされたが、前年度(2000年10月〜2001年9月)に5年ぶりの黒字転換に成功。来年度は船数増加により、今年度見込みの売上高31億バーツから35億バーツの増収を期待している。2001年10月〜2002年6月期業績は売上高27億7,400万バーツ、税引き利益4億4,000万バーツ。
《27 Aug 2002, The Daily NNA》
 
<クラ運河計画、FS調査に着手か>
 チャワリット副首相兼国防相は、マラッカ海峡の混雑緩和、航路の短縮を狙ったタイ南部「クラ地峡」での運河建設計画の事業化(FS)調査に乗り出す。クラ地峡はマレー半島の幅が約100kmと最も狭くなる地帯。香港のプーケット・パスプロジェクト社とFS調査についての詰めの作業を実施しているとのこと。FS調査契約は5,000万米ドル規模とのことで、プーケット社以外にも4〜5社が参加する可能性がある。
 インド洋と南シナ海を結ぶ「クラ運河計画」は過去数度浮上しており、昨年9月に政府はFS調査を閣議決定している。ただし、建設費用は7,000億〜1兆バーツ近くに上るとも言われていることや、クラ地峡の南約60キロメートルに原油輸送用パイプラインを建設する計画も発表されているため、クラ地峡運河不要論が浮上する可能性もある。
《08 Aug 2002, Bangkok Post, Thailand》
 
6. オーストラリア
 
<造船オースタル、2倍増益達成>
 西オーストラリア(WA)州パースを拠点とする造船オースタルは、6月期決算で好業績を上げた。売上高は前年度比77%増の3億4,360万豪ドル、純利益は2倍以上の3,040万豪ドル。5豪セントの期末配当を発表した。しかし今年末までに大型契約を確保しなければ、今年度は大幅減益になる可能性があるとのこと。
 同社は新たに、豪華ヨットや旅客専用カタマラン、軍事輸送船の生産を開始。豪華ヨットの中で注目されるのは、ゴルファーのグレッグ・ノーマン氏が注文した全長69.5メートルのスーパーヨット「オージー・ルールズ」(7,000万豪ドル)。また豪海軍の警備艇(4億5,000万豪ドル)の受注にも意欲を示している。
《22 Aug 2002, The Daily NNA》
 
<P&O、南太平洋航路に2隻追加>
 クルーズ船運航のP&Oプリンセス・クルージズは、米ルネッサンス・クルージズから客船2隻を購入した。購入額は1億5,000万米ドル。2隻とも684人乗り。
 1隻は「タヒチアン・プリンセス」と名前を変え、北米クルーズ船プリンセス・クルージズの船として、仏領ポリネシア間を巡航する。もう1隻は「パシフィック・プリンセス」の名前で、太平洋および仏領ポリネシア航路に投入される。11月から翌年4月までは、P&Oクルージズ・オーストラリアの船として、シドニーを拠点にニューカレドニアなど南太平洋諸国を回る予定。5月〜10月は、プリンセス・クルージズがタヒチを拠点に同船を運航する。
 P&Oクルージズ・オストラリァは現在、「パシフィック・スカイ」をシドニー、バヌアツ、ニューカレドニア、フィジー、ニュージーランド間で運航している。搭乗率は97%と人気が高い。今回「パシフィック・プリンセス」を導入したことで、同社の輸送人数は30%ほど増加した。
《12 Aug 2002, The Daily NNA》
 
7. 台湾
 
<石川島播磨重工業、台プラから船舶受注>
 石川島播磨重工業は、台湾プラスチックグループのフォルモサ・プラスチックス・マリン(台塑海運)から大型タンカーとバルクキャリアを2隻ずつ受注したと発表した。
 タンカーはダブルハル構造で28万載貨重量トン、バルクキャリアは17万載貨重量トンのケープサイズ。石川島播磨重工業の呉第1工場(広島県)で建造し、2005年から2006年にかけてフォルモサ・プラスチックス・マリンに引き渡す予定。引き渡し後は、主に麦寮工業団地(雲林県)向けの原油と石炭を輸送する。
 石川島播磨重工業はこれまでに、フォルモサ・プラスチックス・マリン向けにタンカーとバルク船を4隻ずつ建造し、2001年3月から2002年3月にかけて引き渡している。
《30 Aug 2002, The Daily NNA》
 
<陽明海運、中国海運との合弁会社を米で設立>
 陽明海運は中国の中国海運(チャイナシッピング)と、米国ロサンゼルスにコンテナ荷役の合弁会社を設立する計画。
 新会社設立の投資総額は1,857万米ドルで、出資比率は陽明海運と中国海運が4割ずつとし、残り2割を米国の荷役業者マリン・ターミナルズが出資する。9月または10月に営業を開始する予定。陽明海運と中国海運はまた、ロサンゼルス港で専用バースを共用する考え。
《26 Aug 2002、『工商時報』、台湾》
 
8. 韓国
 
<釜山造船業界、中小企業の育成がカギ>
 韓国貿易協会・釜山支部によると、今年上半期の釜山地域の船舶輸出額は2億9,870万米ドルで、昨年同期に比べ65.8%増加し、釜山地域の輸出品目で1位となった。しかし、地域産業として発展を維持するためには、中小企業育成などが課題として挙げられている。
 釜山地域の船舶輸出は現代重工業が95%を占めており、中小の造船業者は修理や国内向けの中小型船舶だけを扱うなど、輸出競争力の不足が問題になっている。また、生産品目の90%以上がコンテナ船舶など大型貨物船で占められおり、建造船舶の引き渡し時期により変動幅が大きく、輸出構造が不安定と指摘されている。このため、貿易協会は中小造船業界を育成し、輸出競争力を高めるとともに、旅客船やヨット、モーターボートなど船種を多様化する必要があるとしている。
《22 Aug 2002, The Daily NNA》
 
<現代商船、自動車船部門を売却へ>
 現代商船は8日の理事会で、現代自動車グループヘの自動車船事業部門の売却を議決した。売却金額は15億米ドルで、ほぼ全額を財務改善目的に使用する。これにより、現代商船の経営改善に弾みがつくとみられている。
 現代自は9日にも理事会を開き、欧州の海運大手ワレニウス・ウィルヘルムセン社との合弁企業設立の案件を論議、議決する予定。現代商船は新会社に対し、自動車船事業を15億米ドルで売却する計画。売却条件はすでに3社間でほぼ合意に達しているもよう。合弁企業は、資本金3億米ドルで設立される予定。出資比率は現代自が20%、ワレニウス・ウィルヘルムセンが80%。
 現代商船の自動車船部門(72隻保有)は、年間売上高が1兆2,000億ウォンと、同社の売り上げ全体の約20%を占める。現代自・起亜自の輸送の80%以上を請け負っている。現代商船は、売却代金のほとんどを負債償還に充てる。同社の負債比率は1,400%から600〜700%に改善する見通し。同社が現在抱える負債規模は約6兆ウォン。自動車船部門の売却により、同社の経営再建が加速すると期待されている。
 現代商船は韓進海運とともに、世界トップ10クラスの大型海運会社。しかし、現代建設やハイニックス半導体(旧現代電子)など現代系列他社の経営悪化のあおりを受けて流動性が悪化し、過去2年間は経営が低迷していた。これまでに、赤字体質から抜け出せない金剛山観光事業からの撤退や、現代重工業の株式売却などの経営改善策を進めている。
《09 Aug 2002, The Daily NNA》
(以上ASIA MARINE NEWS No.103(2002年9月9日付)より)







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