日本財団 図書館


教育訓練・職業訓練関係助成金制度の概要
 厚生労働省では、雇用情勢の悪化を受け、昨年10月に雇用調整助成金制度を改正して一般事業主を助成対象に加えるなど雇用関係給付金制度の充実を図っています。これらの制度の概要については本会報及び速報で既報のとおりですが、本号では各種給付金のうち教育訓練や職業訓練などに関するものを同省発行の冊子から抜粋して紹介します。
 なお、ここでいう「中小企業事業主」とは、造船業の場合、資本・出資の額が3億円以下、または、常時雇用する労働者数が300人以下の事業主をいいます。
 
I. キャリア形成促進助成金
 
1. 概要
 企業内における労働者のキャリア形成の効果的な促進のため、その雇用する労働者を対象として、目標が明確化された職業訓練の実施、職業能力開発休暇の付与、長期教育訓練休暇制度の導入、職業能力評価の実施又はキャリア・コンサルティングの機会の確保を行う事業主に対して助成するもので、訓練給付金、職業能力開発休暇給付金、長期教育訓練休暇制度導入奨励金、職業能力評価推進給付金及びキャリア・コンサルティング推進給付金の5種類があります。
 また、訓練給付金及び職業能力開発休暇給付金の特例として、中小企業労働力確保法に基づく認定組合等の構成中小企業者又は認定中小企業者には中小企業雇用創出等能力開発助成金が、地域雇用開発促進法に基づく「同意能力開発就職促進地域」の事業主又は「同意高度技能活用雇用安定地域」内の事業主団体傘下の構成事業主に対しては地域人材高度化能力開発助成金がそれぞれ支給されます。
 
2. 受給できる事業主
 受給できる事業主は、次のいずれにも該当する事業主です。
(1)雇用保険の適用事業の事業主であること。
(2)労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画及びこれに基づく年間職業能力開発計画を作成している事業主であって、当該計画の内容をその雇用する労働者に対して周知しているものであること。
(3)職業能力開発推進者を選任し、都道府県職業能力開発協会に選任届を提出していること。
(4)以下のいずれかに該当すること。
 
《訓練給付金》
 キャリア形成促進助成金の受給資格認定を受け、年間職業能力開発計画に基づき、その雇用する労働者(雇用保険の被保険者に限る。以下同じ。)に目標が明確であり、職業に必要な専門的な知識若しくは技能を習得させるための職業訓練、配置転換等により新たな職務に就かせるために必要な職業訓練又は定年退職後の再就職の円滑化等のために必要な職業訓練を受けさせること。なお、職業訓練は1コース当たり10時間以上であることが必要で、OJTは対象外です。
《職業能力開発休暇給付金》
 キャリア形成促進助成金の受給資格認定を受け、年間職業能力開発計画に基づき、その雇用する労働者の申し出により、教育訓練、職業能力評価又はキャリア・コンサルティング(キャリア・コンサルティング推進給付金の対象となるキャリア・コンサルティングに限る)を受けるための職業能力開発休暇を与えること。
 (注)キャリア・コンサルティングとは、労働者が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練の受講等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう、労働者の希望に応じて実施される相談をいう。
《長期教育訓練休暇制度導入奨励金》
 キャリア形成促進助成金の受給資格認定を受け、年間職業能力開発計画に基づき、労働協約又は就業規則に定めるところにより、新たに長期教育訓練休暇制度(連続1か月以上)を導入し、当該休暇制度により長期教育訓練休暇の取得者が生じること。
《職業能力評価推進給付金》
 キャリア形成促進助成金の受給資格認定を受け、年間職業能力開発計画に基づき、その雇用する労働者に対して、職業能力の開発及び向上に資するものとして厚生労働大臣が定めるものであって、当該事業主以外の者が行う職業能力評価を受けさせること。
《キャリア・コンサルティング推進給付金》
 キャリア形成促進助成金の受給資格認定を受け、年間職業能力開発計画に基づき、その雇用する労働者に対して、キャリア・コンサルティング(事業外のキャリア・コンサルティングに係る専門的な知識及び技能を有する機関又は個人に委託して実施するものであり、カリキュラムが予め定められているもの)を受けさせること。
《地域人材高度化能力開発助成金》
 以下のいずれかに該当し、地域人材高度化能力開発助成金の受給資格認定を受けている事業主。
(1)地域雇用開発促進法に基づく「同意能力開発就職促進地域」に所在し、当該地域内に居住する求職者を雇い入れ、その雇い入れた者(雇入れ後1年未満の者に限る。)又は内定者に対して、年間訓練計画に基づき、職業訓練を受けさせること又は職業能力開発休暇を与えること。
(2)構成事業主の2/3が地域雇用開発促進法に基づく「同意高度技能活用雇用安定地域」に所在する事業所の事業主で構成され、雇用・能力開発機構都道府県センター所長から人材高度化支援計画の認定を受けた事業主団体を構成する事業主であって、年間職業能力開発計画に基づき、その雇用する労働者又は内定者に職業訓練を受けさせること又は職業能力開発休暇を与えること。
 
3. 受給できる額
《訓練給付金》
(1)職業訓練を受けさせる場合の経費(事業内で自ら行う場合、外部講師の謝金又は教材費等の運営費、事業外の施設で行う場合は、入学料又は受講料等の派遣費)の1/4(中小企業事業主1/3)〔1人1コース5万円を限度〕
(2)職業訓練期間中のその雇用する労働者の賃金の1/4(中小企業事業主1/3)(150日を限度)
《職業能力開発休暇給付金》
(1)職業能力開発休暇期間中の教育訓練の受講及び職業能力評価の受検に要した費用の1/4(中小企業事業主1/3)
(2)職業能力開発休暇期間中のその雇用する労働者の賃金の1/4(中小企業事業主1/3)(原則として150日を限度)
(注)キャリア・コンサルティングに係る休暇については、賃金のみの助成となります。
《長期教育訓練休暇制度導入奨励金》
(1)休暇制度を導入した場合30万円(最初の休暇取得者が発生した場合のみ1回限り支給)。
(2)休暇取得者が発生した場合には、休暇取得者1人につき5万円(休暇取得者が20人を超えるときは20人を限度)。
《職業能力評価推進給付金》
(1)職業能力評価の受検に要する経費(受検料等)の3/4
(2)職業能力評価期間中のその雇用する労働者の賃金の3/4
《キャリア・コンサルティング推進給付金》
 専門機関等へのキャリア・コンサルティングに係る年間委託費用の2分の1に相当する額(初回1年間のみ支給。また、その額が25万円を超える場合は、25万円を限度とする)。
《地域人材高度化能力開発助成金》
(1)職業訓練を受けさせる場合の経費(事業内で自ら行う場合は、外部講師の謝金又は教材費等の運営費、事業外の施設で行う場合、入学料又は受講料等の派遣費又は職業能力開発休暇中の教育訓練の受講に要した経費)の1/3(中小企業事業主1/2)〔1人1コース5万円を限度〕
(2)職業訓練期間又は職業能力開発休暇期間中の賃金の1/3(中小企業事業主1/2)
 
4.受給のための手続(雇用・能力開発機構都道府県センター)
 キャリア形成促進助成金(地域人材高度化能力開発助成金を含む)の受給のための手続は、事業所が所在する都道府県の雇用・能力開発機構の各都道府県センターで行います。手続等の詳細については、雇用・能力開発機構の各都道府県センターまでお問い合わせください。
 
II. 情報関連人材育成事業派遣奨励金
 
1. 概要
 雇用する労働者に情報処理に関して必要な専門的知識及び技能を習得させるため、新事業創出促進法で規定された新事業支援機関が行う職業訓練を受けさせた事業主に対して助成するもので、情報分野での高度な人材の育成を図ることを目的としています。
 
2. 受給できる事業主
 雇用する労働者(雇用保険の被保険者に限る。)に対して新事業創出促進法に基づき都道府県等が策定する「基本構想」の中で情報関連の人材育成を行う支援機関として位置付けられたものが行うプログラムの作成またはコンピュータの利用に係る職業訓練であって、厚生労働省で定めた基準に適合するものを受けさせた事業主に対して支給されます。ただし、派遣された労働者が所定の訓練を修了するに至らなかった場合については、職業訓練を受講させたものとは認められません。
 
3. 受給できる額
 受給できる派遣奨励金は、事業主が負担した当該職業訓練に係る受講料について厚生労働大臣が定める基準に従い算出した額の1/4(中小企業事業主1/3)です。ただし、5万円を限度とします。
 
4. 受給のための手続(雇用・能力開発機構都道府県センター)
 情報関連人材育成事業派遣奨励金を受給しようとする事業主は、必要な書類を揃え、当該職業訓練を行った新事業支援機関の所在地を業務担当区域とする雇用・能力開発機構の各都道府県センターへ提出してください。手続き等の詳細については、当該雇用・能力開発機構の各都道府県センターにお尋ねください。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION