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4. フィリピン
<造船会社の所有、外国人商工会が支持>
 外国人商工会議所が、サンバレス州スービック湾自由港にある造船会社の出資をめぐる最高裁判所の判決を不服とし、政府に見直しを要請していたことが分かった。
 問題となっている造船会社は1994年に当時の資産民営化信託(APT、現在の民営化委員会)が外国のコンソーシアムに払い下げたもの。控訴裁判所は同コンソーシアムの所有を合法としたものの、最高裁がこれを覆す判決を出していた。
 コンソーシアム側は、政府が1991年に出した外資規制リストには同造船所は入っていないとし、外資が主要株式を握ることに何の問題もないと強調している。
 商工会議所は政府にあてた書簡の中で、「われわれを支援しなければ、既存の投資だけでなく将来の投資もなくなるだろう」と警告している。
《10 Jul 2002, The Daily NNA》
 
5. タイ
<タイ財務省、タイ港湾公団等の株式売却>
 財務省は国有企業民営化の一環として2004年までにタイ高速道路公団、タイ国鉄、タイ通信公団、トランスポート社の株式の一部を民間に売却、タイ証券取引所に上場することを計画している。4公団の総資産は合計2180億バーツになるが、4公団とも経営は悪化している。
 財務省は年内にタイ電話公団、タイ空港公団、タイ港湾公団の株式売り出しを計画。クルンタイ銀行、バンクタイ、タイ国際航空についても政府持ち株比率を引き下げる考え。
《01 Jul 2002, The Nation, Thailand》
 
6. オーストラリア
<造船オースタル、NYクルーズ船を受注>
 西オーストラリア(WA)州パースを拠点とする造船オースタルがこのほど、米子会社オースタルUSAを通じてクルーズ船を受注したことを明らかにした。発注先は米ニューヨークのクラウド・ナイン。企業や団体向けにマンハッタン〜クイーンズ間を運航することになる全長41メートルの豪華客船で、2003年4月の完成を予定している。
 オースタルUSAは今年5月にNYで高速フェリーを運営するライトハウス・ファスト・フェリーから双胴船の建設を受注したばかり。豪オースタルのマッキノン管理部長は「米事業の販売が好調なのは非常に喜ばしいこと」と述べている。最高1,700人を雇用する同社のパース造船所では現在、フィリピンなど外国政府の発注を含め総額3億5,000万豪ドル相当の契約を抱えている。
《01 Jul 2002, The Daily NNA》
<軍需産業大手、豪軍に輸送船を供給>
 軍需品・工業機械製造ADIは、豪軍に対して水陸両用ホバークラフトタイプの輸送船6隻を供給する総額3,200万豪ドルの契約を結んだことを明らかにした。
 同社は、15年間にわたってこれらの船のメンテナンスを担当する1,000万豪ドルのサービス契約も合わせて締結。来年2月にニューカッスル造船部門で建造を開始し、2005年4月までにすべての船を引き渡す予定になっている。ヒル防衛相は、アルミ製の船体とディーゼルエンジンを搭載している同船の採用によって、豪軍の機動性向上が見込まれると期待感を表明。
 なお、同社は今年4月、造船部門の従業員89人を解雇していたが、今回の契約によって新たに40人を雇用するとのこと。
《19 Jul 2002, The Daily NNA》
 
7. 台湾
<域外航空海運センターに基隆・台中も>
 政府が現在、域外航空海運センター経由で中国からの貨物の輸入を計画していることを受け、交通部(運輸通信省)は域外航空海運センターの範囲を拡大し、現行の高雄港に加えて基隆港と台中港も開放する方針。
 財政部(財務省)では高雄港だけでなく基隆港、台中港の税関においても準備を終えており、域外航空海運センターに指定された場合、すぐに対応可能な態勢。
 海運事務担当の游芳来・交通部常務次長(運輸通信次官)は域外航空海運センターでの輸入通関は、実務上問題はないが、業務上、技術上の問題について、中国側との事前協議が必要であるとしている。
 中国側は海峡両岸運航交流協会の胡漢湘理事長が2001年9月、台湾が域外航空海運センターでの輸入通関業務を開始した場合には、中国はすべての港湾を開放すると発言している。
《15 Jun 2002,『工商時報』,台湾》
 
8. 韓国
<造船各社、LNG船設備を拡大>
 国内の造船各社が液化天然ガス(LNG)船の建造を拡大するため関連設備の拡充を進めている。国内メーカーは昨年、合計21隻のLNG船を受注。今年上半期にも5隻を受注した。各社はLNG船受注が今後も伸びると予想しており、従来のコンテナ船、タンカー建造から、LNG船建造に相次ぎ力を入れている。
 大宇造船海洋は、年間2〜3隻だったLNG船の建造能力を今年第3四半期中に8〜9隻に拡大する予定。このため、昨年の400億ウォンを上回る460億ウォンを投入する計画。同社は受注全体に占めるLNG船の割合が来年には40%以上になると予想している。
 現代重工業も超大型タンカー(VLCC)建造用のドックをLNG船建造用に転換するなどの方法で、受注増加に対応している。同社は今年、合計9隻を建造する予定。
 サムスン重工業は、来年から年間5〜6隻のLNG船を建造できる生産設備を確保する方針。
《03 Jul 2002, The Daily NNA》
<現代重工業、圧縮天然ガス船を開発>
 現代重工業は、米国のガス貯蔵タンク専門メーカー、エナーシー社と手を組み、圧縮天然ガス(CNG)船の開発を推進すると明らかにした。年内に開発を終える計画。
 液化天然ガス(LNG)船が、天然ガスを零下163度の超低温の液体状態で運搬するのと異なり、CNG船は常温で気体のまま圧縮したガスを運搬する高度な技術が必要な船舶。ガスの積載量はLNG船の4分の1程度になるが、ガスの液化、再気化の必要がなくコストが減らせるというもの。
 同社が開発中のCNG船は長さ289メートル、幅60メートル、高さ29メートル。エナーシー社が貯蔵タンクとタンク運用システムを設計し、現代重工業が船体を受け持つ。現代重工業は、国内船舶メーカーのうち、LNG船建造では高い技術を持ち、これまでに合計41隻を建造している。
《05 Jul 2002, The Daily NNA》
<国内造船業界、新型船舶の開発に拍車>
 国内造船業界が、海洋油田開発の需要増加に合わせ、ガス船を中心にした新型船舶の開発に拍車をかけている。一方、ここ数年間の過剰供給や米国経済の回復の鈍化などにより、造船市場の委縮は当分続くとみられている。
 造船業界によると、現代重工業は最近、ガス貯蔵タンク技術開発企業の米エナーシー社と圧縮天然ガス(CNG)船を、今年末をめど共同開発することを決めた。CNG船は、既存の液化天然ガス(LNG)船とは異なり、天然ガスを常温のまま気体状態で圧縮して運搬する高技術船舶で、開発されるのはこれが初めて。同船舶は、ガスを容量の大きい気体状態で運搬するため、積載量は一般のLNG船の4分の1にしかならないが、天然ガスの再液化・再気化が必要ないため、LNG船より経済的だとのこと。同社はこれに加え、2007年までに複合船舶の「LNG-FPSO」と「LNG-FSRU」、2010年までにクルーズ船の設計・施工技術を確保する長期計画も立てている。
 サムスン重工業は、電気エネルギーを動力とする14万7,000立方メートル級の超大型LNG船を、昨年末に開発した。電気エネルギー推進方式は、ボイラーとスチームタービンの代わりに、電気エネルギーで船を動かすもので、既存の船舶より効率が20%以上高く、運送能力も標準船舶より約9,000立方メートル優れているのが特長。
 大宇造船海洋の場合、今年5月にベルギーのエクスマール社から、既存のLNG船に浮遊式の海洋プラント機能を融合して開発した新型LNG船「LNG-RV」1隻を1億8,200万米ドルで受注した。
 一方、造船市場の景気について、当初は第3四半期までに回復するとの期待が高かったが、米国をはじめ世界景気の回復が鈍化する兆しを見せており、下半期も不透明な状態。現代重工業の関係者は、「海運・造船市場の委縮は当分続く見込み。来年上半期までこのような状態が続く可能性もある」と話している。
《08 Jul 2002, The Daily NNA》
(以上ASIA MARINE NEWS No.102(2002年8月1日付)より)







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