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平成13年度〜17年度内航適正船腹量について
 
 交通政策審議会は、国土交通大臣の諮問を受けて、平成14年3月15日に第2回海事分科会を開催し、「内航海運業の用に供する船舶の平成13年度以降5年間の各年度の適正な船腹量」について審議を行い、国土交通大臣に答申した。
 適正船腹量は、内航海運業の健全な発展を図るうえでの長期的指針とするため、内航海運業法に基づいて国内における貨物輸送の需給状況等を勘案して、油送船、セメント専用船、特殊タンク船、自動車専用船、土・砂利・石材専用船及びその他の貨物船の6船種について定められるものである。
 前回の答申では、貨物船については内航海運暫定措置事業の進展による解撤効果もあり、概ね均衡状態(各年度とも1%程度の船腹不足)にあるとされていたが、今答申では、長引く景気低迷や物流効率化等による輸送需要の低迷により、貨物船の適正船腹量が前回策定値より若干下方修正され、また、貨物船の現有船腹量が前年度に比べ若干増加したこともあり、各年度とも一転して4〜5%程度の船腹過剰となった。国土交通省海事局国内貨物課発表の内航適正船腹量の概要ではこれについて次のとおり述べている。
(1)13年度の国内貨物の輸送需要は、景気の長引く低迷、荷主企業の物流効率化等により、全般的に低迷している。
(2)貨物船については、昨年度は船腹需給が概ね均衡状態にあると見込んでいたが、13年度は鉄鋼、石灰石をはじめとする荷主産業の不況の影響により輸送需要が減少する見込みとなっており、4%程度の船腹過剰状態であると見込まれる。
(3)油送船については、内航海運暫定措置事業による解撤効果等もあり、13年度も引き続き船腹過剰量は一定程度減少しているものの、依然として7%程度の船腹過剰状態であると見込まれる。
(4)14年度以降については、土・砂利・石材専用船の需要が、関空2期、中部国際空港及び神戸空港の埋立工事が14年度を境にピークを過ぎるため、落ち込むものと見込まれる。そのほかの船種は、概ね13年度の数値でほぼ横ばい基調に推移するものと考えられる。
 なお、今回も貨物船の一部を構成するコンテナ船とRORO船について適正船腹量の試算が行われた。これら2船種については現有船腹量が前年比73千G/T増加したにもかかわらず14年度以降は船腹不足の状態が続く見通しとなった。同試算におけるコンテナ船及びRORO船の範囲は次のとおりである。
コンテナ船:コンテナの輸送に適した構造を有する船舶。
RORO船:ランプウェイを有し、自走により積載貨物を積み卸しする荷役方法の船舶で、構造上積み荷が特定の単一種類の貨物に限定される船舶(例:鋼材輸送のRORO船等)以外の船舶。
 また、同審議会は国士交通大臣の諮問を受けて同日、運輸施設整備事業団の造船業構造転換業務に係る平成14年度の納付金率を13年度と同率の0.05%に据え置くことを答申した。
 
内航海運業の用に供する船舶の平成13年度以降5年間の各年度の適正な船腹量
船種 現有船腹量
(H13.6.30)
適正船腹量
13年度 14年度 15年度 16年度 17年度
貨物船 1,608千G/T 1,546
(62)
1,531
(77)
1,528
(80)
1,531
(77)
1,534
(74)
2,826千D/W 2,718
(108)
2,690
(136)
2,686
(140)
2,691
(135)
2,696
(130)
セメント専用船 446千G/T 431
(15)
431
(15)
431
(15)
431
(15)
431
(15)
725千D/W 700
(25)
700
(25)
700
(25)
700
(25)
700
(25)
自動車専用船 161千G/T 159
(2)
158
(3)
158
(3)
158
(3)
158
(3)
130千D/W 128
(2)
128
(2)
128
(2)
128
(2)
128
(2)
土・砂利・石材
専用船
638千G/T 635
(3)
633
(5)
606
(32)
589
(49)
537
(101)
1,220千D/W 1,215
(5)
1,211
(9)
1,159
(61)
1,127
(93)
1,027
(193)
油送船 779千G/T 726
(53)
717
(62)
721
(58)
718
(61)
712
(67)
1,726千m3 1,608
(118)
1,590
(136)
1,597
(129)
1,590
(136)
1,577
(149)
特殊タンク船 225千G/T 222
(3)
222
(3)
222
(3)
222
(3)
222
(3)
356千D/W 352
(4)
352
(4)
352
(4)
352
(4)
352
(4)
小計
(土・砂利・石材専用船除く)
3,219千G/T 3,084
(135)
3,059
(160)
3,060
(159)
3,060
(159)
3,057
(162)
5,763千D/W・千m3 5,506
(257)
5,460
(303)
5,463
(300)
5,461
(302)
5,453
(310)
注 1.
( )内は、現有船腹量に対する船腹過剰量である。
2.
土・砂利・石材専用船については、平成15年度以降、関空2期工事・中部国際空港等の埋立工事がピークを過ぎることから、計算上、大幅な船腹過剰が予測されている。しかし、現実には現有船腹量のうち、総トンの30%(190千G/T)、載貨重量トンの25%(310千D/W)は自家用船舶の臨時投入であり、工事終了と共にこれらが撤退することから、極端な船腹過剰は発生しないものと考えられる。
 
船種別輸送量の見通し
船種 品目 実績 推計
10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度
貨物船
(百万トン)
鉄鋼 48.1 48.6 54.6 49.5 47.9 47.9 47.9 47.9
石灰石 56.5 57.1 59.1 55.0 54.7 54.7 54.7 54.7
その他貨物
(注1)
108.2 111.6 109.4 108.9 108.9 108.9 109.6 110.3
小計 212.9 217.3 223.0 213.4 211.5 211.5 212.2 213.0
セメント専用船
(百万トン)
セメント 45.3 46.0 49.5 47.2 47.2 47.2 47.2 47.2
自動車専用船
(百万トン)
自動車 3.7 3.6 4.0 3.8 3.7 3.7 3.7 3.7
土・砂利・石材専用船
(百万トン)
土・砂利・石材 109.9 115.2 139.6
(実績見込)
228.1 227.3 194.0 176.9 135.1
油送船
(百万キロリットル)
黒油 76.2 70.5 68.6 70.0 67.5 67.8 66.8 64.9
白油 111.7 103.4 98.9 96.4 96.7 97.3 97.6 98.0
その他
(注2)
19.8 20.5 20.3 20.3 20.3 20.3 20.3 20.3
小計 207.7 194.4 187.8 186.7 184.5 185.4 184.6 183.1
特殊タンク船
(百万トン)
高圧ガス等 25.8 26.1 25.7 25.7 25.7 25.7 25.7 25.7
注1.
貨物船の「その他貨物」とは、鉄鋼・石灰石を除いた穀物、石炭製品等である。
2.
油送船の「その他」とは、油脂、ケミカルである。
 
コンテナ船・RORO船の適正船腹量(試算)
船種 現有船腹量(H13.6.30) 適正船腹量
13年度 14年度 15年度 16年度 17年度
コンテナ船・RORO船 363千G/T 359(4) 381(▲18) 404(▲41) 428(▲65) 454(▲91)
300千D/W 297(3) 315(▲15) 334(▲34) 354(▲54) 376(▲76)
(注)( )内は、船腹過剰量で▲は船腹不足の状況を示す。
 
コンテナ船・RORO船の輸送量の見通し(試算)
輸送量(千トン) 実績 推計
10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度
10,093 10,864 12,467 13,744 14,653 15,621 16,654 17,755







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