日本財団 図書館


3.6 工作との関係
3.6.1 リベット・シームの設置
 溶接構造の船体では、脆性破壊が船の断面全体に広がって瞬間的に船が切断するような事故を防止するため、船の中央部にリベット・シームを設けることになっているが、最近の溶接用鋼材と溶接技術の進歩により、リベットシームを省略することが多い。参考として第3.37図にリベットシームを設ける箇所を示した。
 
第3.37図 リベットシームを設ける箇所
(60<L≦120の場合)
 
3.6.2 ブロック分割の方針
 ブロック分割の方針は、造船所の設備能力(クレーン、組立て場所、置場)、工程をこなす能力、使用する船台の状況、建造方式などを十分考慮して決められるが、詳細は「船体工作法」を参照されたい。ブロック分割に当っては、(1)ブロックの形状が矩形または正方形に近く、突出部が少なく整った形状で(2)重量の極端なアンバランスのないこと、(3)運搬時の変形の少ないことなどが要求されるが、とくに構造図を画くに当っては板・型鋼の継手の位置をきめる必要がある。
 継手の位置をきめるに当っては、(1)搭載順序を考える、(2)船殻全体の作業量が最小となるように、(3)船台における取り付け作業が片側までまとまってできるように考える。たとえば第3.38図(a)、(b)、(c)、(d)、(e)のようにする。
3.6.3 切り抜き孔の注意事項
 詳しくは工作図を書く段階で指示すべき事項であか、セレーション、スカラップ、スロット、人孔および軽減孔、電線貫通孔、水切り孔、空気孔、ビルジ抜き孔などが構造図に表われるときは、工作を無視した図を画かないようにする。第3.39図にこれらの例を示す。
3.6.4 防撓材の端末の処理
 工作図を書く段階で詳しく指示すべき事項であるが、形鋼のフリーフランジの端末、フェースバーの端末は、相手部材に直付けするラグ・アタッチメントの場合を除き、すべてスニップまたはソフトトーとする。構造図ではスニップエンドはSで示し、スニップしないで直付けする箇所はC(クリップ)で示す。第3.40図に例を示す。
 
(a)上甲板
(なるべく整った形状)
 
(b)段付二重底
(なるべく凸出部を少なく)
 
(c)二重底、外板、上甲板ブロック
(最小の搭載で最大の固めを)
 
(d)二重底と船側(継手の数を最小に)
 
(e)二重底中心(作業量を最小に)
 
第3.38図 ブロック分割の例
 
(拡大画面:43KB)
第3.39図 孔と切欠きの工作基準一例
 
第3.40図 SとCの使い方の例







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION