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5.2 内構:Inner Structure
 小組立工程までは、図面を見ずに、マーキンされた情報だけで組付けができるようにする。一般に、[ウェブ本体+Fc.PL+小骨:FB.BKT]または[条材+端部BKT]の構成であり、工程の流れが早く、情報の種類も限られ、表示も困難でないからである。当然に、シーチェストのボックス組などの複雑なものは、例外である。
 
 取付度は、取り合う部材のよい大きい方:本体の取付面に示すのが、原則である。
 例外としては、表示が組立工程の仕上マーキンとなる場合、小部材側に示す方が、型定規作成上で単純になったり、本体が共通部材になるといった場合がある。
 
 
5.2.1 直本体:Web on Flat Panel
 平板付きのウェブ類である。皮板付きが直線であり、いずれも型直・連直は不要。
例[図5.2.1 断切ウェブのチェック作画]。断切:インターコスタル部材を連続して描かせると、板厚「抜き」の状況が確認できる。
 
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図5.2.1 断切ウェブのチェック作画
 
 この配置のまま取材するネスティング定規にし、2本火口で板厚を切り離せば、相互の部材精度がよい。
 ウェブではないが、[図5.2.2 二重底ガーダーのネスティング型]に、その例を示す。倣い開先は連続して切断され、精度だけでなく、型作成・マーキンの作業効率もよいのである。
 
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図5.2.2 二重底ガーダーのネスティング型
 
5.2.2 曲本体:Web on Curved Shell
 前後部の曲り外板沿いのウェブで、例[図5.2.3 ウェブ面チェック作画]に見るように、型直線を入れる。この位の小さなウェブなら、振り下げ度でなく直接の取付度表示でよいだろう。Fc.PL長さも、この図で現図データが確認でき、一品図はノー・チェックで済む。また文字・記号は自動位置決めして書くので、このチェック作画で不具合な部分は、実際の原寸型の作画では変更や追加を入力する。
 
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図5.2.3 ウェブ面チェック作画
 
 これもウェブではないが、前掲の図:ガーダー型に対応した、同類の[図5.2.4 二重底フロアの型]を掲げておこう。
 
 曲線マーキンでバッテンを使うか、使わないかで、型の外板付き処理の要領(木型:角出し・当り付け/削り合わせ、紙型:パンチ抜き/ハサミ切り)が異なる。
 
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図5.2.4二重底フロアの型
 
5.2.3 肘板:BKT;Bracket
 手作業の作画現図では、BKT類の型の作成は、よしんば端部形状や取合詳細の施工標準が決められていても、適用は「ひと」なので、都度の繁雑な作業だが、コンピュータによる数値現図システムでは、関連標準をプログラムに織り込むので、適用は自動化されるようになる。
 
1)条材端部BKT
 数値データから作画した[図5.2.5 DK間フレームと端部BKT]に見るように、外板付き曲線に応じて変形はするが、類似範囲は同一パターンが適用される。
 部材突端は、全般として10〜15といった溶接巻き代の寸法で統一されるから、図のBKT形状は、両溶接取合い辺:これを「足」と呼べば、足の長さ寸法指定だけで規定できるのである。やや複雑なソフト・トー(爪先部をRで和らげる)にするBKT形状でも、[図5.2.6 ソフト・トーBKT標準例]のように工夫次第で、“A”寸法だけで決められる設計にできる。
 
図5.2.5 DK間フレームと端部BKT
 
図5.2.6 ソフト・トーBKT標準例
 
 これらの端部BKTは後述[5.3 条材:Section]と組み合わされる部材で、その章にて説明するのが、システムとしては座りがいいが、本書では、このBKT類だけは、敢えて形態分類で扱ってみた。
 機能的には、皮板→条材→端部BKT・・・の体系である。→印は、Goの意。
 
2)T.BKT
 細長比の高いウェブ類の中間に設けられる倒れ止め:Tripping用のBKTであるが、これらも足元寸法か、または、その対角の「踏張り」度だけで規定される。
 [図5.2.7 トランス・ウェブとT.BKTの型]に見るのは、踏張り度=22°(一定値)で、ロンジ・トップ・スキャロップがソフト・タイプの標準例である。
 
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図5.2.7 トランス・ウェブとT.BKTの型
 
 ウェブ付きの長さは、本体の取付線で計算されており、標準パターン指定もウェブ本体上で行われているので、T.BKTやFBの小骨類は、自動的に処理される。このことからも、本体を一次部材、小骨を二次部材と呼ぶのである。
 前項の端部BKTの機能位置付けに倣うと、ウェブ→Fc.PL/T.BKT/小骨FBの体系にある。/印は、And Orの意。
 Fc.PLのない[図5.2.8 二重殻外板のウェブ]に示す小骨も同様である。内殻と外殻のロンジは、同一面上にないから、小骨は捩じらないとロンジ・トップに取り合わない。図のT.BKTは、折れ:K.Lを入れて処理した例である。この場合もK.Lタスキの方向さえパターン化されておれば、BKT深さ“D”と遊縁(フリーエッジ)のFL寸法の指定で決まってくる。
 FB小骨の場合は、次章で説明することにしよう。
 
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図5.2.8 二重殻外板のウェブ
 
3)その他のBKTブレストフック、ブルワークステイ、テーパーオフBKT・・・などなど種々あるが、構造線図から起こさないと形状が出なかったり、パターン化にも馴染まず、つど一次部材として処理される。部材数は多くないが、このような例外処理のあり方は、数値現図システム選択にあっての格好の評価項目であろう。







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