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船用プロペラ軸回転計―電気式及び無接触式(案)
 
1 適用範囲
 この国際規格は、1974SOLAS(2000改正)条約の第V章に規定される電気式プロペラ軸回転計及び無接触式プロペラ軸回転計(以下、回転計という。)の構造、性能、試験について明記したものである。
 
2 引用規格
The following referenced documents are indispensable for the application of this document.
For dated references, only the edition cited applies. For undated references, the latest edition of the referenced document (including any amendments) applies.
IEC 60945: Marine navigation and radiocommunication equipment and systems - General requirements - Methods of testing and required test results.
IEC 61162: Maritime navigation and radiocommunication equipment and systems - Digital interfaces
 
3 用語と定義
 この国際規格のために、次の用語と定義を適用する。
 
3.1 プロペラ軸回転計
 プロペラ軸の毎分回転数又は毎分回転数と回転方向を遠隔指示する計器。
 
3.2 電気式
 プロペラ軸から伝動装置を介して駆動され、プロペラ軸の回転速度(毎分回転数)及び回転方向を発信する発電機を用いる方式。
 
3.3 無接触式
 回転検出器が、プロペラ軸系のターニングギヤ又はスリットのある円板などによって確実にパルスを検出し、それを信号変換器に介する方式。
 
3.4 指示精度
 プロペラ軸の回転数とその回転数を示す受信器との誤差。
 
3.5 制動性
 受信器に最大目盛の1/2に相当する電流を急に流した時の指針の動き。
 
4 構造
 
4.1 構造一般
 構造一般は、次による。
4.1.1 外被は、堅ろうで調整・整備が容易な構造とする。
4.1.2 計器照明灯付受信器及び計器照明灯光度加減器には、接地端子を設けるか確実に接地できる構造としなければならない。ただし、無接触式の場合、信号変換器にもこの規定を適用しなければならない。
4.1.3 受信器の構造は、次による。
 a) 受信器は、発信装置と電気的に接続され、プロペラ軸の毎分回転数及び回転方向を指示できる構造とする。
 b) 回転速度目盛は、時計回りを前進とし、最大値は前進、後進とも100、120、150、200、250、300、350、400又は450rpmとするのがよい。
Additional linear range scales may be provided.
 c) 受信器は、適切な方法によって指度調製及び零位調整ができなければならない。
 d) 受信器は、指示を容易に、しかも明りょうに読み取ることができる構造とする。
 e) 目盛板の地色は、黒又は白とする。
 f) The color of pointer shall be black when the ground color of dial is white, or vice versa.
Those white illumination shall be capable of being read clearly even in the dark or in the dim light.
All illumination and lighting of instruments shall be adjustable down to zero, except the lighting of warning and alarm indicators and the control of the dimmers which shall remain readable.
 g) 照明装置は、夜間当直者の視覚を妨げず暗中及び薄明かりのもとでも、目盛、指針、文字などができるだけ均一に見える構造とする。
 
4.2 個別構造
 回転計の構造は、4.1によるほか、電気式及び無接触式それぞれの回転計によって次の個別構造を備えなければならない
4.2.1 電気式
 a) 伝動装置 伝動装置は、次による。ただし、主機関のカム軸などに直結する場合は、伝動装置を設けない。
(1) プロペラ軸系の回転を滑りがなく円滑に発信装置に伝える構造とする。
(2) プロペラ軸の回転中、任意に発信装置を停止又は駆動できるようなクラッチ構造を備えるのがよい。
(3) プロペラ軸系からの回転伝動部の構造は、歯車式とするのがよい。
(4) 駆動歯車は、プロペラ軸の回転部に容易に、しかも確実に取り付けることができる構造とする。
 b) 発信装置 発信装置は、次による。
(1) プロペラ軸から伝動装置を介して駆動され、プロペラ軸の回転速度(毎分回転数)及び回転方向を発信する発電機を用いる。
(2) 接続される受信器の構成個数に応じて、それぞれの受信器を同時に作動させるために十分な容量をもっていなければならない。
なお、自動化及び計測装置用に出力する場合には、それらの容量も考慮に入れる。
 c) 接続箱 接続箱は、所要数の受信器を接続できるものとし、受信器の個数が変わっても、各々の受信器に誤差を生じないよう補償装置を備える。
なお、交流式の場合には、必要な整流装置などは、接続箱内に設ける。
4.2.2 無接触式
 a) 回転検出器 回転検出器は、プロペラ軸系のターニングギヤ又はスリットのある円板などによって確実にパルスを検出できる構造とする。
 b) 信号変換器 信号変換器は、プロペラ軸のパルスを出力電圧に変換できる構造とする。
 
5 性能要求
 
5.1 釣合い
 受信器に電流を流さないで、正規の取付状態から30度の角度にいずれの方向に傾斜させても、零位からの指針の偏差は、可視径が約φ150mmより大きいものでは左右最大目盛の和の±1%以内、それよりも小さいものでは±2%以内でなければならない。
 
5.2 摩擦誤差
 受信器に受信器の回転数に相当する電圧を加え、指針を零からそれぞれ前進及び後進最大目盛まで陰々に往復させ、受信器の最大目盛の0%、25%、50%、75%、100%ごとに指度を測定し、往復の指度の差は可視径が約φ150mmより大きいものでは左右最大目盛の和の±0.5%以内、それよりも小さいものでは±1.0%以内でなければならない。
 
5.3 指示精度
 (文頭記載の表現については事務局が検討する。)承認された試験機により回転検出器及び信号変換器を作動させ、受信器の最大目盛の0%、25%、50%、75%、100%ごとに指度を測定し、認められた試験機との誤差は20℃に換算して、可視径が約φ150mmより大きいものでは左右最大目盛の和の±0.5%以内、それよりも小さいものでは±1.0%以内でなければならない。
 
5.4 制動性
 受信器にその最大目盛の1/2に相当する電流を急に流したとき、指針は、最大目盛の2/3の目盛を越えてはならない。
 
5.5 零位
 受信器にその最大目盛に相当する電圧を30分間加え、これを零に戻した直後、零位のくるいは外箱を軽くたたいて、可動部の摩擦を取り除き可視径が約φ150mmより大きいものでは、左右最大目盛の和の±0.25%、それよりも小さいものでは±0.5%以内でなければならない。
 
5.6 信号変換器出力電圧
 受信器の最大目盛に相当する出力電圧は、受信器を同時に作動させるために、十分な容量とする。
 
5.7 信号変換器出力電圧精度
 出力電圧の出力精度は、次による。
5.7.1 精度
 出力電圧の出力精度は、受信器の最大目盛に相当する出力電圧に対する比率で表し、O.2%以内でなければならない。
5.7.2 応答速度
 信号変換器の入力パルスを最大回転速度の1/2に相当する毎秒当たりのパルス数より最大回転速度に相当する毎秒当たりのパルス数に急に切り換えたとき、出力電圧が最大回転速度相当電圧に達する時間は、1秒以内でなければならない。
 
5.8 電源変動
 回転計は、次の電源変動を加えたとき、5.3、5.6及び5.7の性能を保持しなければならない。
5.8.1
 電源の接・断を繰り返した後、手動調整しなくても指定した性能に支障があってはならない。
 
5.8.2 表 定格電圧と定格周波数の変動率
整定時 電圧変動 ±10% Fluctuating Period:600s
周波数変動 ±5%
過渡時 電圧変動 ±20% Fluctuating Period:3s
周波数変動 ±10%
 
5.8.3
蓄電池を電源とする回転計は、定格電圧が+20%及び―20%で変動したとき、指定した性能に支障があってはならない。
 
5.9 Insulation resistance
The indicator shall satisfy with the performance of test voltage 500V and insulation resistance 10MΩ.
The electronic circuit using the semiconductor element, however, shall be omitted.
 
5.10 耐電圧
 回転計の充電部と大地の間に商用周波数で正弦波に近い電圧を徐々に加え、下記の表の試験電圧に達した後 1分間これに耐えなければならない。ただし、半導体を使用した電子回路及び計器照明灯光度加減器は、除外する。
 
表 試験電圧
単位 V
定格電圧 試験電圧
DC24V 500
AC100,110,115 1500
AC220,230,240 2000
 







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