日本財団 図書館


ISO/TC 8/SC 1/WG 1
(船舶及び海洋技術専門委員会/救命及び防火設備分科委員会/救命及びはしご作業委員会)
コペンハーゲン会議出席報告
財団法人 日本船舶標準協会
 
 ISO/TC 8/SC 1/WG 1(船舶及び海洋技術専門委員会/救命及び防火設備分科委員会/救命及びはしご作業委員会)コペンハーゲン会議が2003年1月13日及び14日の2日間、デンマークCharlottenlund市のDanish Standards Associationで開催された。
 この会議では、「生存艇及び救助艇の装備品」及び「袖付保温具」などの救命設備についての審議が行われた。そこで、これらの審議項目や国際規格原案に我が国の意見を反映させるため、本会救命部会委員の太田 進氏(独立行政法人 海上技術安全研究所)に同会議に御出席いただいたので、ここにその内容及び結果を報告する。
 
1 開会
 2002年1月13日09:30、議長のJ. P. Bie 氏が開会を宣言した。
 
2 参加者
 以下に示す5カ国、8名が会議に参加した。
 
Mr. Jens Peter Bie Viking Life-Saving Equipment/DS(議長、デンマーク)
Mr. Kurt Heinz USA/ANSI(SC 1事務局、米国)
Mr. Tom Thompson U.S. Marine Safety Association(米国)
Mr. Hans-Jørgen Mølstrand Danish Standards/DS(デンマーク)
Mr. Peter Zell GL/IACS(独)
Mr. John Marshall RFD Ltd.(英国)
Mr. Pascal Michaud Zodiac/DBC(仏)
Mr. Susumu Ota 海上技術安全研究所/日本船舶標準協会(日本)
 
3 議題の採択
 SC 1 N 163(添付資料1参照)を議題として採択した。
 
4 ドラフト・コミッティーの設置
 今回はWG会議であり正式な決議は作成しないため、ドラフト・コミッティーは設置しなかった。
 
5 議事
5.1 生存艇及び救助艇の装備品
 「生存艇及び救助艇の装備品」については、SC 1 N 154(添付資料2参照)に基づき、NWIP(新規標準化項目提案)の投票を実施するためのWDを作成した。審議の概要は以下の通りである。
・最新のISO規格を取り入れ、原案(SC 1 N 154:添付資料2参照)にあるANSI規格等を可能な限り規格案のNormative Referenceから外すため、Mr. Hans−Jorgen Molstrandに各種ISO規格を調査していただき、取り入れについて検討した。
・現行LSA Codeに無い装備品(1983 SOLAS改正前に要求されていた装備品等)は、規格本文から削除し、全てInformative ANNEXに含めた。
・装備品(equipment)ではなく艤装品(fittings)に相当するものの取り扱いについて議論があった。その結果、艤装品であることを明記した上で、規格案に含めた。
・救助用の浮輪(30 mの索付)については、索の太さ等について審議したが、結論は得られなかった。索の太さについては、手で引く場合、基本的には8 mmとすべき(救命浮環の索の太さ)との考えが述べられたが、特に浮輪を飛ばす必要があることを考慮すれば、8 mmでは太すぎる旨、日本代表の太田氏が指摘したところ、今後の課題となった。
・ビルジポンプについては、米国と日本で標準となる仕様が違っていることが明らかであり、今後の検討事項であることが確認された。
・釣り具及び応急医療具(医薬品を含む)については、今後各国の規格を比較することになった。本件については1月13日に議論があり、1月14日の会議前に、日本船舶標準協会/救命部会委員の方々から、日本代表の太田氏に情報を送ったが、会議時間の都合もあり、今回会議では審議されなかった。今後再度、情報を整理して、事務局に送付することが期待されている。
・可搬型消火器の大きさ及ぶ数については、WG 1では検討が困難であり、WG 3に検討を依頼することも視野に入れて、今後の課題とされた。
・生存艇のコンパスとビナクルについては、ISO 613(クラスB磁気コンパス、ビナクル及び方位測定具)を参照することになった。但し、LSA Codeの脚注のISO 10316(クラスB磁気コンパスの試験及び検定)との関係が問題となり、試験についてはISO 10316に従うことになった。
・自由降下式救命艇のコンパスについては適当な規格がなく、今後の課題とされた。
・日光信号鏡については、日本代表の太田氏の指摘により、材料にはプラスチックも含めることになった。今後は、プラスチック製の日光信号鏡の規格を追加する方向で、検討を進めることになった。
・水密電気灯については、SC 1 N 154(添付資料2参照)では米国規格(ANSI)が参照されていたが、これについては、基本的機能のみを抽出することとなった。
・缶切りとナイフを合わせたものを認めると、検査の際に混乱の原因となるため、ISO規格としては、ナイフについた缶切り(アーミーナイフ的なもの)は認めない方が良いのではなかろうかとの指摘があった。
・オールの数については、規格案に示した数は参考値とし、基本的にはIMO Res. A.689 (17)に基づく試験(操縦性試験)時に使用した数とすることになった。どの試験時のものか、詳細については今後検討される予定である。
 その他、多くの審議がなされた結果、NWIPの投票用の草案(添付資料3−1及び3−2参照)が作成された。今後事務局から各国に送付される予定である。
 内容に関して、今後、我が国の規格を反映させる等の対処が必要と考えられる事項は以下の通り。
・ビルジポンプ
・釣り具
・応急医療品(医薬品を含む)
・日光信号鏡
・水密電気灯
 
5.2 袖付保温具
 「袖付保温具」については、IMOの性能基準以上の内容をISO規格にすることが2002年4月に海上技術安全研究所で開催されたISO/TC 8/SC 1の会議で合意された。一方、日本代表の指摘により「袖無し」の保温具については適用しない旨が確認されたため、表題が「袖付保温具」とされたものである。
 「袖付保温具」については、SC 1 N 150(添付資料4参照)に基づき、1月14日の午前中に2時間程度、CDとしての承認の投票を実施するための案を作成した。審議概要は以下の通り。
・Normative referencesをISOのものに変更したが、色、試験用の油等、検討の余地が残された。
・再帰反射材の要否について意見を交換した。仮の案として、200 cm2の再帰反射材を付けることにしたが、議論の余地がある。
・装着試験については、試験を実際する際の環境(生存艇の中で実施する等)について議論があった。仮の案として、定員が乗船した生存艇の中で実施することでどうかといったことが審議された。
・試験結果の書式に関する6.3節を加えた。
・その他、製品と試験法の関係を明記するなど、Editorialな修正が行われた。
 審議の結果CD投票用の規格案(CD 24432:添付資料5参照。今後事務局が一部修正の予定)が作成された。
 
6 次回会議
 次回のSC 1会議は2003年4月14日〜16日に米国ボルチモアで開催される旨が事務局より述べられた(添付資料6(Report of the meeting)参照)。
 
7 その他
 開催国であり各種便宜を図っていただいたDanish Standards Associationに、出席者各位から謝辞が述べられた。
 
8 決 議
 今回会議では、決議は出されなかった。
 
9 閉会
 1月14日午後18時30分、議長のJ. P. Bie氏は閉会を宣言した。
 
以上







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION