日本財団 図書館


ドイツから提案された2001年1月23日付Proposal "Test Standard Oil SPILL Response Equipment"の修正案に対する意見書
添付資料 5
平成14年2月8日
(株)ワールドケミカル
パート1−オイルスキマ−
1. 項目の追加
 ドイツ提案の試験規格は全ての種類のスキマーが試験できる内容になっていない。
 例えば、船に搭載してその推進力を利用しないと機能できないスキマーでは、この試験方法は適用できない。
 そのため、昨年日本が提案したように、この試験規格が適用できる範囲を明示すべきである。
 それで、依然として下記の項目を追加することを求める。
1)適用範囲
 この試験規格は、定置型でスキマー自体にポンプが組み込まれているか、その他の流体移送手段と組み合わせて水面上の油を回収する目的の装置に適用する。
 油回収専用船や船舶に搭載してその推進力を利用しながら水面の油を回収する装置は、この規格の適用範囲外とする。
 
2. 4.1)項の修正
(1)試験水槽の水面形状について
 試験水槽の水面形状を規定するにはその理由が必要であるが、この試験方法の中にはその形状を正三角形にしなければならない理由が見当たらない。
 試験区域の形状を正三角形にすると、試験すべきスキマーにとってはむしろ不利となることが予想される。
 高粘度油を使った試験を行う場合、三角形の角が直角よりも小さいために、その内側に散布した油のいくらかは粘性と粘着性によりスキマーの方へ移動できなくなる。性能に優れた堰式スキマーや付着式スキマーでは、試験区域内の油をほとんど回収しても三角形の角の内側に付着した油は回収できないことになる。それで、最初に散布した油の量は無意味となり、スキマーの性能結果にも悪影響する。
 試験区域を形成する壁の効果はスキマーの性能とは関係ないので、できる限り排除すべきである。
 
(2)試験時間について
 スキマーの性能は水面の油を如何に速く回収するかにより評価されるので、試験時間は規定すべきでない。
 性能に優れたスキマーは規定した時間よりもずっと速く回収可能な油の回収を完了するかも知れない。
 残った時間は油のない水面でスキマーの運転が無意味に継続されるだけである。この結果はスキマーの性能として示される。付着式スキマーの場合は比較的影響が小さいが、堰式スキマーでは油のない水面で水ばかりを回収するため、油回収効率の減少という結果に帰着する。
 例えば、銘板記載の回収量が10m2/hのスキマーで次の4.2項に示される低粘度油の試験を行う場合、油の散布量は20リットルでスキマーの1分当たり回収量は約167リットルである。このグループの試験時間は20分であるため、全回収量は3,330リットルとなる。このスキマーが初めに散布した油を全て回収しても、油回収効率はわずかに0.6%と非常に低い値となる。一般に、油回収効率は水分の回収量が比較的少ないモップ式スキマーや円盤式スキマーでは70%以上であり、堰式スキマーでも40〜50%に達する。これらの結果と比較しても0.6%という値は異常に小さい数値である。この試験方法では、このような結果がスキマーの性能として過少評価される恐れが十分にある。
 スキマー試験の場合、試験時間は結果であって、試験条件のパラメータではない。
 
(3)回収量と測定精度について
 表1において、各グループの最大能力のスキマーを使って規定の時間、回収試験を行ったときの回収量は最大で8m3となる。この量を貯蔵するために十分な回収タンクの大きさを10m3と仮定し、その形状を正方体と考えると1辺の長さは2.15mとなり、その平面積は4.64 m2である。
 また、グループ0またはグループIのスキマーを使って低粘度油の試験を行うときの散布量は20リットルである。散布した試験油の全量を同じ回収タンク内に回収すると、その厚さは4.3mmである。
 油回収性能は試験するスキマーの能力によって異なるため、タンクに回収した油の厚さは最小0から最大4.3mmの範囲を変動することになる。この油層を厚さで精度良く測定するのは困難である。
 そのために、回収油量の測定方法を別に考える必要がある。
 
(4)表1について
 4.1項には「表1に示すように」とあるので、表番号とタイトルを付けるべきである。
 回収量の分類が科学的でない。回収量の分類はこの表の基本的なパラメータなので、昨年日本が提案したような分類方法で明確に表示すべきである。
 
(5)試験条件について
 ドイツの提案では静水試験だけを規定しているが、スキマーの性能は静水中と波浪中で大幅に異なる可能性があるため、波浪試験を加えるべきである。
 
(6)記載内容について
 この項の最後の4行には試験方法が記述されているので、この部分を5)項の冒頭に移動する。
 
3. 4.2項の修正
(1)記載内容について
 申請者とメーカが主語になって同じ内容の文章が2つ続いているので、後者を削除する。
 
(2)試験温度について
 「油と水の温度を+20℃(±5%)にしなければならない。」とあるが、この試験条件は試験設備の能力に依存し、屋外施設の場合は設定条件の制御が不可能である。
 試験条件を一定にして常に同じ条件でスキマーを評価することは理想的であるが、申請者が申し込む時期によっては試験施設の能力がこの条件を満足できないことがある。
 このため、試験時の油温と水温を測定し、その温度における試験油の粘度を「温度−粘度図表」から換算した後、報告書に明示すべきである。
 
(3)試験油の種類について
 この項には試験油の種類は規定されていないが、常に安定した品質のものが入手しやすい潤滑油を規定した方が良い。重油などの石油製品は原油の産地や生産時期によって品質や性状が変動し、試験施設や人体に対する悪影響も大きいので採用は避けるべきである。
 
(4)表2について
 表2に表番号とタイトルを付けるべきである。
 
4. 5)項の修正
 測定項目は示されているが、結果報告をより明確にするために、次の内容をこの項目の最後に追加することを提案する。
 
 スキマーの回収能力は回収した油水と試験時間から次の式により算出する。
 
i)エマルジョンを含まない油の回収量(Oil Recovery Rate without Emulsion : ORR)
 
 
ii)エマルジョンを含まない油の回収効率(Recovery Efficiency without Emulsion : RE)
 
 
iii)エマルジョンの回収量(Recovery Rate of Emulsion : RRE)
 
 
5. 項目の欠落
 6)項が欠落している。
 
(財)日本船舶標準協会
標準委員会/環境部会議長 徳田 拡士 先生
メールアドレス : mailto:hi-tokuda@mbc.sphere.ne.jp
 
海上災害防止センター
総務部/調査研究室 小倉 秀 室長
メールアドレス : mailto:ogura@mdpc.or.jp
 
(財)日本船舶標準協会
国際部 小林 正雄 課長
メールアドレス : mailto:koba-m@jmsa.or.jp







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION