日本財団 図書館


付録20B TBR第2次報告書(仮訳)
(2001年7月)
 
公開版
TBR委員会への報告書
 
 理事会規則(EC)No3286/94に基づく、韓国により維持され商業用船舶の取引に影響を及ぼしている商慣行による貿易障壁に関する調査手続き
 
 輸出補助金に関する補足報告書
 
 提訴主体:欧州造船業協会(CESA)
 
語句の定義
 
KEXIM:韓国輸出入銀行
KDB:韓国産業銀行
ASCM:WTO補助金及び相殺措置に関する協定
取極め:OECD公的輸出信用ガイドライン取極め
了解:船舶輸出信用了解
 
第1版 2000年7月
 
エグゼクティブ・サマリー
A. 序論
 2000年10月24日、欧州造船業境界(CESA)は、韓国の造船助成が、WTO補助金及び相殺措置に関する協定(ASCM)第3条及び第5条に抵触するとして、理事会規則(Council Regulation)3286/94(貿易障壁規則(TBR))第3条及び第4条に従って提訴した。欧州委は、TBR委員会と協議の上、2000年12月2日に調査を開始した。
 
 欧州委によるTBR調査報告は2001年5月8日に加盟国諮問委員会に提出された。当該調査により、韓国は、主として国有の韓国輸出入銀行(KEXIM)の輸出補助スキーム、及び政府所有または政府がコントロールする金融機関による債務免除、債務の出資転換という形で、相当額の助成を行っていることが判明した。さらに、問題の助成は、WTO補助金協定に照らして、EU産業に不利な影響を及ぼしている証拠があり、従って、提訴の根拠となる。
 
 KEXIMプログラムに関しては、入手可能な事実に基づき、韓国政府が全ての韓国造船所に、ASCM第3条で禁じられている輸出補助金を供与したと考えられる。しかしながら欧州委は、韓国政府及び造船所が重要な情報の提供を怠った輸出補助スキームについて、さらに調査を継続し、これらのスキームと、その影響に関する報告書も程なく発表するとした。
 
B. 問題とされる慣行
(i) 国内サプライヤーヘの輸出融資
  KEXIMは造船所が外国バイヤーと代金後払い契約を結ぶことに同意した場合、韓国造船事業者に対して融資を提供している。
入手できた情報からは、KEXIMがOECDの船舶に関する了解の条項を守っているかどうかについて、結論は出なかった。しかし、このスキームの影響が限られていることを考えると、この問題について結論を出す必要はないと考えられる。
(ii) 引渡し前融資
  KEXIMは、原材料、人権費、間接費等の建造コストの資金として、船舶の引渡しまで、造船事業者に引渡し前融資提供している。引渡し前融資は、ASCMの附属書I、パラグラフ(a)に照らして、直接輸出補助と見なされる。引渡し前融資の存在は、韓国造船事業者に対し、直接的な競争上の利益を提供するため、特に加害的である。
引渡し前融資により、造船事業者は魅力的な支払条件と連結した低船価をバイヤーに提供することができる。
(iii) 前受金返還保証(APRG)
  KEXIMは、韓国造船事業者が契約責任を果たせなかった場合、外国バイヤーが韓国造船事業者に前払いした金額を、元利共に払い戻すことを保証している。前受金返還保証プログラムは、ASCM3.1条(a)で禁止されている助成にあたる。
払い戻し保証制度は造船事業者にとって非常に重要な運転資金源である。造船事業者が銀行からこの種の保証を受けられない限り、買い手が契約を結ぶことはまずない。その結果、助成による保証スキームの実際の金額が、船価全体に閉める割合は少ないが、その存在自体が契約の実現を左右する要素となるために、その影響は甚大である。
 
C. 結論
 入手できた証拠から、KEXIMの「引渡し前融資」及び「前受金返還保証」プログラムは、ASCM第1条に照らして、韓国造船事業者に対する助成の供与にあたる。
 
 問題のKEXIM助成は、ASCM第3条に規定される、法律上輸出を行っていることに基づくものにあたり、第2条3に規定される特定性を有している。
 
D. 勧告
 欧州委は助成の撤回または、悪影響の除去を求めて、韓国政府と協議中である。このような解決策が友好的に達成されないかぎり、WTO紛争解決了解の枠組み、具体的にはASCMの関連条項にしたがって、提訴の手続きを開始する必要がある。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION