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<11>材料識別及び購買システム(MIDAPS:Material Identification & Procurement System)
期間:2001年4月−2001年12月
コスト総額10万ドル(ONR SBIR)
 MIDAPSについてはI−4章で紹介済みであるが、本プロジェクトのSBIR契約企業はKBS(Knowledge Based Systems)で、他にベンダー造船が参加している。MIDAPSソフトウエア開発プロジェクトは2つの段階に分かれている。第2段階はここで紹介する第1段階終了後、2002年3月より開始される。MIDAPSは中央データベースから材料マネージメントを含めI−4章で紹介した建造時の諸活動の情報を刻々と示し、新造船にも修理船にも適用可能なソフトウエアである。第1段階ではMIDAPSのプロトタイプが完成され、第2段階では造船所の製造工程に適用するデモンストレーションが実施されMIDAPSで建造/修理のサイクルタイム、コスト及び加工能率等が定量的に測定される。
 
<12>軍民両用浮きドック(Convertible Floating Dock)
期間:2000年3月〜2002年12月、コスト総額:100万ドル(ONR ManTech及びJoint Modular Lighter Program Office)
 SBIR契約企業はアートアンダーソン・アソーシエイツ、他にニコルス・ブラザース・ボート製造所が参加している。本プロジェクトはモジュール・ハシケ・システム(JMLS: Joint Modular Lighterage System)と呼ばれる、はしけを現地でつなぎ合せるシステムを米国造船所で建造し、世界中どこでへでも曳航し軍民両用の目的に使用しようと言うものである。JMLSは1,200フィートの浮き道路を36時間で組み立てることが出来る。現在最もJMLSが必要視されているのは軍事用では着岸設備の無い地域に派遣された艦艇の物資・人員揚陸用、民生用では急速に普及し着岸設備が不足している高速フェリー着岸用である。本プロジェクトの第1段階では設計、コスト分析、第2段階では詳細設計、製造法の確立、第3段階で2種類のプロトタイプが建造されることになっている。
 
ONR STTR
<13>造船コストを最小とするための自動スケジュール作成(Automated Scheduling to Minimize Shipbuilding Cost)
期間:1999年9月〜2002年2月
コスト総額:45万ドル(ONR ManTech 35万ドル、NSRP 10万ドル)
 STTR契約企業はオレゴン大学オンタイム・システム及びコンピューター・インテリジェンス研究所、その他エレクトリック・ボート(EB)が参加している。本プロジェクトは船舶建造コストを最小化するために工程スケジュールを最適化する因子は何かを、艦艇及び商船の各々について見出し、それらを軸に自動的に工程表を作成するシステムを開発することを目標としている。工程スケジュール最適化因子の決定は造船所、海軍、及びNSRPの関係者が集まって決定する。本システム適用のモデルとして使われているのはEBで建造中のバージニア級潜水艦であるが、EBでは本システムの適用により10%の直接人件費の節約が見込まれるとしている。
 
<14>諸管組立て溶接溶け込み量コントロール(Weld Penetration Control in Ship Piping Fabrication)
期間:1999年9月〜2002月6月
コスト総額:41万ドル(ONR ManTech)
 諸管組立て溶接に溶接ビードの溶け込み量をコントロール出来る自動ガス・タングステン・アーク溶接を利用し、コスト低減を目論んだプロジェクトで、STTRの契約企業はWeldwave、他にエディソン溶接研究所、インガルス、ニューポートニューズが参加している。溶接溶け込み量の測定はこの20年来研究されており、通常溶接プール振幅センサーWPOS(Weld Pool 0scillation Sensor)が利用されている。本プロジェクトではさらに精度の高いセンサーを開発し、諸管組立て溶接を自動化し、実船に適用する。現在システムのプロトタイプは完成し、インガルスでステンレス・スチール321及び304L製スケジュール10及びスケジュール40のV型継ぎ手に使用し、システムの手直し作業が行われている。
 
出典:NSRP/NAVSEA
 
<15>水滴ミスト消火システム(Water Mist Extinguishment)
期間:1999年9月〜2002年4月
コスト総額:45万ドル(ONR ManTech 35万ドル、NSRP 10万ドル)
 既存のCO2ハロン、泡、水スプリンクラー等、コストの高い消火システムに代えて水滴ミスト消火システムを使用することを目的としたプロジェクトで、STTR契約企業はVTECラボラトリー、他にメリーランド大学が参加している。特にUSCGやABSが禁止しているRO/RO区画のような大区画に水滴ミスト消火システムを使用することができれば、船舶のコストに与える影響は大きい。付随的問題点としてIMOの海上安全委員会の船舶大区画に対するMSC Circular 914火災テストコードに適合した水滴ミスト消火システムを認めさせようとすると、遠隔地の海上で実船を使って大規模なテストを行うか海外の設備を使って行うことになる。
 そのため本プロジェクトではまず従来の方法の1/10のコストで同等成果が得られるテスト法及び結果評価法を開発し、最終的にMSC914火災テストコードに合格する水滴ミストシステムを開発することを目的としている。
 現在上記テスト及び評価法のUSCG及びABSの承認を待っている段階である。
 
出典:NSRP/NAVSEA
 
<16>先進エキスパート・システム・ツール及びエキスパート・システム・プロトタイプ(Advanced Expert System Tools & Expert System Prototype)
期間:1999年9月〜2002年2月
コスト総額:45万ドル(ONR ManTech 35万ドル、NSRP 10万ドル)
 造船業の先進エキスパートシステムを作る時間とコストを50%減らすツールを作り上げるのが本プロジェクトの目的である。STTR契約企業はIntegration Partners、他にワシントン大学及びNASSCOが参加している。造船業の先進エキスパートシステム作成は通常12〜36ヶ月を必要とし、このことが造船エキスパートシステムがあまり使われない原因となっている。本プロジェクトで開発されたAlpha Builderツールはエキスパートシステム作成に時間を要する部分を自動化し、エキスパートシステムを急速に作成する。Integration PartnersはNASSCO及びワシントン大学と協力してAlpha Builderを完成し、試験的に使用している。







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