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<5>造船所アウト・ソーシング決定解析(Shipyard Outsourcing Decision Analysis)
期間:2000年1月〜2002年3月
コスト総額:60万8,000ドル(造船所11万4,000ドル、ONR ManTech 49万4,000ドル)
 ニューポートニューズ造船所が中心となり、他にAltarum及びミシガン大学が参加している。造船のコストを下げる方法の一つに、船舶の一部の製造、加工、修理等を外注する方法がある。下請け業者は得意な分野では造船所で内作するよりずっと安く、かつ良い製品を作ることが可能である。外注か内作かの決定要因はコスト、品質、及び納期である。本プロジェクトではモーターの修理・オーバーホールと、低圧スイッチボード及びパネルの製造について決定解析が実施され、前者については如何なる場合においても外注が有利と結論している。またプロジェクトチームは決定解析ガイドブックを作成している。
 
ONR SBIR
<6>写真製図法(Photogrammetric Processes)
期間:2000年3月〜2003年5月
コスト総額:44万ドル(ONR SBIR)
 契約企業はVEXEL、その他バス・アイアン・ワークス(BIW)、インガルスが参加している。本プロジェクトはプラント等で使用されている写真製図法を造船業に持ち込もうとするもので下記3つのプロセスから成り立っている。
 
・現場の写真を色々な方向からデジタルカメラで何枚も撮る。
・現場の距離情報(例えば被写体のA−B間の距離)と組み合わせデータベースを作成する。
・このデータベースを基に被写体の3D CADモデルを作成する。
 
 下段左側の写真は上記プロセスによって作成された3D CADモデルである。勿論その上段に示すように、必要な部分の3Dモデルのみを取り出すことも可能である。本技術の実用化のポイントは3DCADモデルの精度である。VEXELはBIW、インガルスと協力してこの技術が新造船の工作精度の測定、修理船の修理部分の図面作成に利用出来ることを立証し、さらにCATIA CADシステムとのインターフェースが可能となるよう作業中である。
 
出典:NSRP/NAVSA
 
<7>溶接工のフィードバック装置の開発(Development of Feedback Device for Manual Welders)
期間:2000年6月〜2002年11月
コスト総額:55万ドル(ONR ManTech)
 本プロジェクトは溶接工が溶接後、直ちに施工した溶接がガイドラインに入っているかどうかが分かるような溶接作業のモニター及びフィードバック装置を開発することである。SBIRの契約企業はDataWareで、その他バス・アイアン・ワークス、ハルター・マリン、ニューポートニューズ、Hobart溶接学校が参加している。本装置の最大の眼目は溶接工の技能向上である。標準的な造船所は年間300人の溶接工を1人平均300時間訓練している。本装置の開発による減少が10%として年間9,000人・時の節約となる。プロジェクトチームはプロトタイプの装置を開発テスト中であるがさらに改良を重ねている。
 
<8>計画と設計のオートメーション化(Automated Planning & Design)
期間:2001年3月〜2002年3月
コスト総額:10万ドル(ONR SBIR)
 SBIR契約企業はIPT(Industrial Planning Technology)、他にニューポートニューズ、NASSCO、グローバル研究開発社、Samsung、Odense Steel造船所が参加している。本プロジェクトは3DCADモデルから出発し、既存のスケジュール製造コンピューターシステムの間に入ってサブ・ディビジョンやアセンブリーの実施方法、既存の自動組立て装置の最適利用、メインテナンス性を充分に取込んだ設計等の因子を入れて、船の建造費及び運航費を減らすソフトウエアの開発を目標としている。本ソフトウエアではシームやバットの位置、船の組立て方法と言ったものまで示される。IPTではプロトタイプ・ソフトウエアの開発を終りデモンストレーションは好結果であった。インテグラフ社の次世代船舶設計システムGSCADに組み込まれる予定である。
 
<9>製造モニター及びコントロール(Production Monitoring & Control)
期間:2001年3月〜2001年12月
コスト総額:10万ドル(ONR ManTech
 本プロジェクトは造船所でリアルタイムに製造段階をモニターし、かつコントロールする安価で実用的、再利用可能なソフトウエアを開発するのが目的である。SBIR契約企業はAES(Atlantic Enterprise Solution)その他NASSCOが参加している。本プロジェクトでは2つのプロトタイプ・ソフトウエアが開発された。1つは「生産モニター」、もうひとつは「ショップ・フロア・クライエント」と呼ばれている。「生産モニター」はリアルタイムにカラーで生産の状態を表示して生産管理者その他の使用に供するもの、「ショップ・フロア・クライエント」は工場内のワーク・ステーションで作業者が最新の製造情報を得るためのものである。これら2つのソフトウエアによりリアルタイムで製造状態がモニターされることにより、問題が発生した場合関係者全員が直ちにその問題点を把握して早期解決が可能となり、無用の損失を防ぐことが出来る。ヨーロッパや日本のワールドクラス造船所では製造モニタリングをコスト節約の重要事項として実施している。NASSCOは本プロジェクトにより開発されたソフトを種々の種類の船舶建造に利用している。NASSCOはMAC−PACアダプターを開発し本ソフトウエアとTRIBONシステムの共働が可能となった。
 
<10>寸法技術ツールの改良(Dimensional Engineering Tool Evolution)
期間:2001年10月〜2004年5月
コスト総額:67万ドル(ONR ManTech)
 本プロジェクトは溶接に起因する構造部材の縮みや歪みに関する寸法効果のモデリングを簡易化することを目的としている。SBIR契約企業はDCS(Dimensional Control Systems)、他にUMTKI、ボリンジャー造船所、ベンダー造船、アラバマ造船が参加している。船のように複雑な構造では各工程における寸法誤差が積み重なって、場合によっては手直しの原因となり、生産性や品質を低下させコストを上昇させる。従来使われてきた3DCSアセンブリー寸法変化解析パッケージは積み上げ方式によるもので、非常に手間のかかる方法であった。本プロジェクトではあるアセンブリー継手の一点における縮みや歪みを入力し、ソフトウエアが過去の統計あるいは有限要素法解析によって得られた結果から他点の縮みや歪みを推測するものである。本プロジェクトで開発されたプロトタイプ・ソフトウエアJVAT(Joint Variance Analysis Tool)はベンダー造船、ボリンジャー造船所、アラバマ造船に供与されテスト中である。







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