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業界
 米国鉱業協会の理事長兼CEOであるジャック・ジェラード氏は新エネルギー政策を高く評価している。米国鉱業協会(NMA;National Mining Association)は鉱業事業者を代表しており、会員はエネルギー政策が石炭鉱業事業者に大きな恩恵をもたらすものと考えている。クリーン石炭技術研究資金として、今後10年間にわたり200億ドルの配算が提案されており、これは明らかにNMAの利益となる。
 
 長年にわたって米国はエネルギーの将来への高速道路でハンドルを握って居眠りをしていた。我々は燃料タンクが空に近づいているのをチェックしていなかった。
 カリフォルニアのエネルギー危機が警鐘となり、タンクがほとんど空だということに気づいたのである。電気にしても、ガソリンにしても、家庭用暖房油にしても、タンクを満たすために何かをしないかぎり、米国中でカリフォルニアと同様の事態が発生するのは時間の問題である。
 ブッシュ政権はこの警鐘を聞き、省エネ、エネルギー効率、そして国内の全エネルギー源の利用を盛込んだ技術的解決法に基づいたエネルギー計画でこれに応えた。
 これはアメリカにとってもエネルギー消費者にとっても朗報であり、米国の歴史ではじめて、我が国の経済上そしてエネルギー上の将来を確実なものとすることを目的とした包括的戦略にもっとも近いものが作成されたのである。
 我が国は石油、天然ガス、原子力発電、そして特に石炭依存が今後も長い間続く現実を認めなければならない。国内の275年分の石炭埋蔵量を効率的に使用するためには、エネルギー戦略が今後も高度に効率的なクリーン石炭技術の開発と利用の継続を評すことは必要不可次である。
 エネルギー事情の現実を政治的駆け引ききよりも優先し、ホワイトハウスと密接に協力して、包括的なエネルギー戦略を盛込んだ法案を迅速に可決することは議会にかかっている。そして、議会は、我が国のエネルギーのニーズだけではなく、環境上の目標もまた満たさなければならない。アメリカの将来がかかっているのだ。
 
 エジソン・エレクトリック・インスティチュート(EEI)のトーマス・カーン氏はエネルギー計画を支持しており、エネルギー特別委員会の提言についてEEIは非常に勇気づけられたと述べている。EEIの会員は電力会社であり、新エネルギー政策に盛込まれた発電所と送電線建設の規制の障壁を緩和する提案がEEIには特に歓迎された。
 
 このエネルギー審議会答申は米国議会において全てのエネルギー問題の議論を奨励するものであり、我が国のエネルギー問題にタイムリーな対応を引き起こすものである。我々は、発電所と送電線建設の規制の障壁を緩和し、特定の種類の発電所の再許認可プロセスを合理化し、隣国カナダ、メキシコからの電力供給を増やす必要があるというような審議会の結論の多くを支持する。
 米国の経済力を維持するために、豊富かつ信頼できる電力供給を維持することは不可欠である。データから、我が国の経済の健全牲は強力な電力供給と密接に連結していることがわかっている。
 発電には多様な燃料源が使用されており、この多様性を維持する必要がある。我が国の電力供給の適切な価格と信頼性を維持するためには、複数の燃料を併用した発電を行わなければならない。石炭、天然ガス、原子力、水力その他の回復可能なエネルギー源は、全てがそれに含まれるべきである。
 最後に、我が国のエネルギー供給とインフラストラクチャーの拡大は、省エネと密接に連結していなければならない。
 我々は審議会の答申の発表で非常に勇気づけられた。我々は、米国にとって健全で包括的なエネルギー政策の基盤となると期待するものを実施する上で、行政府、議会、規制機関、その他の関係者と協力できるのを楽しみにしている。
 
 米国ガス協会の理事長兼CEOであるデビッド・パーカー氏は新エネルギー政策を支持している。米国ガス協会は地方の天然ガス公益事業者185社を代表している。プレス発表で、パーカー氏はブッシュ大統領が、米国経済が健全であるためには、凝集的なエネルギー政策を実施することが重要だと協調した点を賞賛し、アメリカ人の10人に8人は、新しい包括的国家エネルギー計画の立法を優先すべきだと考えているという調査結果を発表した。
 
 ブッシュ大統領は対テロ共闘体制を作りあげることにより指導力を発揮した。それと同時に、米国の外国産石油依存を軽減するエネルギー法案についても上院に協力を求めている。
 トム・ダッシェル上院民主党院内総務のエネルギー政策法案年内採決の約束を歓迎する。そして、法案が、米国、カナダ、メキシコに豊冨に存在する天然ガスの利用増を促進することを期待する。北米産燃料は国家安全保障、経済成長、環境保護の3つの点で重要な国益となる。
 Wirthlin Worldwide社が今週実施した調査では、アメリカ人の10人に8入が、包括的国家エネルギー計画法の成立を強く支持しているという結果が出た。
 回答者の83%が、エネルギー案件の採決に「高い優先順位」を置いている(「非常に高い」が33%、「幾分高い」が50%と回答した。優先順位が低いと回答したのは14%(「低い」が11%、「優先しない」が3%であった。
 支持政党別では、エネルギー法案の可決が優先されるべきだとしたのは、民主党支持者の85%、共和党支持者の87%、独立政党支持者の81%であった。解答者の支持政党内訳は、民主党46%、共和党44%、独立政党9%であった。
 
その他
 クリントン政権時代にCIA長官を務めたジェームズ・ウルセイ氏もまたブッシュ政権のエネルギー政策に批判的である。同氏は、エネルギー政策により米国が十分にエネルギーの自立を達成することはない、テロリズムに対する脆弱性に影響を与えるとしている。同氏はまた、さらに燃費の高い車を導入する必要性があるとし、短期的に可能性のあるエネルギー効率向上技術を強調すべきだとしている。
 
 控えめに言って、大統領のエネルギー政策には満足していない。ブッシュ大統領のテロと闘う努力は尊敬するが、彼のエネルギー政策は対テロ戦争で達成しようとしているものと矛盾する。
 中東の人々が米国が同地域にただ一つの関心しか持っていないと考えても当然の部分がある。彼らは、米国が自分達の国をガソリンスタンドとして利用したがっており、そこで暮らす人々には何の開心も持っていないと考えている。彼らは、アメリカは中東の圧政的政権と手を組んでおり、中東における人権のために米国が立ち上がる気持ちがないのは、米国が石油を喉から手が出るほど欲しがっているからだと考えている。
 アル・カイダのテロリストたちの動機は、我が国の自由を憎み、我が国の成功を妬んでいることだが、テロリズムに資金を提供しているのは中東の石油富豪である。彼らが持つ影響力は米国人自身の態度と多分に関係していることを彼らは見抜いている。我々もそろそろ悟り始めなければならない。
 米国は、サウジアラビアが持つ戦術上の短期的な兵器の力を弱めなければならない。日量30億バレルの生産能力を持つサウジアラビアの石油埋蔵量は西側諸国の経済を破壊することのできる「エネルギーの核兵器」として機能している。米国は、戦略的石油備蓄を少なくとも10億バレルに拡大し、同盟国に石油備蓄を奨励するために早急に措置を講じなげればならない。20億バレルに直ちにアクセスできればサウジが石油を武器にすることができなくなる。
 燃費が極めて高いハイブリッド車への移行を強く奨励しなければならない。現在、米国では5種類のハイブリッド乗用車が市場に出ている。平均的なSUVの燃費がガロン当たり10〜15マイルなのに対して、ハイブリッド車は50マイルである。旧式の自動車を廃車にし、ハイブリッド車に移行させるためにできる限り多くのインセンティブがあってしかるべきである。
 近い将来には実用化に到達しない燃料電池やその他の新技術に集中するよりも、対テロ戦争はいますぐ採用できる既存の技術による解決策を必要としている。今現在存在するもの、今現在存在する技術、今現在提供できるインセンティブ、今現在自動車ディーラーのショールームに展示されているもの、に集中する必要があるのだ。







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