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3. バリアフリー化推進のための旅客船事業者の取り組み
A. はじめに
 
 アクセス委員会のPaul Beatty氏によると、旅客船事業者はADA要求への対応に関して、リスク管理手法を使用しているという。旅客船の設計者および事業者は、新しい船舶を建造する際には、可能な限りADAAG-Rに従い、船舶のバリアフリー化を進めている。
 
 また、既存の船舶については、アクセシビリティの基準を達成すべきかどうか、そして達成すべきとすれば、いつどのように達成するかを判断するために、民間建築物所有者が既存の建物に対して実施してきた方法を採用している。
 
 旅客船事業者は、まず新しい船舶にアクセシビリティ機能が必要であるかどうかを検討し、必要でなければ、一般的に新しい船舶に必要とされないものが既存の船舶に求められることはないので、既存の船舶には必要ないと考える。新しい船舶にアクセシビリティ機能が必要であれば、船舶所有者は既存の船舶をいつ改善すべきか判断する必要がある。その際、互いに独立した3つの要因に基づいて判断する場合が多い。
 
 第1の要因は、作業範囲、つまりバリアフリー化のために必要な改造の範囲である。基本的には、手を加える範囲が改造範囲になる。たとえば、ADAAGにはカーペットに関する規定がある。したがって、バリアフリー化が求められるスペースに新たにカーペットを敷く場合は、規定に適合したカーペットを取り付ける機会と考えられる。また、誰かが吹き上げ式水飲み器を壊して、これを交換する場合も、規定に適合した吹き上げ式水飲み器を取り付ける機会と考えられる。つまり、大まかに言えば「手を加えるものは直す」ということになる。
 
 第2の要因は、不適合な機能のバリアフリー化がどの程度「容易に達成可能」かである。「容易に達成可能」とは、簡単に装備できる、つまり大きな困難や支出を伴わずに実施できる(つまり安くて簡単)という意味である。
 
 第3の要因は、所有者が15人以上従業員を雇っているかどうかである。従業員数が15人以上であれば、障害を持つ従業員のために(必要性が生じている場合)、そして障害を持つ求職者のために(今後の障害者が求職する場合に備えて)妥当な設備を整えることが求められる。ただし、Beatty氏によると、この第3の要因によって船舶事業者がバリアフリー化を決定することは滅多にないという。乗員の仕事のほとんどは、障害がないことが必要とされるからである。
 
 同氏は、このような方法によってクルーズ船事業者が既存の船舶を改造してバリアフリー化した例を実際に多数見てきたという。
 
B. 旅客船事業者
 
 米国には、大手旅客船事業者を代表する協会が2つある。
 
 International Council of Cruise Lines (ICCL)は、Carnival Cruise Lines、Holland America、Norwegian Cruise Lines、Princess Cruises、Royal Caribbeanなど、大型クルーズ船事業者の協会である。障害を持つ人々のアクセシビリティに関する同協会の窓口は、次のとおりである。
 
Ted Thompson
Executive Vice President
International Council of Cruise Lines
211 Wilson Boulevard, 8thFloor
Arlington, VA 22201
電話番号:703−522−8463
電子メール:tthompson@iccl.org
 
 Passenger Vessel Association(PVA)は、小型クルーズ船、ディナー/観光/遊覧船、鯨観察/エコツアー船、ギャンブル船、フェリーなどの事業者の協会である。障害を持つ人々のアクセシビリティに関する同協会の窓口は次のとおりである。
 
Ed Welch
Legislative Director
Passenger Vessel Association
801 N. Quincy Street, Suite 200
Arlington, VA 22203
電話番号:703−807−8360, ext. 265
電子メール:ewelch@vesselalliance.com
 
 沿岸警備隊の分類では、Subchapter Hの対象船舶のほとんどはICCLに属し、Subchapter Kの対象船舶のほとんどはPVAに属している。







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