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米国テロ事件後の海事セキュリティ対策の動向

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


(2)SOLAS条約第 −2章及びISPSコードにより義務付けられる海上テロ対策
 
適用対象
・船舶全ての旅客船
 500総トン以上のその他の船舶
 自航式海洋掘削リグ
・港湾施設6
 国際航海に従事する船舶の用に供する港湾施設
 
全般
・保安レベルの設定
 各締約国政府は、関連する脅威の評価を行い、以下の3つのいずれかの保安レベルを設定しなければならない。(このレベルに応じた対応を、船舶・海運会社・港湾施設で決めることになる。)
 
−保安レベル1:通常の状態。(最低限の保安対策が必要)
−保安レベル2:船舶・港湾施設に対するリスクが増大した状態。(一定期間、保安対策の強化が必要)
−保安レベル3:船舶・港湾施設に差迫ったリスクが存在する状態。(一定期間、本対策の特別の強化が必要)
 
・保安声明の作成
 船舶及び港湾施設の間で、保安要件や双方の責任関係を示した保安声明を作成することを義務付け。
 
・船長の権限
 船長は、船舶の保安の保持のため、独自の判断で、人の乗船や貨物の搭載の拒否等の措置をとることができる。
 
船舶の保安措置
・船舶における保安措置の基本事項
 以下の措置を保安レベルに応じ順次強化することを義務付け。
−保安上の職務の履行の確保
−乗船区域、甲板上及び船舶周辺区域の監視
−乗船・下船の管理
−荷役及び船舶の収納場所の監督
−港湾との保安通信の確保
 
・船舶における保安上の評価と船舶保安計画の作成・保持
 海運会社に対し、保護すべき重要個所・措置、想定される脅威とその発生確度、対策の優先度、保安上の弱点等の評価(現場評価を含む)を行い、3つの保安レベルに応じた船舶の保安措置を規定した「船舶保安計画」(マニュアル)の作成を義務付け。
 船舶保安計画は、主官庁の承認を受けた上で、船舶に備えおくことを義務付け。
 また、主要な保安措置をとった場合、その記録を船上に保持することを義務付け。
 
・海運会社の保安主任
 海運会社に、陸上において船舶の保安について責任を有する保安主任の指名を義務付けるとともに、当該責任の最低範囲を規定。
 
・船舶の保安主任
 船舶における保安について責任を有する保安主任の指名を義務付けるとともに、当該責任の最低範囲を規定。
 
・訓練
 海運会社保安主任、船舶保安主任の訓練義務を規定するとともに、海運会社及び船舶の保安担当職員の要件等を規定。
 保安計画実施に関する定期的な演習の実施を義務付け。
 
・保安警報装置の設置義務付け
 陸上向けの保安警報を隠密裏に発信する警報装置の設置を新造船及び既存船に義務付け。
 
港湾施設の保安措置
・港湾施設における保安措置の基本事項
 以下の措置を保安レベルに応じ順次強化することを義務付け。
−保安上の職務の履行の確保
−立入り規制区域、係留区域を含む港湾施設の監視
−港湾施設への進入の管理
−荷役及び船舶の収納場所の監督
−保安通信の確保
 
・港湾施設における保安上の評価と港湾施設保安計画の作成・保持
 港湾施設の管理者に対し、保護すべき重要施設、想定される脅威とその発生確度、対策の優先度、保安上の弱点等の評価(現場評価を含む)を行い、3つの保安レベルに応じた港湾施設における保安措置を規定した「港湾施設保安計画」(マニュアル)の作成を義務付け。
 港湾施設保安計画は、主官庁の承認を受けることを義務付け。
 
・港湾施設の保安主任
 港湾施設において保安について責任を有する保安主任の指名を義務付けるとともに、当該責任の最低範囲を規定。
 
・訓練
 港湾保安主任の訓練義務を規定するとともに、港湾施設の保安担当職員の要件等を規定。
 保安計画実施に関する定期的な演習の実施を義務付け。
 
その他
・情報提供
 各締約国に、IMOに対し以下の情報を提供すること、海運会社及び船舶がこれを利用できるように手配することを義務付け。また、IMOは各締約国に対し、これらの情報が利用可能なように手配。
 
−船舶及び港湾施設の保安に関する責任当局
−承認した港湾施設保安計画のリスト(個々の計画がカバーする場所を含む)
 
・船舶検査・証書
 船舶について、保安措置に関する主官庁による定期的検査を義務付けるとともに、検査に合格した船舶に発給される「国際船舶保安証書」の備え置きを義務付け。
 
・入港国による監督
 入港国による船舶への立入検査について規定。
 条約で規定する要件への不適合の明確な根拠がない限り、国際船舶保安証書の確認以外の措置はとらない。領海内における当該船舶の条約違反、他の締約国に寄港した際における港湾施設の条約違反、海上における他船との接触における条約違反の明確な根拠がある場合、港湾からの退去、入港拒否等の措置をとることができる。
 (本規定については、強すぎる入港国の権利に疑義を提起する国が多く、ペンディングとされ、次回中間作業部会又は12月会合で解決することとされている。)
 
3.3 その他の海上テロ対策
 
 SOLAS条約改正以外の方法で措置する海上テロ対策は、以下のとおりとなっている。
 
船員の身分証
 ILO条約改正により船員の身分証を規定。(なお、ILO条約改正が困難な場合のSOLAS条約による規定の代替案もペンディングとし、ILOの作業の進捗を見て12月会合で決定。)
 
 国際航海の船舶が寄港しない港湾及び固定式プラットフォームのテロ対策
 IMO決議により、以下の対策を勧告する。(非強制)
−船舶・海運会社と港湾当局との保安措置に関する連絡の確保
−固定式プラットフォームにおける船舶接岸時の保安措置の実施
 
3.4 今後の検討課題
 
遠距離船舶自動識別装置
 今回作成した遠距離船舶自動識別装置の機能要件案に基づき、2002年7月の航行安全小委員会(NAV)に短期的及び長期的な方策について検討。(システムとしてはインマルサットC又は短波無線設備の長短について検討が行われたが、結論に至らず、NAVで引き続き検討。なお、その通信費については情報を求める沿岸国が負担すべきとの方針を確認。)
 
コンテナに関する保安措置
 コンテナに関する保安強化についてIMOと国際関税機関(WCO)の協力を推進。
 WCOにおける検討結果を踏まえ、所要の措置をIMOで検討。
 

6
港湾内の船舶の保安に関連する部分のみを取り扱うこととしており、港湾全般との違いを明確にするため「港湾施設」との表現が用いられることとなった。(なお、港湾全般としてのテロ対策はILOにおいて別途検討される予定となっている。)







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