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【3】主要造船所の最近の動向
(1)バックダン(Back Dang)造船所
 1961年に設立された造船所で、ハイフォン市にある。ヴィナシンに属する大型旧式造船所で、新造船と修繕船を扱い、理論上の建造能力は10,000DWT以下の貨物船。保有設備には、浮ドック5,500DWT(100m×23m)1基、内航船用小乾ドック800DWTl基、船台5,000DWT(120m×20m)1基及び1,000DWT(90m×16m)1基があるほか、新造船用に必要な内業工場一式がある。従業員は1,800名で、うち240名のエンジニア、70名の熟練溶接工を擁する。
 2002年3月には、ベトナム国内で建造された船舶のうち3番目に大きい6,500トン級貨物船(3,600HP、12.4ノット)を完球した。日本の設計事務所による設計と監督のもと、6ヶ月で建造され、Vietnam Ocean-Shipping Company(VOSCO)に引き渡される予定。同造船所はこれまでVOSCO向けに同型の船舶2隻を納入しており、2002年に更に同型貨物船3隻の建造を計画している。
 
図9 バックダン(Back Dang)造船所概観
 
(2)サイゴン造船所(Saigon Shipyard)
 中東を本拠とする海事関連総合企業グループであるSeamer Holdings Ltdが100%保有する外資系造船所で1989年の操業開始以来、タグボート、調査船、クルーザー、河川プッシュボート、ヨットなどの新造・修繕のほか、鉄鋼構造物の組立など数多くのプロジェクトを手懸けている。同社はシンクロリフトの建設を計画しており、日本企業との資本提携、技術提携に大いに関心を寄せている。
 
図10 サイゴン造船所
 
(3)ファルン(Pha Rung)造船所
 1984年、ハイフォン市近郊でフィンランドの援助により設立された造船所で、1991年にフィンランドからの援助が終了し、それ以後、ヴィナシンのグループ企業の一つとして、独立した形態で運営されている。規模的にはバソン造船所に次いで国内第2の修繕造船所で、設備はベトナム国内最新鋭の16,000DWTの乾ドック(158m×25m×11m)を保有し、16,000DWTまでの一般貨物船、コンテナ船、オイルタンカー、冷凍船、客船、5,000馬力までのタグボート、浚渫船、漁船の修繕が可能となっている。従業員は850名で、うち150名のエンジニア、50名の熟練工を擁する。
 
(4)バソン(Bason)造船所
 1861年のフランス支配時代に設立されたベトナム最古かつ国内最大の造船所で、国防省管轄となる。保有設備には、浮ドック(揚能力:8,500GT)1基、浮ドック(揚能力:2,000GT)1基、乾ドック約12,000DWT(152m×2.1m)1基、小型船用船台があり、1万DWTまでの船舶の修繕と600DWTまでの小型船舶の新造が可能となっている。
 同社はまたシンガポールのケッペル造船所と「ケッペル・バソン・シップヤード&エンジニアリング」という修繕船の合弁企業を設立している。
 
図11 バソン(Bason)造船所
 
図12 バソン(Bason)造船所レイアウト
 
(5)サイゴン造船会社(Saigon Sipbuilding Co)
 ヴィナシンに属する南部大型造船所で1992年に設立された。1993年に米国Walashek造船所及びチェコスロバキアMasekグループとの資本・技術提携により、3〜5,000DWT船型の新造が可能となった。2001年2月にはデンマーク政府による2,150万USドルの無償援助でメコンデルタで利用される旅客フェリー14隻の建造が同造船所で行われている。
 同造船所は、2001年3月に247万USドルを投じて国内最大級の10,000DWT乾ドック(159m)を建設するため、Saigon Water Construction Companyに建設工事を発注している。この乾ドックは2003年3月に完成する予定である。
 
図13サイゴン造船会杜







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