日本財団 図書館


【3】シンガポール船主協会
 シンガポールの海運業者の多くは、シンガポール船主協会SSA(Singapore Shipping Association)のメンバーとなっており、正会員171社、準会員58社(2001年1月1日現在)が加入している。SSAは、97年5月、名称をそれまでのSNSA(Singapore National Shipping Association, 1985年設立)からSSAに変更するとともに、海運業に関連する準会員(造船所、修繕業者、シップブローカー、船級協会、船舶金融業者、海上保険業者等)の加入を容易にするための会則・組織の改正等を行った。これにより準会員数が、改正前は8社であったのが、58社にまで増加した。
 また、SSAは、海運業を取り巻く環境の変化に迅速に対応できる体制を整備するため、2つの管理委員会と4つの業務委員会に改組された。
 
SSAの組織図
 
【4】主要海運企業の概要
(1)Neptune Orient Lines Limited(NOL)
 定航、タンカー、バルク・キャリア・サービスを提供するシンガポールを代表する海運会社である。1997年11月に米国第2のコンテナ船社American President Lines(APL)、APLを傘下に収めたことにより、買収前は世界第16位だったNOLグループは、運航船隊、売上で世界の5本の指に入る海運会杜となった。
 NOLグループ全体の2000年の売上は46億7,000万USドルで対前年比9%増となった。売上のうち81%をコンテナ輸送部門が占めている。また、税引き前利益は1億7,800万USドルで対前年比90%増となった。徹底したコスト管理と業務効率化が奏効し、ほぼ全ての部門で前年を上回る数字を挙げた。
 定期コンテナサービス部門では、APLを傘下に収めたことにより、NOLのコンテナ輸送ネットワークはさらに広がり、APLのブランド名の下に、北米、中・南米、欧州、アジア、中東、豪州の各航路でサービスを行っている。
 チャーター・サービス部門では、タンカー、バルク・キャリア及びフィーダー・コンテナ船を長期傭船し、ウェット又はドライ・バルク貨物等をスポット傭船の形で輸送している。
 同グループの支配船は115隻、589万DWTで、内訳はコンテナ船が85隻(324万DWT、23万TEU)、原油タンカーが22隻(222万DWT)、プロダクト・タンカーが3隻(12万DWT)、バルク・キャリアが5隻(31万DWT)となっている。
 
(2)Pacific Carriers Limited(PCL)
 海運(船舶保有・マネジメント、チャーター)、貨物貿易、船舶ブローカー業務等を行っており、海運業ではドライ・バルクが中心であるが、液体貨物市場にも手を広げ、タンカー部門(プロダクト及びケミカルタンカー)の強化を進めている他、97年からはアジア域内でのコンテナフィーダーサービス(現在、シンガポールとマレーシア・インドネシアを結ぶ7ルート)及び倉庫業務にも手を広げ、さらに99年からはブレークバルクライナーサービスを手掛けている。
 グループ全体の2000年の売上は1億9,600万Sドルで対前年比51%増であった。このうち海運事業の売上げは51%(うちフィーダー及びブレークバルクライナーサービスが43%)を占めている。税引き前利益は5,637万Sドルで対前年比27%増であった。
 同グループの支配船は子会社の所有船を含め42隻(バルク・キャリア31隻、タンカー5隻、コンテナ船6隻)、1,260,480DWTとなっている。
 
(3)Pacific International Lines(PIL)
 海運(船舶の保有・オペレーション等)を主要業務としており、アジア、中東、東アフリカ、豪州・ニュージーランドヘのコンテナ・サービス及び域内フィーダー・サービス等を行っている。
 グループ全体の2000年の売上は高いバンカーコスト、傭船料に支えられ14億3,800万Sドル(前年比13%増)であった。このうち海運事業の売上げは77%を占めている。税引き前利益は4,400万Sドルで対前年比26%増であった。
 同グループは、コンテナ船75隻(内24隻は傭船、74,000TEU)を運航している。また、COSCOコンテナライン上海と2000年4月に華中とシンガポール、タイ間、2000年6月に華北とシンガポール/マレーシア間の共同運航にそれぞれ合意した。
 
(4)Hai Sun Hup Group Ltd
 海運(船舶保有・マネジメント、チャーター)、倉庫業等の業務の他、ホテル・不動産業にも力を入れている。
 グループ全体の99年4月〜2000年3月の売上げは4億3,000万Sドル(前年比24.3%増)で、このうち海運業務の売上げは8,300万Sドル(前年比3.7%増)であった。税引き前利益は4,563万Sドルで対前年比36.7%増であった。
 同グループの支配船は14隻(自動車運搬船3隻、コンテナ船3隻、VLCC1隻、バンカータンカー4隻、重量物運搬船1隻、コンテナバルカー2隻)、459,962DWTである。
 
(5)COSCO Investment(Singapore)Limited
 中国のCOSCOグループのシンガポール企業で、海運、船舶修繕業等、コンテナ貨物取扱い、不動産等を主な業務としている。
 グループ全体の2000年の売上は前年の対前年比38%減に続き本年も対前年比20%減となり、1億6,100万Sドルとなった。このうち、海運業務の売上は8,600万Sドル(対前年比26%減)で、全体の53%を占めている。売上の大幅な減少は、海運事業の売上げ減少によるものと同社は解説している。ただし、海上輸送料金と価格コントロールにより海運事業の純利益は増加している(税引き前利益は1,537万Sドル、99年は519万8,705Sドル)。
 同社の海運業務は100%子会社のCOSCO Singaporeとさらにその子会社が行っており、グループで保有する9隻のバルク・キャリア(450,128DWT)及びチャーター船を用いて、東南アジア、太平洋、大西洋地域の主要港間のサービスを行っている。
 
(6)Osprey Maritime Limited
 石油・ガス産業向けの船舶保有・チャーター・運航を主要業務としている。96年にPetroBulk Groupを買収してプロダクト・タンカー市場における主要企業に成長したのに続き、さらに97年にはモナコに本拠を置くGotaas-Larsen Shipping Corporationを買収してVLCC4隻とLNG船4隻が同社の傘下に加わり、世界屈指のエネルギー輸送グループとなった。
 しかしながら、2000年12月、ノルウェーのジョン・フレドリクセン氏が私有する石油輸送大手のワールド・シップホールディング・グループ(WSG)が同社の買収に成功した。
 なお、グループ全体の99年の売上は1億8,900万USドル(前年比18%減)であった。また、99年末時点の同グループの支配船は31隻で、LNG船6隻/655,230m3、プロダクト・タンカー15隻(ハンディサイズ)/1,913,694DWT、原油タンカー10隻(VLCC×6、アフラマックス×1、ハンディサイズ×3)/593,799DWTであった。
 
(7)IMC Holdings Limited
 世界各国に設立された海運企業の株式保有会社で、香港及びシンガポール株式市場に上場されている。グループの主な業務は、船舶保有・運航、船舶売買であるが、船舶管理、船員エージェント業務等も行っている。グループ企業は、2001年末現在全世界に131社、そのうちシンガポールのグループ企業としてはIMC Shipping Co. Pte. Ltd.等26社がある。
 2000年の売上は4億6,400万HKドル(前年比51.6%増)、税引き前利益は1億5,100万HKドル(99年;△4億3,600万HKドル)であった。
 同グループの支配船は19隻(パナマックス×5、ハンディマックス×5、ハンディサイズログ/バルカー×9)、803,693DWTである。また、同社のジョイントベンチャーの支配船舶として、ケミカルタンカー6隻、ケミカルタンカー6(建造中)、バルクキャリア6隻等がある。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION