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4. 船外機の基礎
 船外機とはOut Board Motor(Engine)の和訳で、Boardは艫のトランサムボードをさし、このBoardの外側に着いたエンジンという意味です。日本には第2次世界大戦後に入ってきたが、1960年ごろから我が国でも生産されるようになった。用途は、漁業・プレジャー・搭載艇など幅広く使われており、0.75kw〜220kwくらいのものがある。
 
4.1 船外機の長所
 昨今、市場の状況も変化し、高出力化・高性能化・環境問題への対応などによって船外機も変化しつつあるが、船外機の長所としては次の三点が挙げられる。
 
1)船への取付、取外しが簡単
 前述した様にトランサムボードに取付ける構造になっているので、他の推進機関、船内外機及び船内機に比較すると非常に簡単に脱着できる。船にはクランプブラケットのクランプスクリュー及びボルトで固定する。(1・13図参照)
 
1・13図 船外機の取付
 
1・14図 操作ハンドル
 
2)取扱いが簡単
 特に小型船外機は、船外機本体に燃料タンク、前後進切替レバー、スロットルグリップ及びステアリングバー等が付いていて、それらを操作することで操船出来るようになっている。(1・14図参照)
 
3)持ち運びが容易
 特に小型船外機は運搬が楽に行え、船から取り外して車に積んだり、倉庫へ格納したりするのが容易に行える。
 
4.2 船外機の基本構造
 船外機は基本的には「船外機本体」のみで、船舶の推進機関としての機能を備えている。すなわち、頭部に出力を出すパワーユニットを配し、バーチカルドライブシャフト及びベベルギヤを介してプロペラシャフトにつながるロワーユニットの2つの部分で構成されている。パワーユニット部分には2サイクル又は4サイクルガソリンエンジンを縦置きに配している。パワーユニット及びロワーユニットの概念図を1・15図に、又船外機の断面図を1・16図に示す。
 
1・15図 船外機の概念
 
(拡大画面:64KB)
1・16図 船外機の断面図
 
 小型の船外機ではガソリンタンクまで本体に付いていて、本体のみで操船出来る。大型になるに従って、ガソリンタンク・リモートコントロールなどが別体となり大型では操作部分は全て本体から別の所の配置され、船の運転席で操縦する。(1・17図
 
小型船
 
大型船
1・17図 船外機船の操縦
 
 船外機の冷却は水冷であり、冷却水はその船が航行している水域の水で直接冷却する。つまり、海を航行する船においては海水直接冷却となる。海水ポンプにより吸い上げられた海水はパワーユニット各部を冷却した後、アッパーケーシング内で排気ガスに混入して水中へ排出される。運転中の水上がり点検はボトムカウリングに設けられているパイロットリリーフ孔から一部排出されるので、これで行う。冷却系統図及び点検方法を1・18図、1・19図に示す。
 船外機の排気ガスの排出は、水中排気である。水中排気の中に、単に水中に排気する方法とプロペラのボス部分から排気する方法がある。
 
1・18図 冷却系統図
 
1・19図 点検方法







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