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4.3 プロペラ軸系
 プロペラ軸およびその付属品
No 検査整備箇所 検査項目 検査方法 整備修繕方法
1 軸身 (1)焼付および変形 (1)目視検査
継手ボルト穴、ピン穴ならびにキー溝の焼付、および変形の有無
(1)軽微なときは、ヤスリまたはサンドペーパで整形する
(2)継手ボルト穴またはピン穴の損傷が著しいときはオーバサイズに修整する。
(3)キー溝側面の損傷が著しいときは溝幅をオーバサイズに修正する。
(2)打傷およびすり傷 (1)目視検査 (1)軽度な打傷およびすり傷はヤスリまたはサンドペーパでなめらかに整形する。
(3)偏摩耗 (1)目視検査 軸受摺動部の偏摩耗の有無 (1)偏摩耗があるときは、検査機関および船主と協議のうえその処置を決定する。(以下「検、船、協議」という。)
(2)計測検査 マイクロメータにより軸径の寸法計測を施工  
(4)振れ (1)計測検査
振れが生じた疑いがあるときは、船主と協議のうえ振れ検査を施工
(1)振れがあるときは、検、船、協議。
(5)フレッテイングコロージヨン (1)目視検査
テーパ部およびキー溝側面のフレッテイングコロージヨンの有無
(1)軽微なときは無処置。
(2)損傷が著しいときは、検、船、協議
(テーパ部削正または換装する。)
(6)腐食および亀裂 (1)目視検査
腐食がスリーブ端の下にまでおよんでいる疑いがあるときは、スリーブ端を切りあげて検査施工
(1)規定軸径に影響する有害な腐食および亀裂が発生したとき検、船、協議。
 
(2)非破壊検査
(磁気探傷検査または超音波検査)
スリーブ端の下およびテーパ部ならびに目視検査の結果亀裂の疑いがある部分に施工
(2)その他の腐食および亀裂はこれを削除し、なめらかに整形する。
 
(3)キー溝底部に発生した亀裂は検、船、協議。
(4)キー溝端部に発生した亀裂でキー溝深さの範囲のものはこれを削除し、なめらかに整形する。
2 スリーブゴム巻を含む (1)打傷およびかき傷 (1)目視検査 (1)軽度の打傷およびかき傷があるときは、ヤスリまたはサンドペーパで整形する。
(2)偏摩耗  (1)目視検査 (1)偏摩耗がスリーブの規定厚さを割らない範囲であれば修整加工を行なう。
(2)計測検査
マイクロメータにより軸受摺動部およびグランドパッキン摺動部の外径寸法の計測
(2)偏摩耗が規定厚さを割るときは検、船、協議。
 
(3)キャビテーシヨンエロージョンおよび腐食 (1)目視検査 (1)腐食がスリーブの規定厚さを割らない範囲であれば修整加工を行なう。
(2)カラーチェック検査
腐食部に亀裂の疑いがあるとき施工
(2)腐食が規定厚さを割るときは検、船、協議
(3)腐食部に亀裂があるときは亀裂の修繕方法による。
(4)亀裂 (1)目視検査 (1)亀裂がスリーブの規定厚さを割らない範囲であれば修整加工を行なう。
(2)カラーチェック検査
亀裂の疑いがあるとき施工
(2)亀裂が規定厚さを割るときは検、船、協議
(5)浮き (1)つち打検査
浮きならびに浸水の有無
(1)スリーブに浮きがあるときは検、船、協議
3 ゴム巻 検査修繕に関しては「プロペラ軸ゴム巻検査基準(修理)」(昭和44年3月(社)日本舶用工業会「製造事業場検査技術向上委員会」刊)による。  
4 キー (1)焼付、変形および腐食 (1)目視検査 (1)キー溝幅をオーバサイズに修整したときは、キーを交換する。
(2)キーの損傷が著しいときは交換する。
5 継手ボルトおよびピン (1)焼付、腐食および亀裂 (1)目視検査 (1)継手ボルト穴またはピン穴をオーバサイズに修整したときは、継手ボルトまたはピンを交換する。
(2)非破壊検査(カラーチェック検査または磁気探傷検査) (2)亀裂が発生しているものは交換する。
(a)目視検査で異状が認められた場合 (3)焼付、腐食による損傷が著しいときは交換する。
(b)プロペラとプロペラ軸との継手ボルトおよびピン  
 
 
4.4 可変ピッチプロペラ
1)プロペラ部
No 検査整備箇所 検査項目 検査方法 整備修繕方法
1 翼とボス外表面 軸系プロペラ整備修繕基準(昭和47年3月制定)による
2 翼とボス摺動環との回転部 (1)漏油 (1)油密試験 回転摺動部の漏油の有無 (1)漏油があるときは、Oリングまたは、摺動環の損傷の程度を調べ、修整または交換する。
3 上記回転部のOリング (1)変形および傷 (1)目視検査 (1)変形または傷があるものは交換する。
4 翼取付ボルト穴部 (1)亀裂 (1)目視およびカラーチェック検査 (1)軽微な亀裂があるときは、削除整形する。
(2)重大な亀裂があるものは、検、船、協議。
5 翼取付ボルト (1)亀裂 (1)目視およびカラーチェック検査 (1)亀裂があるものは交換する。
6 翼軸と軸受ブッシュ (1)亀裂 (1)目視およびカラーチェック検査 (1)軸部に亀裂があるときは、検、船、協議。
(2)偏摩耗 (1)計測検査 (1)※すきまが許容値を超えるときは、ブッシュを交換する。
7 リングピンとブッシュ (1)亀裂 (1)目視検査およびカラーチェック検査 (1)ピンに亀裂があるときは、検、船、協議。
(2)偏摩耗 (2)計測検査 (2)※すきまが許容値を超えるときは、ブッシュを交換する。
8 クロスヘッドガイドとすべり金 (1)偏摩耗 (1)計測検査 (1)※すきまが許容値を超えるときは、すべり金を交換する。
9 サーボ用ピストンロッドとブッシュ (1)すり傷 (1)目視検査 (1)傷があるときは修整する。
(2)偏摩耗 (1)計測検査 (1)※すきまが許容値を超えるときはブッシュを交換する。
10 ピストンリング (1)折損および偏摩耗 (1)目視検査 (1)折損および偏摩耗があるものは交換する。
(2)摩耗 (1)計測検査 (1)リングの厚みが許容値以下のものは交換する。
11 各固定部のOリング (1)変形および傷 (1)目視検査 (1)変形および傷があるものは交換する。
※印のすきま許容値は製造事業場の基準による。
 
2)プロペラ軸部
No 検査整備箇所 検査項目 検査方法 整備修繕方法
1 プロペラ軸、船外軸ならびに船尾管軸、軸継手、同ボルトおよびキー 各種損傷 4・3による。
2 中空中間軸および継手ボルト 軸系プロペラ整備修繕基準(昭和47年3月制定)による。
3 給油管 (1)漏油 (1)油圧検査 (1)漏油があるときは、原因を調査のうえ、その処置を決定する。
(a)試験圧力=W.P.×1.5
(b)漏油の有無
4 変節軸およびすべり金 (1)変形 (1)目視検査
継手ねじ部の変形の有無
(1)ねじ部に変形があるときは修理する。
(2)偏摩耗  (1)計測検査
すべり金の偏摩耗の有無
(1)すべり金に偏摩耗があるときは交換する。
5 軸継手部の防食おおい (1)損傷 (1)目視検査
外部損傷の者無
(1)外部損傷があるときは、修整または交換する。
(2)浸水 (1)目視検査
内部への浸水の有無
(1)浸水があるときは、軸継手のさびを除去する。
6 各固定部のOリング 4・4(1)No11に準じる  
 
 以上に掲げた部品は、各事業場に共通したものに限ったが、その他、設計のちがいによる固有部品については、各事業場でそれぞれ自主検査基準ならびに整備・修繕要領を作成し、検査・修繕業務者の技術水準の向上をはかる必要がある。







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