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2級舶用機関整備士指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


2.5 冷却装置
 エンジンを冷却しなければ燃焼室で生ずる高熱のためにシリンダおよびピストンなどは膨張して焼付き、運転不可能となる。あるいはシリンダへの注油が効力を失い、かつシリンダ内へ空気を十分吸込むことも不可能となるほか過早着火をおこす。これらの故障を防ぎエンジンを円滑に運転するために冷却が必要である。
 冷却方式としては、空気冷却と水冷却とがあるが、舶用機関では一部を除き水冷却方式が採用されている。
 水冷却装置はキングストンコック(船底弁)、冷却水ポンプ、冷却水加減弁などで構成され、方式には、海水直接冷却(海水冷却)と海水間接冷却方式(清水冷却)がある。海水冷却と清水冷却のそれぞれについての一例を次に示す。
(1)海水直接冷却方式(海水冷却機関)
 2・77図に示すように冷却水は船底にあるキングストンコックから冷却水ポンプによって吸上げられ潤滑油冷却器を通りシリンダの下部より入って、エンジン本体、シリンダヘッド等を冷却して船外へ排出される。
 海水を冷却水として利用しているので、冷却水の出口温度は塩分の析出を防止するために55℃以下に押える必要がある。また、低回転時に機関が過冷却となり低温腐蝕摩耗を発生する恐れがあり、これを防止するために、自動温度調節弁の使用、又は手動により、海水が規定温度になるまで機関内部を循環させる方式を採用しているものもある。
 
2・77図 海水直接冷却系統図
(拡大画面:32KB)
 
(2)海水間接冷却方式(清水冷却機関)
 2・78図に示すように海水ポンプと清水ポンプが付属されており、それぞれ別経路になっていてエンジン内部の冷却は清水で行い、清水クーラ(冷却器)を介して海水との熱交換が行われている。また潤滑油は海水又は清水とオイルクーラ(潤滑油冷却器)で熱交換を行っている。
 清水温度の調整は、自動温度調整弁(サーモスタット)で清水冷却器を流れる清水量の調整で行われる。また始動時の早期エンジン暖機と低回転時の清水温度の低下を防止する目的で清水切換弁が付属されているものもある。最近の高速エンジンの殆んどは、耐蝕性、耐摩耗性ならびに冷却水損失に優れた清水冷却方式が採用されている。
 
1)冷却水ポンプ
(1)構造と機能
 冷却水ポンプとしてはプランジャ式ポンプ、渦巻式ポンプ、又はヤブスコポンプが使用されている。
 渦巻式ポンプは主として一定回転のエンジンに使用し、プランジャ式ポンプおよびヤブスコ式回転形ポンプは船用主機のように回転速度の変化するエンジンに使用している。渦巻式ポンプには歯車駆動のものとベルト駆動のもの、そして自吸式のものなどがある。
2・78図 清水冷却系統図
(拡大画面:84KB)
 
(1)ヤブスコポンプ
 ヤブスコポンプは2・79図に示すようにゴム製のインペラを持ち、カムプレートを有するケース内を回転する時のインペラの変形に伴う容積変化で水を吐出するもので高速回転に適している。
(2)渦巻式ポンプ
 2・80図に示すように金属製の渦巻室内で羽根車(インペラ)を高速で回転させ、水を遠心力を利用して吐出する。一般には清水側の循環ポンプとして使用される。
 
2・79図 ヤブスコポンプ
 
 
2・80図 渦巻式冷却ポンプ
 
(3)プランジャ式ポンプ
 プランジャ式ポンプは低速機関に多く使用され、2・81図のとおりポンプ本体に設けられたシリンダ内にプランジャを挿入し、カム軸に設けられた偏心環の回転により、そのストローク(偏心距離の2倍の長さ)に応じてプランジャが往復運動をする。シリンダの先端部分は弁室に通じており、プランジャが右方向へ移動するとシリンダ内は負圧となり、吸入弁が開いて冷却水を吸入する。プランジャが左へ移動すると吸入された冷却水を圧縮するため吐出弁を開放して冷却水が押し出される。この繰り返し動作によって冷却水を連続して圧送するポンプである。
 一般には、プランジャがどちらに動いても吸入、吐出が行われる複動式が使用されている。また、水圧の脈動を少くするために吐出側に空気室が設けられている。
 
2・81図 複動式プランジャポンプ
(拡大画面:26KB)
 
(2)点検と整備
(1)ヤブスコポンプ
a ゴムインペラやカムの摩耗を点検し、摩耗や損傷の激しいものは交換する。
b 軸とインペラの嵌合を点検しガタのある場合は軸も交換する。
c ベアリングを点検し、異常のある場合はベアリングを交換する。
d メカニカルシールを点検し、傷、摩耗しているものは交換する。
(2)渦巻式ポンプ
a ポンプ軸をスラスト方向へ動かし、スキマの大きいものはインペラとケーシングが干渉しないようにシムを挿入して調整する。サイドクリアランスはインペラとケーシングが干渉しない範囲で極力少さくすることが必要である。
b インペラのキャビテーションエロージョンなどの有無を点検する。
c ベアリングに異常がある場合はインペラがケースに干渉するためのベアリングを交換する。
d 軸の曲りを点検し、曲りのある場合は修正又は交換する。
e メカニカルシールを点検し、傷、摩耗しているものは交換する。
(3)プランジャ式ポンプ
a プランジャの外径とシリンダ内径を測定し、スキマが使用限度を超える場合はプランジャを交換する。又シリンダ内径が摩耗している場合はスリーブを製作して挿入するか仕組で交換する。
b 吸入弁、吐出弁および弁座の当りを点検し、シート面の損傷などは修正するか弁を交換する。
c 弁と弁案内の摩耗や作動を点検し、修理限度を超えるものは交換する。
d 弁バネのへたり折損、損耗などを点検し、異常があれば交換する。







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