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2級舶用機関整備士指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


2.4 潤滑装置
 各運動部分に潤滑油を供給する装置で潤滑油ポンプを用い、その関連装置として潤滑油コシ器、油圧調整弁、油圧計、油冷却器などで構成されている。
 
1)潤滑油系統
 潤滑油系統は主軸受部のみ注油している極めて単純なものから、過給機やピストンをジェット冷却しているものまであり、メーカ、機種ごとに異なる。その一例として2・67図、2・68図に示す。
 
2・67図 潤滑油系統図
(拡大画面:56KB)
 
 
2・68図 潤滑油系統図
(拡大画面:39KB)
潤滑油ポンプはギヤ式でオイルパンより入口コシ器を通して、エンジンオイルを吸い上げメインメタルおよび弁腕他各部に強制注油している。 経路途中には、油圧スイッチを設け潤滑油を監視している。コシ器内の圧力差が設定値以上になるとバイパス弁が開く構造になっている。
 
2)滑滑油ポンプ
 潤滑油ポンプは一般的にはギヤポンプが用いられるが、小形機関ではトロコイドポンプを用いているものもある。
(1)構造と機能
(イ)ギヤポンプ
 2・69図に示すように、2個のギヤを回転させることにより、A部分より潤滑油を吸入して、ギヤの回転により潤滑油を圧送する。
(ロ)トロコイドポンプ
 2・70図に示すように、トロコイド曲線を利用した歯数の異った2個のロータを同方向へ回転させることにより、A部分を真空状態にして、潤滑油を吸入して、ロータの回転により潤滑油を圧送する。
 
2・69図 ギヤポンプ
 
 
2・70図 トロコイドポンプ
 
(2)点検と整備
 潤滑油ポンプの歯面の当り、摩耗、ピッチングおよび軸とブッシュの摩耗、損傷、焼付きのほか歯車側面の当たり、歯先とケースの当たり、などを点検する。
 軸とブッシュの摩耗が大きくなると歯先がケースに当るため修理限度を超える場合はブッシュの交換又は歯車の交換が必要となる。
 また、歯車の側面がケースに当る場合は組立スキマが過少か、軸の曲り、ブッシュの摩耗などによるのでサイドクリアランスを点検する。
 リリーフ弁、シートの当たりや弁ばねなどを点検、弁ばね力にへたりのあるものは交換するかシムを入れて開弁圧力を調整する。
 
2・71図 油ポンプのスキマ計測
 
3)潤滑油コシ器(フィルタ)
(1)構造と機能
 潤滑油はエンジン内部を潤滑する際にゴミを吸収する他、保管時又は注油時にゴミが混入する。このゴミを取り除き油をきれいにする役目を受持つのがフィルタである。
 高速機関ではカートリッジ式、ろ紙式が使われている。又中低速機関ではゴーズワイヤ式、ノッチワイヤ式が多く使われている。
 カートリッジ式フィルタの構造は2・72図のようになっていて、エンジンオイル内の不純物を除去し、各摺動面の摩耗を防止する重要な部品であるが、それも取扱いを誤ると、まったくその役をしなくなる。
 使用中オイルポンプから送られたオイルは図中(A)の矢印のように流れろ紙を通り、オイル中の不純物をろ過し各部に送る。
 しかし長時間使用すると、ろ紙もつまりろ過能力をなくす。不純物による圧力損失が規定値以上になると、(B)の矢印の様にフィルタに設けたバイパス弁(安全弁)が開き、オイルはろ紙を通らずに各軸受に送られるため焼付は防止できるが、油中の不純物により各軸受やライナ、ピストン等の摩耗が進むので、フィルタは決められた時間毎に交換する必要がある。
 
2・72図 カートリッジ式フィルタ
(拡大画面:46KB)
 
 
2・73図 ろ紙式フィルタ
(拡大画面:26KB)
>
 
 
2・74図 ノッチワイヤ式フィルタ
(拡大画面:35KB)
 
 2・73図にろ紙式フィルタの構造を示す。オイルの流れはカートリッジ式フィルタと同じである。また、2・74図にノッチワイヤ式フィルタの構造を示す。また遠心式油コシ器がバイパスフィルタとして使われているケースもある。2・75図にその構造を示す。
 
2・75図 遠心式油バイパスフィルタ
(拡大画面:44KB)
 
(2)点検と整備
 ろ紙式のエレメントはキャップ内に収納されており、殆んどの場合本体にネジ込み式となっている。キャップを外しOリングと共に交換する。ノッチワイヤ式等のエレメントの場合は洗油で洗浄しエアを吹き付けて清掃する。ボデー内部や底部に溜っているゴミなどは洗油で清掃する。
 また時々バイパス弁の動きとシートの当りを点検する。
 カートリッジタイプは決められた時間ごとに交換する。
 遠心式バイパスフィルタは定期的に分解し、スラッジを取除き、洗浄後ノズルが詰っていないことを確認した後組立てる。
 
4)潤滑油冷却器(オイルクーラ)
(1)構造と機能
 潤滑油はエンジンの高温部分にも循環され、潤滑作用をすると共に、燃料の燃焼によって発生した熱を奪い取り、ピストンライナ等を冷却する役目を持っている。従って高速高出力のエンジンでは油の温度が規定以上に上昇するのを防ぐため、一部のエンジンを除き潤滑油冷却器を装備している。この潤滑油冷却器には水冷式のもの(多管式、多板式)と空冷式のものがあるが、舶用には主として水冷式のものが使われている。2・76図にその一例を示す。
 
2・76図 潤滑油冷却器
(拡大画面:16KB)
 
(2)点検と整備
 冷却効率が低下すると入口と出口の温度差が少なくなるので判断できるが、そのためには新品納入時の運転データを冷却水温度と合わせ記録しておくことが大切である。水あかが堆積したり油かすなどが付着して、水通路が詰ったりすると冷却効率が低下するため海水冷却式の場合は1年間に一回程度は分解清掃することが必要となる。清水の場合は防錆剤などを必らず用いるようにする。潤滑油通路側は洗剤を用いて洗浄する。
 腐蝕や亀裂、拡管部やロー付け部の弛みや外れなどがあると潤滑油が冷却水側へ流出したり、停止中に冷却水が潤滑油側へ漏れたりする。
 パンクや漏れなどの点検には水圧テストにより洩水の有無を確認する。但しテスト圧力については常用圧力の約2倍の水圧を加えて行うが、圧力を規制しているものもあるので注意を要する。
 
5)油圧調整弁
(1)構造と機能
 潤滑油ポンプより送り出された油が、エンジン各部に十分いきわたる様にするため適切な圧力に調整する機能を持っているのが油圧調整弁である。簡単なものはオイルシグナル式が、また精密なものはバルブとスプリングを持った本格的な調整弁が使用されている。
(2)点検と整備
 弁およびシートの当りを点検し、摩耗の激しいものは交換する。シートの軽微な傷は摺り合せ修正する。弁ばねのへたり、折損、損傷の有無を点検し悪いものは交換する。分解した場合は試運転時に正規の圧力に調整する。







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