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2級舶用機関整備士指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


2)シリンダライナ
(1)構造と機能
 気筒ともいい中空円筒形をしており、その内部でピストンが往復運動を行ない空気を圧縮し燃料を燃焼させて熱エネルギを発生させる部分である。材質は高温高圧に耐えうる特殊鋳鉄を使用し特別なものとして内面に硬質多孔性のクロームメッキ(海水直接冷却の場合)又はタフトライドなど特殊表面処理をしたものもある。
 構造による分類は大別すると次の3種類となる(2・9図参照)。
(1)一体形:シリンダブロックとシリンダライナが一体に作られている(2・9図(a))。
(2)乾式ライナ:スリーブをシリンダブロックに挿入し間接的に冷却水にて冷却するタイプである。スリーブとシリンダブロックとの嵌合はタイトとルーズの2種類がある(2・9図(b))。
(3)湿式ライナ:ライナをシリンダブロックに挿入し直接ライナ外周面に冷却水が触れるタイプである(2・9図(c))。
 
2・9図 ライナの分類
(拡大画面:20KB)
 
(2)点検と整備
 ピストン抜き出し後ライナ内面の摩耗、腐蝕、メッキ層の剥離腐蝕などを点検計測する。その後で必要ならばライナをシリンダから取外す。分解したライナは鍔下の亀裂の有無、外周冷却水ジャケット面の腐蝕、Oリング溝および周辺の腐蝕などを重点的に点検する。更にライナ上面のガス洩れや吹抜け跡の傷の有無についても点検する。
(イ)ライナ内径の摩耗量測定
 ライナ摩耗の激しい箇所は2・10図に示すように上死点におけるトップリング位置であり、計測は2・11図に示すように上死点および下死点におけるトップリング位置とその中間付近の3箇所の内径をクランク軸方向(A方向)およびその直角方向(B方向)をシリンダゲージで計測し、計測値は必ず記録しておく。
 
2・10図 ライナの一般的摩耗個所
 
 摩耗量が使用限度内であっても真円度や円筒度が限度を超えるものは交換する。ピストンとライナの組立基準スキマを超える場合もピストン又はライナのいずれかを交換して基準内に入るようにするが、それでも基準内隙スキマを得られない時は両方とも交換する。
 
2・11図 ライナ内径の摩耗量測定
(拡大画面:25KB)
 
(ロ)ライナ内面
 内周面に酷いスカッフや焼付きのある場合は交換するが軽微なものについては油砥石で平滑に仕上げて使用する。なお、内周面に深い縦傷のあるものは交換する。
 クロームメッキライナは内周面のメッキ層が摩耗して地肌が出ているものやメッキ層が剥離しているものは交換する。又メッキ層の表面に白斑模様が出ているものも交換した方が良い。ただし、比較的小さな白斑模様であれば油砥石で平滑に仕上げてそのまま使用することもできる。
(ハ)ライナ外周
 ライナをシリンダから取外した時は鍔下の付け根付近の亀裂をカラーチェックし亀裂のあるものは交換する。
 Oリング付近の水垢(スケール)を清掃してから腐蝕などを点検する。水ジャケット面に点々とした小さな孔ができているもの、特に冷却水浸入の裏側に2・12図に示すような小孔が集中している場合はキャビテーションの恐れがあるので、この様な場合にはメーカの指示により処置する。
 
2・12図 ライナの外周
 
3)シリンダヘッド
(1)構造と機能
 シリンダヘッド(シリンダカバーともいう)は鋳鉄で造られ、シリンダ上部に取付けられ、シリンダヘッド、シリンダライナ、ピストンで燃焼室を形成している、シリンダヘッド下面には吸、排気弁、同弁座、噴射弁のほか空気始動用始動弁、電気始動用予熱栓などが設けられ、シリンダヘッド内部は吸、排気ポートおよび弁案内に加えて、冷却のための水通路があり、燃焼室で発生した熱を冷却するようになっているため非常に複雑な構造をしている。さらにシリンダヘッド上部は弁腕支え台、弁バネ、弁腕などの動弁機構を納めた弁腕室となっている。
 シリンダヘッドは各シリンダごとに独立したものと数シリンダ又は全シリンダを一体にしたものがあり、副室式燃焼室形式では予燃焼室や渦流室などの副室部分をシリンダヘッド内部に設けている。また最近の小形高速機関には2・13図に示すように吸、排気弁を3〜4本設けたものが多くなっている。これらのシリンダヘッドは2・14図に示す構造をしており、シリンダ上部にガスケットパッキンや銅パッキンなどを介してシリンダヘッドボルトで取付けられている。
 
2・13図 吸、排気弁の数
(拡大画面:20KB)
 
 
2・14図 シリンダヘッド
(拡大画面:61KB)
 
(2)点検と整備
(イ)シリンダヘッドのガスケットパッキン又は銅パッキン取付面の歪、ガス吹抜け傷および水、油もれなどを点検する。歪および吹抜け傷は修正限度以内であれば削り落とす。ヘッド下面(ガスケット取付面)の歪はストレートエッジとスキミゲージにより点検する。
 
2・15図 シリンダヘッド下面の歪計測
 
(ロ)海水冷却式の場合は水連絡管付近の水通路の腐蝕に注意する。外部の盲栓、その他水通路点検蓋などからの水もれ塩吹きあとに留意する。同時に防蝕亜鉛の点検を行い1/2〜1/3以下になっていれば新品に交換する。
(ハ)燃焼室、吸、排気ポート、噴射弁穴などへのカーボン付着、浸入状況をチェックする。点検後はこれらカーボンを清掃する。
(ニ)触火面および弁間、噴射弁穴、始動弁穴などのカラーチェックを行い亀裂の有無を点検する。ヘアクラック程度の浅いものはグラインダで削り落すか、亀裂端部を削り亀裂の進展を防止する。
 
2・16図 カラーチェック
 
(ホ)修正が完了したら水通路の水圧検査を行って水もれの有無を点検する。
(ヘ)シリンダヘッドを交換した時は勿論であるがライナ、ピストン、連接棒、軸受メタルなど主要部品を交換した場合は、トップクリアランスを規制している機関においては規定トップクリアランスになるようガスケットパッキン又は銅パッキン又は調整板にて調整する。なお、シリンダヘッドを取りはずした場合は必らずガスケットパッキンは新品に交換する。
(ト)弁座の脱落、浮き出し、シートの当り幅、当り状況、摩耗量などを点検する。
 弁座の弛み、脱落、浮き出しのある場合はその弁座を取外し新品の弁座と交換する。弁座シートの当り幅が狭過ぎたり広過ぎる場合又は当り具合が悪い場合は弁シートグラインダ又は弁シートカッタなどを用いて標準当り幅に修正する。偏摩耗、吹抜けなどのある場合も同様に弁シートカッタ等を用いて切削したのち摺合せする。なお、詳細は2・3項の動弁装置を参照のこと。







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更新日: 2019年9月14日

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