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1級舶用機関整備士指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


1.5 高粘度燃料油の使用について
 内航船で使用される燃料油は船の運航経済性から漁船などに比較して高粘度油(低質油)が使用される場合が多い。
 全般的に高粘度になるに従って油中に含有する水分、硫黄分、残炭等の不純物が多くなるためその除去対策が必要となる。
 
1)高粘度燃料油対策
(1)燃料の加熱温度
 舶用ディーゼル機関の燃料噴射適正粘度はRW.No.1.60秒〜80秒であるので、高粘度燃料油を使用する場合は機関入口でこの粘度までに加熱する必要がある。
 従って、加熱に当たってはストレージタンク→セットリングタンク→サービスタンク→機関入口と徐々に要求される温度まで加熱していくことが望ましいが、就航路の北限での厳冬期の燃料温度を想定して上記各タンクの加熱温度を決定する必要がある。
 代表例として4・2図に1500秒油の処理系統を示す。
加熱容量・タンク容量は735kW(1,000PS)当りの容量を示す。
 
4・2図 1500秒油(RW.No.1.100°F)燃料処理系統
(拡大画面:29KB)
 
(2)ストレージタンク(船体付燃料タンク)
 ストレージタンクの位置は従来船体底部の二重底を利用するのが普通であるが、位置の選定は加熱カロリ節約のためにも工夫されるべき問題である。
 ストレージタンクの加熱温度は購入される燃料粘度により異なるが、送油ポンプの吸引能力より判断して概ね20〜35℃の範囲内である。
(3)燃料送油ポンプ(FO移送ポンプ)
 ポンプ型式は高粘度C重油の場合はギア式よりネジ式の方がよい。又、ポンプ取付け場所はタンクトップにできるだけ近づけサクションヘッドを小さくし、吸引管の曲がりによる抵抗を少なくする工夫が必要である。
(4)セットリングタンク(燃料澄タンク)
 タンク構造は、縦長で底面の比較的小さいものが望まれるが、容量が大きい程水分、スラッジ等の分離効果がある。又、燃料補給管はタンク内壁に沿わせて加熱流れを攪拌しない配慮が必要である。
(5)サービスタンク(燃料供給タンク)
 タンク容量は、735kW(1,000PS)当たり1.0〜1.5m3以上とし、加熱温度は概ね90℃位を標準として保温を目的とした加熱器容量を設定する必要がある。
 タンク構造は、縦長として底部を傾斜構造とする外、船体のローリングによる攪拌を防止する内板を設ける等の工夫をする必要がある。またタンク内部にはスラッジが溜まり易いので、補強材等はタンク外部に設けるとか、燃料補給管はタンク内壁に沿えてタンク油が攪拌されないよう注意する必要がある。
(6)ミキシングチューブ(空気分離器)
 ミキシングチューブは燃料油管のエア分離を目的としているが、その容量は、主機関燃料消費量の20分程度の容量が望ましい。代表的寸法例を4・3図に示す。
 
4・3図 ミキシングチューブの寸法
 
(7)燃料清浄装置
 遠心式清浄機及び全量こし式清浄装置がある。粘度の低いC重油の場合は、いずれの方式を採用してもよいが、1500秒以上のC重油を導入する場合は両方式を併置することが望ましい。この場合は、遠心式清浄機をサービスタンクの前にこし式清浄機を燃料供給ポンプと主機関の間に設置することになる。
 遠心式清浄機入口の燃料油粘度が100〜120秒になるよう加熱することが必要である。
 遠心式清浄機については5.4項にて詳細説明する。
(8)潤滑油処理系統(LO処理系統)
 主機関に高粘度燃料を燃焼させると燃焼残渣(スラッジ)が多くなり、このスラッジがクランクケース内に入り潤滑油の汚れや、劣化を著しく進めるので充分なる容量のLOボトムタンクとLO清浄装置を設置する必要がある。
 
2) 燃料等加熱対策
(1)加熱源
 高粘度燃料油又は潤滑油を加熱するために必要な加熱源としては、電気による電熱加熱、蒸気加熱、温水加熱等が従来より使用されてきており、全加熱容量に対し電気容量、ボイラ容量が決定される。
(2)加熱対象装置と温度管理
 加熱対象としては、ストレージタンク又はサイドストレージタンク、セットリングタンク、サービスタンク、FO清浄機入口、主機関主管入口、LO清浄機入口、FOスラッジタンク、A/Cブレンド装置入口、A/Cブレンドタンクである。又、保温トレースが必要なものとしては、主機関FO管、FOこし器、FO戻り管、FO供給ポンプ配管等である。
 加熱温度の目安になる管理温度標準値を燃料粘度別に4・2表に示す。
 
4・2表 管理温度標準値
(拡大画面:31KB)
 
 また、粘度・温度関係図を4・4図に示す。
(3)ヒートトレーシング
 ヒートトレーシングは、C重油焚き主機関、A/Cブレンド重油焚き補機関のFO管系に行われる。トレーシング部分は、サービスタンクより機関までのFO管と機関よりミキシングチューブまでのFO戻り管に施行されるのが普通である。
 トレーシング方式としては、蒸気、温水、熱媒液を通す鋼管又は銅管をFO管に沿って抱かせ、その上に保温ラッキングする方式となっている。
(4)保温ラッキング
保温ラッキングは、B、A/C及びC重油FO管系全般、加熱するFOタンク群、FO及びLO清浄機、ミキシングチューブ等の機器はもちろん、弁、フランジに至るまで施工するのが普通である。
 また、加熱に必要な蒸気、温水、熱媒液系統の機器、管系の全般に施行される。
(5)粘度管理
 高粘度燃料油の導入に伴い、必然的に燃料加熱の是非が機関部乗組員の重要な管理業務となってきた。すなわち燃料温度の管理の良否が、燃料粘度の変化に直結し、その結果は即、主機関燃焼の良否や加熱のために費やされる燃料コストに跳ね返ると共に機関の保守費用に影響を及ぼすこととなるので注意を要する。
 
4・4図 燃料油用粘度−温度図
(拡大画面:151KB)
 
 この図から燃料油の温度変化による粘度変化の関係、大型バーナの燃焼に適する粘度範囲、ディーゼル機関の適正噴射粘度、ポンプ流動性の限界などを求めることができます。
 特に燃料油の粘度、温度関係は燃料油の加熱温度を知るときなどによく利用されるものてす。たとえばInter mediate Bunker Fuel #15(レッドウッドNo.1、@50℃で600秒)を燃焼に適する粘度に加熱するためには本図から100〜105℃にすることが必要となります。
 







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