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2 長坂町の特徴・良さ
(1)自然環境及び景観など
 住民にとってはとかく当たり前となっている本町の景観は、旅行者、写真や絵画などの愛好家などからは素晴らしい資源として評価されています。アンケートなどでも、本町を町外の人々に紹介する際八ヶ岳を語る住民が多く、また、次代に受け継ぎたいものとしてオオムラサキや里山などの自然環境や湧水などをあげる住民が多かったです。
 そうした本町のすばらしい自然環境や景観資源は、田舎暮らしブームや都会人の一戸建て願望などを背景に、東京都などからの移住、別荘地としての需要を高めております。しかしながら、それに伴う森林伐採やごみの不法投棄などの自然破壊が危惧されています。アンケートなどからは、計画的な別荘開発を求める声や、条例などによる開発規制の必要性があげられています。
 なお、住民の誇りである自然環境や景観の維持と計画的な土地利用を推進するために、一部地区で住民が主体的に土地利用・活用の研究会を行っている貴重な事例を見受けることができます。このように自らの地区(集落)の明日への展望を住民自身が主体的に考え、活動する風土が多くの地区で芽生えることが期待されております。
 
(2)名水とオオムラサキ
 本町のキャッチフレーズである「名水と国蝶オオムラサキの里」に表れているように、三分一湧水をはじめとした湧水群とオオムラサキは町のシンボルとなっており、アンケートなどからも示されているように、住民の誇りとなっています。
 「名水と国蝶オオムラサキの里まつり」や「名水とオオムラサキの里マラソン大会」など名水とオオムラサキを冠とした様々なイベントを通じ、町内外の交流を行っており、町立オオムラサキセンターについては、隣接する「びばりうむ長坂」でのオオムラサキの育成、「森林科学館」での木材加工や体験教室が行われており、県内外のメディアに紹介されているのも手伝って、来場者数は年々増加しています。アンケートなどでも肯定的な意見が多く、住民の誇りとなっている施設といえます。地域住民の環境教育・啓蒙活動に貢献するとともに、小学校の総合学習への活用を通じ、町内外の教育・青少年健全育成に貢献しています。今後は、住民の利用率向上や子どもだけでなく幅広い世代の利用率向上が求められており、アンケートでも、住民を含め利用者に愛着を持たせることがより地域に根付くために必要であると回答しています。
 町の観光資源でもある三分一湧水をはじめとした湧水群については、現在(仮称)三分一湧水館の建設を含めた周辺地域の環境整備が進められています。水源周辺の環境保護及び水質維持、交通アクセス、住民の積極的な活用などの検討を行い、観光、教育面をはじめ総合的な活用が期待されています。アンケートでも観光のみでなく、自然環境保護学習・啓蒙を目的とし、本町の特徴である自然環境の良さというイメージを損なわないよう、自然環境に配慮した施設づくりが期待されています。
 以上の湧水群とオオムラサキという他地域ではまれである貴重な資源は、八ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、富士山その他の山々の眺望に恵まれていることとともに、本町が、次代に引き継ぐべき貴重な資源として、多くの住民に認識されております。すなわち、町としての個性・長坂らしさ(町のアイデンティティ)を表す重要な資産といえます。
 
(3)都市基盤・公共施設など
 本町の道路整備状況(改良率及び舗装率)、下水道普及率は周辺市町村と比較しても高く、全国の類似団体平均を上回っています。これら基盤整備面では、本町は、今日すでに、高い水準を確保しているといえます。しかしながら、JR長坂駅周辺商店街前の道路をはじめ狭隘な道路が現存することや町域全体にわたりまだまだ夜道が暗いことなど交通関連では今後とも整備を要することが多々ありますし、アンケートなどにおいても改善・整備を要するとされた道路が具体的に多々指摘されたところです。また、高齢化の進行を考慮しますと、JR各駅や主要公共施設のバリアフリー化の促進も大きな課題となっていると思われます。
 県立高等学校をはじめ県立農業大学校などの高等教育機関、長坂警察署や山梨県酪農試験場などの官公署、JRの駅が3カ所、特別養護老人ホーム・老人デイサービスセンターや広域の中核医療機関である山梨甲陽病院があることなど、周辺町村にまたがる広域的機能を担っている機関や施設が多々立地しております。このことは、本町の位置的中心性・中核性の高さを物語っています。また、本町では、地区毎に保育所が整備済みであり、また、高齢者向け町営住宅、三世代交流の家などの施設も整備済みで、本町の地域特性の一つである少子高齢化への対応も施設面では高い水準を誇っております。
 
(4)特産品など
 アンケートなどでは、町の特産品や町外に持参するお土産として、果物や野菜、米、漬け物、そばなどの農産物、最中、ヘボ(蜂の幼虫)などがあげられておりますが、町外で購入したものをお土産として持参することも多いと回答している方もいます。このことからもわかりますように、全般的には量が少なく、知名度もいま一歩のままにあるため、特産品や観光土産について、本町は、さらなる工夫が求められている状況にあるといえます。
 近年、ブルーベリーなどが積極的に栽培されており、品質面での評価は高いが、まだ量産体制が未確立のままにあります。また、ブルーベリー製品のみでなく巾着やTシャツなどのオオムラサキグッズなどの販売箇所・売り場の少なさも、それらの知名度アップの妨げとなっていると思われます。
 
3 交通
 町内には、JR3駅(長坂駅、甲斐小泉駅、日野春駅)、中央自動車道長坂インターチェンジがあり、JRでは特急利用で東京〜長坂間約2時間10分、高速バスでは東京(新宿)〜長坂IC間約2時間20分です。長坂駅と長坂ICは町内外の住民との結節点となっており、アンケートなどでは、首都圏への交通アクセスの良さは、本町の住みやすさの一つにあげられています。(図表2−3参照)
 本町住民の乗用車保有台数は平成12年3月末において3,580台、乗用車保有率103.1%(東洋経済『地域経済総覧2002』より)と、1世帯1台以上所有していることになります。また、周辺町村の乗用車保有率も100%を超えています。
 また、町内および近隣地域を結ぶ公共交通機関としては、本町を結節点として、山梨交通バス及び長坂町営バス、高根町営バス、大泉村営バスの複数のバス路線が運行されており、通学や通勤、買い物を中心に利用されています(図表2−4参照)。アンケートなどからも町内の道路拡幅を望む声が多く、在宅高齢者や子供などの交通弱者への交通手段確保などの課題もあります。
 
図表2−3 主要広域交通網(JR、中央自動車道)
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資料: 南アルプス北部観光協議会・県立南アルプス巨摩自然公園運営協議会資料より引用
 
図表2−4 峡北地域バス路線図
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資料:(財)山梨総合研究所資料より引用







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