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2. 茨城キリスト教大学との連携・協働の取り組み方向性
(1)主として大学等が地域に提供・参加して実施するもの
(1)拠点性を高めるために(参加、共同利用)
ア. 生涯学習サービスの提供拠点
学生の教育という生涯学習の一端を担う大学の機能を有効に活用し、市民主体の生涯学習活動である「ひたち生き生き百年塾」との連携を深め、また、茨城県の生涯学習事業の積極的な取込みを図りながら、大学を積極的に開放することが重要である。
積極的な開放によって、地域における大学の存在価値をPRすることができるとともに、参加した人たちの満足感が大学に対する評価や認識として深まり、生涯学習の拠点として大学への依存が高まることによって、さらに拠点性を求めることにつながっていく。
 
(想定されるメニュー)
○「ひたち生き生き百年塾」との連携・協働強化、企画・調査等への参画
○茨城県弘道館アカデミー事業の講座時間増への対応
○県民大学における移動講座時間増の受入(固定開催を含む。)
○茨城ゆうゆうカレッジを含む専門課程(中級、上級)の設定
○専門知識の向上や就職に結びつく実務的なリカレント教育の推進
○生涯学習参加を支援するボランティアセンターの設置
○海外からの留学生による異文化交流講座やイベントの実施
○各種生涯学習情報を発信するデータベースセンターの検討
 
イ. 研究・開発の推進・交流拠点
大学における研究・開発は存在価値として重要な部分であるが、さらに地域の課題に密着した研究・開発テーマを掘り起こし、地域と大学の接点を増やすとともに、その成果を広く伝えていくことが重要である。
その実施によって、地域の各種団体や住民との連携意識が高まるとともに、大学が何を行っているのか、行っていることが地域に関連し、地域の役に立つという理解を得ることによって、大学の必要性が身近に認識され、新たな交流の機会を増やしていくことになる。
 
(想定されるメニュー)
○地域研究を毎年1テーマ以上行い、継続的な取組を実施
○行政や企業との連携・協働を深め、具体的な共同研究・開発を実施
○研究情報の公開と交換(情報の共同利用)
○教育関連の学習及び資料に関するソフトの共同研究や開発
○福祉栄養などの専門知識を活かし、学術的な提言機会の設定
○他学科との情報交換による、必要とされているデザイン研究・開発
○地域と連携・協働したカウンセリング機能の充実と研究・開発の推進
○設立予定の看護学部を活かしての新たな研究・開発への着手
○ボランティアの活動や情報取得を支援する研究・開発の推進
○企業等の海外研究員等の子供に対する教育機能の拡充
○NPOなどの創設・運営に関する研究と実務での相談窓口
○大学外への研究・開発情報の積極的な広報の実施
 
(2)大きなマンパワーを活かしていくために(派遣・参加)
大学には多くの学生や教員がおり、学部・学科の特性による専門知識や技能を持つとともに、各種地域活動を支援し担っていくマンパワーとしての大きな資産を有しているが、この資産が地域活性化にとって非常に有効であるということを、大学及び大学以外の組識が認識することが重要である。
地域との交流を深め、連携・協働を強化して大学への認知性を高めるとともに、理諭や情報に社会での経験をプラスし、社会とつながった教育の推進という位置づけを持ち、地域活動へ積極的な参加(フィールドワークやボランティア)をすることによって、地域が大学の重要性を実感することになる。
 
(想定されるメニュー)
ア 専門知議を活かす活動
○行政計画への委員やアドバイザーとしての参加
○行政や企業での講演会の実施や研修講師の派遣
○生涯学習活動への講師やアドバイザーとしての参加
○コミュニティ課題解決のための地域団体への参画、相談受付
○教育相談へのアドバイス、研究委員参加、人材育成
○カウンセリング活動の地域へのPRと開放
○福祉事業等における判定・評価作業等への委員参加
○地域にあった総合学習内容設定のための研修会の開催
 
イ 体験により教育や研究内容を深める活動
○学生のアシスタントティーチャーとしての学校活動参加
○総合学習や自由研究などでのアドバイザー、相談窓口の設定
○児童生徒との年齢格差が少ない特性を生かした教育関係相談員への参加
○母国文化紹介授業などの国際理解教育への支援
○福祉現場等へのボランティア(授業の一貫)としての参加
○看護学部の専門機能を生かした施設訪問・援護の実施
○幼児教育(幼稚園、保育園、児童館等)への訪問、遊戯指導の実施
○学童保育施設への訪問、学習指導、お楽しみ会の実施
○各種講演会、イベント時における一時保育システムの整備
○海外からの留学生による教育現場(異文化交流)、イベントヘの参加
○市街地活性化、商店街活性化等のイベントに関する参加の助長
 
(3)施設・設備の提供(共同利用・開放)
大学には、これまでに述べてきたソフト部分での資産(専門知識、研究機能、教員や学生のマンパワーなど)のほかに、緑の多いゆとりある広い敷地や整備された施設環境というハードも有している。
公共施設以上の整備された環境や機能を持ち、一部の関係者や施設開放を知る人たちは有効に利用しているが、誰でもが情報を知り利用できるようになることによって、地域に大学が存在することの有意義性を理解し、新たな交流機会や事業を生むことにつながっていくこととなる。
 
(想定されるメニュー)
ア 施設における共同研究、共同利用の推進
○教育や青少年相談に関するカウンセリング手法の共同研究
○言語文化研究所を中心とした国際理解教育に関する共同研究
○国際交流を実務的に推進していくための共同研究
○行政、企業、地域課題の掘り起こしによる共同研究の逆提案
 
イ 図書館、情報センター、その他の施設の開放
○公立図書館とのネットワーク化による相互貸出
○受験生などを中心とする学習室としての施設開放
○情報センターにおける生涯学習情報等の閲覧空間の開放
○月例コンサートの開催などによる地域住民の呼び込み
○大学独自企画によるIT講習会の開催
○児童教育ソフトとしての読み聞かせ会等の開催
 
ウ スポーツ関連施設の開放
○生涯学習事業と連携・協働したスポーツ教室の開催
○大学主催によるオープン参加のスポーツ大会の実施
○その他、大学敷地内を公園、遊歩道としての開放
 
(2)地域が大学等に提供・参加して実施するもの
大学が地域に対して提供・参加できるものに対し、地域から大学に対して提供・参加できるメニューは、全国の事例をみてもあまり多くのものをあげることは難しい。
これは、人材においても施設においても大学自体が一つの世界として充足する環境を有していることと、地域、特に行政に関しては、人材でも施設でも大学に対する提供・参加というメニューが、地域全体における各種団体と同じ切り口になってしまう特性によるものである。
ただし、地域に大学が存在し、その人材や施設の有効性に関する認識は高まっていることから、社会環境が大きく変る中で新たな地域活性化を検討する時、地域や行政が大学に提供・参加するべきメニューは、今後ますます増えていくものと思われる。
 
(想定されるメニュー)
(1)拠点・機会の提供(参加・共同利用)
ア 各種実務現場における現場実習生の受入
○義務教育、幼児教育、学校給食共同調理場、郷土博物館など
○高齢、児童、障害福祉の施設など
○看護学科設立後においての関連福祉施設など
 
イ インターシップの受入れ
○市役所における地方行政実務など
○それ以外の民間施設、企業などとの調整(協議会等)
 
ウ 研究フィールドの提供
○行政計画に関する日常的な共同研究
○大学が望む研究課題対象との調整
 
(2)人材・マンパワーの提供(派遣・参加)
○大学への行政特別講座の講師、非常勤講師としての参加協力
○年間を通じての各行政分野の職員による講義開催
○大学における研究に対しての関係職員派遣
○他自治体の行政情報提供など
 
(3)施設、設備の提供(共同利用、開放)
○大学の施設整備に合わせた周辺地区環境の整備協力
○国際交流に配慮した教育・生活利便・居住環境の充実
○授業等での公共施設等の利用に対する協力
 
(4)財政的な協力体制の提供
○寄附講座(検討課題の依頼による研究)
○共催による講座やイベントの開催
○国・県の各種施策の誘導







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