日本財団 図書館


(3)国分寺市と東京経済大学の事例
ア. 東京経済大学の概要
 東京経済大学は、明治33(1900)年に大倉喜八郎が当時の赤坂葵町(現在の東京・虎ノ門「ホテルオークラ」隣接地)に創立した大倉商業学校を前身としている。以来、大倉高等商業学校(大倉高商)、大倉経済専門学校を経て、昭和24(1949)年に東京経済大学へと発展した。
 東京経済大学の組織の概要は、以下のとおりである。
 
図表4−5 東京経済大学の組織概要
名称 東京経済大学
設立 1949年
学科及び定員数 経済学部490人 経営学部510人 コミュニケーション学部150人 現代法学部200人
教員数 教授96人 助教授37人 講師315人 (平成14(2002)年12月現在)
学生数 7,804人 (平成14(2002)年12月現在)
アクセス 新宿からJR中央線と西武線の国分寺駅(中央線特快で19分)。
資料: 東京経済大学ホームページ、Yahoo 大学情報ステーション http://edu.yahoo.co.jp/gambare/daigaku/kantou/prv/2760/campus.htmより作成
 
 現在、以下の地元自治体と生涯学習機会提供において連携・協働が行われているほか、多摩アカデミック・コンソーシアム(略称「TAC」。5大学による協力機構)を、東京経済大学、国際基督教大学、国立音楽大学、津田塾大学、武蔵野美術大学で組織化している。
 
イ. 国分寺市の概要
 国分寺市は、東京都のほぼ中央に位置する。東は小金井市、南は府中市と国立市、西は立川市、北は小平市に接している。市域は東西約5.68km、南北約3.86km、面積11.48km2、大部分は武蔵野段丘上のほぼ平坦地である。
 交通としては、JR中央線・武蔵野線、西武国分寺線・多摩湖線が縦横に走り、なかでも国分寺駅は多摩地域の交通の要衝となっている。
 国分寺市の概要としては、以下のとおりである。
 
図表4−6 国分寺市の概要
名称 東京都国分寺市
人口 106,554人(平成12(2000)年3月現在)
世帯数 48,020世帯(平成12(2000)年3月現在)
市内の大学等 東京経済大学
特色 東京の衛星都市である。「健康で文化的な都市」を目標に、駅周辺の整備や文化財の復元に取り組んでいる。災害の起こりにくい都市環境づくりを目指す。
資料: 国分寺市ホームページhttp://www.city.kokubunji.tokyo.jp/20toukeidata/20toukeidataflame.htm
「都市データパック2002年版」より作成
 
ウ. 連携・協働事業の概要
(ア)連携・協働の経緯
 1980年代初め(昭和56(1981)年頃)、市長が大学学長に対して、本市内唯一の大学として包括的な協力を要請し、大学がこれを受け協定を交わした。
 昭和57(1982)年度には、「市民大学校」が9月から12月の土曜日の午後に開催され、「地域に開かれた大学づくりと、市民の学習意欲の啓発を目途に東京経済大学との共催事業」として第1回が開催されるに至った。昭和59(1984)年度からは、「一般コース」「専門コース」(全5回2コース)に分けて開催になっている。
 一方、昭和60(1985)年度からは「国分寺市委託東京経済大学特別科目聴講制度」が発足し、聴講生19人が参加したことを始めとし、昭和61(1986)年度には、現行の「市民大学講座」の名称となり、従来コースのほか、「専門コースII」のワープロ講習も始まった。
 平成14(2002)年度には、勤労世代を意識した公開講座として「第1回市民サテライト・カレッジ」を地元のJR国分寺駅の駅ビルに開講した。
 
(イ)個別事業(連携・協働の特徴)
 具体的な連携・協働事業の内容としては、以下のとおりである。
 
【大学と市】
・市民大学講座
国分寺市教育委員会と共催で実施。
・サテライト・カレッジ(地元駅ビル)
・国分寺市委託特別科目聴講生制度
大学と市が学費を負担。
 
【大学】
・特別企画講義
・葵友会(きゆうかい)
本学の卒業生の同窓会が主催するオープンカレッジ(都心開催)。一般参加も可能。
・高校との連携
高校生対象の講義を受講。
 
(ウ)本連携・協働事例の特徴
 連携・協働事業の成功要因としては、大学が行政の信頼を獲得していることや、企画検討と確定をするに当たって、緊密な調整が行われていることである。
 実務的には、まず大学が次年度の企画案を検討立案し、行政からは、市民の広範な参加を得る観点から修正意見や提案をする方式となっている。ややもすると、大学の企画提案は豊富な法律や経済系の教員を活かし、社会科学系の専門講座の企画に重点を置きがちである。市行政と連携して事業を進めることにより、「女性をはじめとする広範な市民各層の関心を捉えて参加規模を向上させる。」という企画づくりに効果を発揮している。
 最近では、大学からの当初企画案が市行政からの提案により、市民の広範な参加を得る文化教養分野の講座テーマなども織り交ぜた、新たなプログラムに改訂され、成果を達成している。
 今後の課題・対応方向は、次の3つである。第一は、上述の「勤労者向けのサテライト・カレッジ」のカリキュラムについて、より実務的な内容の充実に努め、勤労者にとって魅力的な内容のものにすることである。第二は、「受講生の固定化と新規開拓」のバランスをとりつつ、より広範な市民層の新規参加の掘り起しとそれに対応したコンテンツ開発を拡充することである。第三は、都立国分寺高校や早稲田実業高校との連携事業を模索していくことである。これらの点は特に市行政からの要請が強い。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION