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4. 市民生活・活動
(1)文化活動
 日立市では、以前から大企業が従業員のための文化・芸術・スポーツなどの同好会・サークル活動に助成金を支給し奨励してきた歴史があり、退職した市民がまちの文化活動の主力となり盛り上げてきた特徴がある。その現れが日立市の芸術祭であり、今年で38回を数え、他市に例をみない絵画や書道等の芸術作品が多種多数出展されている。
 近年の課題としては、文化協会所属の団体の加入者が減少してきており、会員の高齢化も進んでいることなどから、今年度、小・中・高校生の文化の後継者づくりを目的として、文化体験プログラム支援事業なども動きだしている。
 
(2)生涯学習(ひたち生き生き百年塾)
 昭和61(1986)年6月、公募の委員を含めた17名で構成する「ひたち生き生き21生涯学習市民会議」が発足した。約2年間をかけて日立市民の生涯学習の基本的な考え方や進め方について検討を重ね、市民の視点と市民のペースで、市民が実践できる市民の生涯学習推進計画「ひたち生き生き百年塾プラン」が策定された。昭和63(1988)年3月に日立市長に提言され、同年8月に市民と行政が一体となった「ひたち生き生き百年塾推進本部」が発足した。以来、150名を超える市民と行政関係者の推進委員が、市民主体の生涯学習「百年塾運動」を実践してきている。
 百年塾の特徴的な活動は、市民教授の登録制度であり、分野は選ばず何か得意な事がある人は誰でも市民教授として登録できる。現在、市民教授は587名登録され、登録されている分野は多種多様で、市内はもちろん市外の登録者もいる。何かを学びたい、活動したいと思っている人は誰でも、百年塾サロン・公民館への問い合せや、市内の幼稚園、小学校、中学校、公民館、コミュニティセンターに配布されている「市民教授名簿」により、指導分野・連絡先などの情報を得ることができる。
 こうして市民同士がいつでも、どこでも、お互いに学び教え合う共有システムを構築し、市民一人一人が自分を高め、コミュニティや団体、学校や企業のまちづくり活動を活発にすることが百年塾の目指すところである。
 また、百年塾推進本部は、百年塾活動を地域だけでなく、学校・企業にも普及させるため、様々なPR活動、地域活動の支援などを行っている。
 
(3)市民活動団体(コミュニティ活動)
 日立市のコミュニティ活動は、昭和49(1974)年に茨城国体が開催されるのに際し、昭和46(1971)年行政主導による花いっぱい・河川をきれいにする環境美化運動から始まっている。この活動の実践が、「きれいなまちづくり」や「住みよいまちづくり」を進めるための「市民運動」への関心を高め、この気運を高めていくため、昭和50(1975)年7月「日立市民運動推進連絡協議会」が発足した。その後、行政主体から各学区主体の活動へと変化していき、自分たちの住む地域へのまちづくり意識を高めながら、地域に根ざした活動が展開されてきた。平成元年に「日立市民運動推進連絡協議会」を「日立市コミュニティ推進協議会」と名称変更し、さらに活発なコミュニティ活動を推進している。
 コミュニティ組織は、ほぼ小学校区をその範囲として、22地区に分かれ、公益的な活動を行う任意の組織という形で運営されている。一般的に、事業計画は各地区の総会によって決定され、その決定に沿って各担当部門が各種活動を企画・運営している。
 市民自らの生活に関わる、環境問題、福祉活動、ごみ、自主防災といった内容の事業活動に対し、市民が自主的・主体的に関わり、積極的な事業活動が各地で展開されている。そのひとつである「塙山学区住みよいまちをつくる会」は、その活発なコミュニティ活動が認められ、「平成9(1997)年度ふるさとづくり大賞(内閣総理大臣賞)」を受賞した実績を持っている。
 
図表2−16 コミュニティ組織及び活動
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 コミュニティ活動の拠点は、公民館や他の公共施設、会長宅などを利用していたが、コミュニティ活動の活発化や地域住民からの拠点施設建設要望などの声に対応するため、昭和59(1984)年から公民館などの公的集会施設のない小学校学区を対象に、コミュニティセンター建設を進めている。コミュニティセンターは、それぞれの地域の各種団体から集められた人材により運営委員会を結成し、市から管理・運営を委託されている。







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