当時、小型船からの目視では、波高約30cmでアンテナは時おり水面下になることもあったと報告されている。そこで、SARTアンテナ高さが40cmの場合と50cmの場合のハイトパターンも求めた。同じ実測データを重ねて図5.2−38および図5.2−39に示す。
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図5.2−38 SARTアンテナ高さ40cm場合の ハイトパターンと実測データ
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図5.2−39 SARTアンテナ高さ50cmの 場合のハイトパターンと実測データ |
またビデオテープに記録した映像の例を図5.2−40に示す。実際の映像とは、白黒が反転している。
図5.2−40 ビデオテープに記録した映像の例 |
携帯型SARTの視認性と受信電力の定量的な計測を行なうため、小型ボートでSARTを曳航し、実水面における観測を行なう。以下に実施要領および結果を示す。
5.2.6.2.1 試験の実施要領
実施日:平成15年2月16日 天候:曇り時々雨 波高:約30cm〜50cm
実施水域:霞ヶ浦
レーダ車の停車位置およびSARTを搭載した小型ボートの概略の動きを図5.2−41に示す。
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図5.2−41 観測位置の概略図
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携帯型SARTは部分的には開発が完了しているものの、統合・一体化されていないため、胴衣装着用SARTの送受信感度を変更して試験用SARTとすることとなった。アンテナは円偏波用ヘリカルアンテナである。試験用SARTは浮体に取り付け、小型ボートで曳航してレーダとの距離を変化させ、
・レーダ映像上で視認可能な距離
・距離の変化に伴う受信電力の変化
の観測を行なう。
陸上のレーダ車において、レーダ映像のビデオ記録とともにディジタル・オシロスコープにより定量的データを記録する。
1.試験の概要
試験用の携帯型SARTは、胴衣装着用SARTの送受信モジュールに約18dmのアッテネータを組み込み、最小受信感度を−37dBm、送信出力を10mWに減衰させて、携帯型SARTの送受信モジュールと等価にして用いた。この試験用SARTを浮体に取り付け、図5.2−41の矢印のように小型ボートで曳航した。その際、試験用SARTが小型ボートの陰になったり、曳航によって傾いた浮体の陰にならないように注意した。小型ボートの動きと浮体に取り付けたSARTの高さなどを表5.2−20に示す。
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SARTの高さ |
小型ボートの移動 |
観測(1) |
20cm |
レーダ車前から、約1.3マイル直進しUターンして戻る。 |
観測(2) |
1m |
レーダ車前から、約2.0マイル直進しUターンして戻る。 |
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計測システムは、5.2.6.1.3.3レーダ実験車の観測結果の項で掲げた内容と同じである。
2.結果
レーダ映像上で視認可能な距離は、高さ20cmのとき約1.3マイル、高さ1mのとき約2マイルであった。しかし高さ1mでの観測時は、20cmの観測時より風雨ともに強まっていたため、一概には比較できない。
ビデオに記録したレーダ映像の一部分を図5.2−42および5.2−43に示す。SARTからの信号は矢印で示す4点である。いずれの場合も風雨による雑音を軽減し、SARTからの信号を見やすくするために、レーダの同調を若干ずらしてある。また小型ボートは距離が遠いこともあり、レーダ映像上には見えていない。実際のレーダ映像はもう少しはっきりしているが、映像をパソコンに取り込んだ段階でコントラストが悪くなり、ここでは少し見にくくなっている。
図5.2−42 アンテナ高さ20cm、距離約1.3マイルのときのレーダ映像
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図5.2−43 アンテナ高さ1m、距離約2マイルのときのレーダ映像 |
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