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5.2.6 実海面試験
5.2.6.1 胴衣装着用SARTの実海面試験
 胴衣用装着SARTのレーダによる視認性を確認するため、次により、実海面試験を海上保安庁の巡視船艇及び航空機(ヘリコプター)の支援を受けて行った。併せて陸上のレーダ車によりSART応答波の定量的観測を実施した。
 なお、本試験においては、監督官庁から「通常のSARTのように12点の応答波の発射は海難と誤解される」との指摘で、12点の応答波を4点に制限する措置を講じて実験局を開設した。
 
5.2.6.1.1 試験の実施要領
実施日:平成14年11月1日(金曜) 天候:雨天 波高:約30cm
実施海域:駿河湾(実海面試験海域図を図5.2−35に示す)
(1)巡視船艇及び航空機の試験海域
 北緯35度00分東経138度40分を中心点とする半径5マイルの海域
(2)レーダ実験車の試験海域
 静岡市大谷境海岸を起点として半径5マイルの線及び陸岸により囲まれた海域
 
5.2.6.1.2 試験の項目及び内容
(1)巡視船艇及び航空機(ヘリコプター)
 試験用SARTは、人体模型に装着した救命胴衣(固型式)に装備して、SART空中線の海面高が10cmになるように人体模型の錘を調整する。この状態で人体模型を漂流させて、巡視船艇及び航空機(ヘリコプター)のレーダ画面でSARTの視認性を次により確認する。人体模型に装着したSARTの浮遊状態を写真5.2−6に示す。
 
写真5.2−6 人体模型に装着したSARTの浮遊状態
 
(巡視船艇)
 観察は、SART空中線とレーダの方位を変えて2通り実施した。
 試験の実施要領を図5.2−32に示す。
 
(拡大画面:75KB)
図5.2−32 巡視船艇による試験の実施要領
 
(航空機)
 航空機の高度は500フィート、1000フィート及び3000フィートの3通りとし、観測は、SART空中線とレーダの方位を変えて2通り実施した。
 試験の実施要領を図5.2−33に示す。
 
(拡大画面:63KB)
図5.2−33 航空機(ヘリコプター)による試験の実施要項
 
(2)レーダ実験車
 試験用のSARTは、人体模型に装着した救命胴衣(固型式)に装備して、SART空中線の海面高が10cmになるように人体模型の錘を調整する。この状態で人体模型を作業船により曳航又は係留させながら、海浜部に配置されたレーダ実験車のレーダ画面でSARTの視認性の確認及びSART応答波の定量的な観測を実施する。
 試験の実施要項を図5.2−34に示す。
 
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図5.2−34 レーダ実験車による試験の実施要領
 
(拡大画面:155KB)
図5.2−35 胴衣用SART実海面試験海域図
 
5.2.6.1.3 試験の結果
5.2.6.1.3.1 巡視船艇の試験結果
 巡視船艇レーダ画面によるSART信号の視認性の確認結果については、表5.2−17に示すとおりで、其々船舶用レーダによる胴衣装着用SARTの最大探知可能距離は、SART信号の強さがCレベルで最大1.8マイルであった。
※ Cレベル:レーダ取扱い者が視認可能なレベル
 
表5.2−17 巡視船艇のレーダによる視認性結果
1. 巡視船
 
 
表5.2−17 巡視船艇のレーダによる視認性結果
2. 巡視艇
 
 
  SART信号の強さ
C:SART信号がときどき見え始める。(離脱時は、見えにくくなる。)
B:SART信号の強さが他のエコーより弱い。
A:SART信号の強さが他のエコーと同程度以上となる。
  M:SART信号が同心円状になる。(エコーの塊のようなリングとなった。)







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