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新生「神戸運輸監理部」のとりくみ
神戸運輸監理部 総務企画部 企画課
 平成14年7月、神戸海運監理部は、近畿運輸局の兵庫陸運支局、姫路検査登録事務所を統合するとともに、企画機能を強化した「神戸運輸監理部」として生まれ変わりました。とりわけ、地方運輸局組織再編の理念である「規制型行政から誘導・調整型行政への転換」「消費者・利用者重視の行政展開」は、神戸運輸監理部も例外ではなく、総務部から総務企画部への組織改正、総務企画部次長、海事交通計画調整官、物流施設対策官の新設、企画課の増員等、企画関係業務体制の強化が図られ、その遂行にあたることとなりました。
 この新体制の下、不十分ながら新しい視点での業務に取り組んできましたが、そのいくつかを紹介したいと思います。
 
(1)公共交通の活性化をめざす調査・検討
 公共交通活性化総合プログラムは、単なる交通計画とは異なり、個別の公共交通機関・サービスについて、観光振興等の地域振興と一体となって、地域密着型で公共交通を活性化するために必要な関係者のコンセンサスを作るものです。
 神戸運輸監理部では、姫路港から家島諸島への海上航路の活性を目指して「姫路港及び家島諸島輸送活性化検討委員会」を発足させて、港の玄関口である港湾の整備や観光振興策を含め、家島諸島全般の活性にもつながるよう行政機関、旅客船事業者、地元自治会、観光協会等の関係者とともに検討をすすめてきました。
 検討事項のひとつであった、坊勢島の玄関である奈座港へ旅客船発着場が一元化整理され、今後は旅客船ターミナルの建設にむけて関係者間の連携が進められることになります。
 今年度末には最終委員会を予定しており、各関係者が取り組む課題、具体策についてとりまとめ、実現にむけて取り組んでいきます。
 
(2)環境負荷低減をめざす実証実験
 地球温暖化問題に対応するため、京都議定書の国際公約にむけての動きが進むなか、運輸部門においても二酸化炭素の排出量削減対策が重要となっています。
 国土交通省では、幹線物流について荷主、物流事業者等の関係者が協力して、計画的に共同輸送化、海運や鉄道へのモーダルシフト等の環境負荷低減策に取り組み、一定の効果が認められるものについて、新たな補助制度を設けました。
 全国で8件が対象となり、そのうち管内事業者が2件の実証実験を展開しています。
 従来、トラックによる陸送を行っていた貨物を海上ルートヘ転換させることで道路交通渋滞の緩和や、交通事故の発生を縮小させる効果も期待されます。
 管内事業者の一例では、コンテナヤードでの荷役待ちによるトラック混雑の更なる緩和も可能となり、港湾作業の効率化にも一役を担うことが期待されています。
 本補助制度は来年度も予定されており、新たな事業者の参加を期待しているところです。
 
(3)「心のバリアフリー」実現をめざして
 平成12年11月に交通バリアフリー法が施行され、高齢者、身体障害者等の方々が鉄道やバス等の公共交通機関を利用しやすいよう環境整備を進めていくことが法制化されました。国土交通省では、法律に基づく駅等のハード整備と合わせて、駅等で交通不便者を見かけた方々が自然に介助できるような「心のバリアフリー」を目指して、「交通バリアフリー教室」の開催をスタートさせました。
 近畿においては、平成14年度に4カ所で計画され、兵庫県もその一つとして、近畿運輸局、神戸運輸監理部、姫路市の共催で、11月9日に山陽電車姫路駅周辺で開催しました。当日は、親子連れや福祉関係の大学生、年輩のご夫婦など47名が参加。3班に分かれ、車椅子・高齢者・視覚障害の3コースを全員に体験してもらいました。地元ラジオ局や新聞数社の取材もあり、駅でも通行者から「来年もあるのですか」と聞かれるなど、「心のバリアフリー」を浸透させていくものとなりました。
 新年度では、神戸港のバリアフリー対応ターミナル「かもめりあ」周辺でのバリアフリー教室を検討しています。
 
(4)総合学習への対応
 学校の週休2日制と合わせてスタートした総合学習に、交通運輸行政を担う国土交通省として交通運輸の視点から協力し、また海事思想を普及していく観点も含め、昨年7月から「出前講座」を開始させました。
 内容は3点で、(1)「ものをはこぶひとをはこぶ」は、輸入品の流れを中心に、フェリー、旅客船など様々な船を紹介、(2)「船のできるまで」は、船ができあがるまでの工程を中心に、船の仕組みを紹介、(3)「船員さんの仕事」は、船員の仕事を中心に船内を紹介していきます。
 ちょうど小学校5年生で貿易を勉強することから「ものをはこぶ ひとをはこぶ」がかみ合い、これまで2つの学校で約200名を対象に実施しました。5年生にもなると、その後の「質問」への対応が大変で、私たちも勉強させられます。これから新年度を迎え、本格実施となるよう宣伝の強化を図っていきます。
 
(5)観光振興、海事思想の普及をめざして
 10月13日、神戸のウォーターフロントを散策するウォーキングイベント「K0BE HARB0R WALK 2002」が開催され、神戸運輸監理部は、事業の後援をするとともに企画面でも参加し、海事思想の普及、海事行政のアピールを行いました。
 近年の神戸を見たとき、震災後の観光入込客数が低下しており、特に「港」「異国情緒」が神戸のイメージでありながらウォーターフロント地区の集客が弱く、これを少しでも強化することにつながる振興策としても重視しました。
 当日は、天気に恵まれ1500人の参加があり、また、ウォークラリーのゴール地点となったメリケンパークでは終日「ラジオ祭り」(参加者8.5万人)が開催されたこともあり、おおいに賑わいました。神戸運輸監理部が設けたテント「海と港のコーナー」では、海のクイズ大会、ロープワーク教室、船舶用品展示会、船長姿の写真撮影会、救命胴衣展示などを催しました。特に神戸港遊覧船の優待券が当たるクイズ大会には次から次に家族連れが参加し、ロープワーク教室には、経験豊富な先任外国船舶監督官、船舶検査官を講師に大人も子供もロープと「格闘」するなど、多くの市民に海・港をアピールしました。また、ウォークラリーの最終チェックポイントとなった神戸運輸監理部前では、企画課長がラジオの生インタビューを受け、神戸運輸監理部の組織と役割を電波に乗せて広くアピールしました。今後もこうした市民へのアピールを大切にしていきたいと思います。







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