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第3回「“宗谷”保存整備検討専門委員会」議事録
日時 平成14年9月13日(金) 13時00分より
   
場所 東京都品川区東八潮3番1号
  船の科学館3階クラウンルーム
   
出席者 徳永陽一郎 委員 池畑光尚 委員 青木栄一 委員 細川泰裕 委員
オブザーバー 前田部長、吉田課長(日本財団)
財団 鳥居常務理事
事務局 小堀部長、福井課長、飯沼課長
 
事務局:8月10日に開催した第2回検討専門委員会に続いて本日第3回目の検討専門委員会を開催いたします。この間、8月20日、23日、31日の3日間、細川委員には猛暑の中“宗谷”の現状調査を実施していただき、また9月6日に徳永委員も交えて検討会を行いました。その現状調査の報告をまず、細川委員よりお願いします。
細川:※細川委員より、別添「“宗谷”現状調査 中間とりまとめ(速報)」に基づいて詳細な報告があった。
事務局:これからの方針として、今後“宗谷”を25〜30年は保存して行きたいと考えている。そこで、ドックでなければできない工事とそうでない工事を区別して考えたい。また、細川委員からも話のあった極力原姿を残して整備を行いたいと考えているが、ただいまの報告にあった11メートル作業艇の修復方針と腐食が著しいブリッジ部分の修復について各先生のご意見を伺いたい。
“氷川丸”は保存目標を誕生より100年と定めたが、“宗谷”についても今まで永久保存と言ってきたが、今後保存目標を定める必要が出てきたと思うが、いかがでしょうか。青木先生いかがでしょうか。
青木:ブリッジについては新しく作った方が経済的であろう。海外の博物館では実物を館内に保存し、実船はレプリカとしている例もある。また、海外の博物館では修理工房を持っていて、補修を行っているところもある。補修すべき個所は補修して、必要なものは保存するという考え方でどうか。
池畑:バルジタンク内などは見えないところはよいが、見えるブリッジや作業艇はできるだけ現姿に近い形で保存したい。また、こうした補修工事の指示書は、十分に業務を把握した人でなければ作れないと思う。
青木:バルジの腐食が激しい2番3番タンクの補修は、実船と同じでなければいけないのか?
細川:幸い、当時の図面が良く残されているのでそっくり復元できると思う。工法は一部異なると思うが、かえって再度設計するとそのほうが費用はかかる。
徳永:11メートル作業艇は、当時作るときもいろいろと、いきさつがあり非常にお金もかかった。現在は、内部を見せているわけでもないし私としては、この作業艇にそれほど深くこだわる必要はないのではと思う。当時の図面に基づいて忠実に復元するほどの必要性はないのではと思う。
事務局:事務局としては、11メートル作業艇は展示効果からも是非設置しておきたいと思っている。ただボートダビットが置かれているだけでは、それが何のためにあるのか子供達には理解することができない。ボートダビットは作業艇と一体なものと考えている。現在のものを補修するか作り直すかの問題だと思う。
徳永:ブリッジについては、内部の機器類はそのまま残す必要があるが、外部については新たに再生しても良いのではないかと思う。
鳥居:ブリッジの件については、当館“羊蹄丸”船内の「青函ワールド」の展示で昭和30年代の青森駅前を再現しているが、エージングという手法で時代を再現している。こうした手法で外部を再生した後、内部の機器類を取り付けなおすのが良い方法だと思う。
細川:内部の機器類を、再び取り付けて元の姿に戻す事は絶対に必要だ。
事務局:ありがとうございました。当財団の今後のスケジュールとしては、今後理事会の承認を受けて、来年度平成15年度の事業として申請をしなければならない。本日を含め、計3回の“宗谷”保存整備検討専門委員会を委員の皆様にお集まりいただいて開催し、去る9月6日には、徳永委員、細川委員にお越しいただいて別添のような「“宗谷”現状調査」報告書をまとめていただいた。さらに、細川委員にはこれに先立って3回詳細な現状調査を実施していただいた。
その結果、当初14億3千万円に近い見積もりが出された“宗谷”保存対策工事を項目毎に、詳細に検討し8億5千万円を算出することができた。
この金額をもって当財団の理事会にかけることとしたい。
鳥居:“宗谷”については、今月末に一般公開開始以来の見学者の累計が600万人に達する。この“宗谷”の保存について、今後どうしていったらよいか各委員にご苦労いただき、感謝申し上げたい。特に、細川委員については夏の猛暑の中、調査にご苦労いただき大変お世話になった。本日の結果を踏まえて、今月末の理事会に議案としてかけたい。また、本日ご出席いただいた日本財団にも心より感謝申し上げたい。







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