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「宗谷保存整備検討専門委員会」議事録

 事業名 海事科学知識の普及啓蒙活動
 団体名 日本海事科学振興財団 注目度注目度5
第1回「“宗谷”保存整備検討専門委員会」議事録
日時 平成14年7月10日(水) 13時30分より
   
場所 東京都品川区東八潮3番1号
  船の科学館3階クラウンルーム
   
出席者 徳永陽一郎 委員
  池畑光尚 委員
  青木栄一 委員
  細川泰裕 委員
オブザーバー 前田部長、吉田課長(日本財団)
財団 神山理事長、鳥居常務理事
事務局 小堀部長、福井課長、飯沼課長
 
 小堀部長より配布資料の説明及び確認があった後、神山理事長より開催に先立って挨拶があった。
 
事務局:議事次第に従って議事を進めることとしたいが、まず各先生方の“宗谷”への思いを、自己紹介を兼ねてお話しいただきたい。まず、徳永先生いかがでしょうか?
 
徳永:昭和31年から36年まで南極観測船としての“宗谷”の建造に、日本鋼管浅野船渠にて海上保安庁の監督官として偶然にも係わることとなり、非常に縁のある船だ。船の科学館で保存されるようになってからも時折様子を見に来ている。それだけに屋外での保存・展示がいかに大変か察するものがある。今後どうするかについて、特に腹案があるわけではないが、各先生のご意見を伺って検討したい。
 
青木:私は、徳永先生のように造船の専門家ではないが、船の歴史に関心を持っており、近年各地で船の保存展示が盛んに行われており、世界各地の保存船を見てきた。いままで、その船に保存すべき価値があるかないかといった、保存のごく初期の段階で意見を述べる機会はあったが、20〜30年と保存されてきた船の検討については、経験がないが勉強させて頂いてお役に立つことがあればと考えている。
 
池畑:私自身横浜国立大学に勤務しているが、来年3月に65歳で定年退職することになっており、現役最後の仕事になると思っている。大学でも、海事技術史等の講義をしており、船の歴史、船の技術史に興味がある。
 “宗谷”については、本日見て回ったが、大変良く保存・管理されている印象だった。まだまだ20年は持つと感じたが、なにしろ屋外の岸壁に係留されているので、腐食が始まったら進行は早いと思う。なにかお役に立つことがあればと思う。
 
細川:昨年まで旧運輸省系の舶用工業会に在籍していたが、その後日本財団関係のマラッカ海峡協議会で建造監督をしている。私が、こうした海事関係の仕事に入ったのは“宗谷”がきっかけである。
 去る、3月9日(日)に“宗谷”を詳細に視察する機会を得た。係留船における共通した一番の問題は雨水の漏入、どこからともなく雨水が入ってくる。船体については、バルジ内の腐食が非常に進んでいる。このままでは、とりかえしがつかなくなるなと感じた。陸上の建築物、例えば桂離宮などは部材の交換や補修をきちんと記録をとりながら行っている。その意味で船の修復・保存については、まだ確立されていないなとの思いが強い。“宗谷”についてはどうするかいろいろと議論して行きたい。
 
事務局:“宗谷”の保存・展示までの経緯を説明するとともに、“宗谷”の払い下げから平成13年度までの23年間に“宗谷”にかけられた費用が総額11億5300万円に達すること、受け入れ当初は塗装を塗りなおすことを中心に実施してきたが、近年では各部の補修を行う工事や作業が中心になってきたことなどの経過説明を行った。
 
 各先生には、今後どこにポイントを絞って保存整備工事を行えば良いかをおたずねしたい。
 なお、現在日本全国に44隻の保存船があるが、このなかで船舶登録を行っている 帆船“日本丸”、帆船“海王丸”、練習船“こじま”の3隻は8年ごとにドライドックで船底の確認をおこなう必要があり、“宗谷”はその必要がないとはいえ、係留以来22年間ドックでの船底の確認は行っていないので、ある時点でドックに入れての検査が必要ではとも考えられる。また、海外における修復・保存についての考え方として、ドイツでは比較的柔軟に新しい技術を用いてでも修復を行うほうが良いとの意見があるのに対し、北欧ノルウェー等ではあくまで当時の技術や材料を使って修復すべきとの意見がある。
 
徳永:お尋ねしたいことがいろいろと出てきた。
(帆船“日本丸”、客船“氷川丸”等の保存開始年等の質問があり事務局より回答した)
 “宗谷”の南極観測船への改造は経験しており、船体が老朽化してゆく過程はある程度推測できるが、船体自体があとどのくらいもつかの検査をしかるべき方法で実施する必要があると思う。
 
青木:広島で保存されている、練習船“こじま”は、ドックに入れての検査は行わずにダイバーを使って要所要所の船底の検査をおこなったようだ。外国においては非常に大きな鉄船の保存も行われており、例えば3万トンの戦艦“テキサス”(1912年竣工)、1810年代の巡洋艦“オリンピア”などが保存されている。また、鉄道車両では国内でも多数が修復・保存されているが、大井川鉄道の例では客車の傷みの進行が早く、腐食が表面に出てきたときには内部の腐食は非常に進行してしまっているといったこともあった。
 
細川:先日“宗谷”を調査させて頂いて、最も気になったのが舷側に取り付けられたバルジの内部状況である。構造材がボロボロになっており、足をかけることもできなかった。現在の技術で補修する事は比較的容易であろうが、保存船として考えた場合、ただ溶接で補修して良いものかどうか問題もある。
 また、ボイラー室等に残る残油の処理や、二酸化炭素等のガス抜きの必要もあり、ボルトが応力集中を受けて腐食から簡単に頭が欠け落ちる事例があるので船外に通じる弁等も潰して閉鎖すべきであろう。なお、金属の腐食には温度が非常に影響する。高温の方がより活性酸素が発生することになり酸化の進行が早く、腐食が進む。“宗谷”のバルジも南側(左舷)の方が傷みが激しいのは、直射日光を受けて高温となるためであろう。
 
池畑:家でも船でも、老朽化や腐食が始まるのは水周りからだ。その点、“宗谷”は船内での水の使用や汚水の排出をしていないので良いかもしれない。“氷川丸”では、レストランの営業など水を使用する個所が多く大変だと思う。
 
徳永:海水につかっている船体部分で特に悪くなっているところがないだろうか。
 
事務局:喫水線部からかなり上部の右舷船首部にかなり薄くなっている部分が見受けられる。
 
細川:船体の板厚については、定期的にポイントを定めて超音波測定器を用いて内部より計測する必要があると思う。喫水線上下1mが最も厳しい環境で注意を要する。
 “氷川丸”では、バラスト移動で船体を左右に傾斜させ、喫水線上下1mの保守・整備を行っている。
 
事務局:細川委員の前回の調査で、“宗谷”船内にウォーターバラストがまだかなり多く積まれているという報告があったが、これは今後腐食の原因になってくると思われ、早い時期に固定バラストに置き換えた方が望ましいのではと考えているがいかがであろうか?
 
徳永:おっしゃるとおりかもしれない。
 
細川:補修にあたって新しい鋼材を使用すると、塗装してもツヤなどの質感が異なってしまう。こうしたことにどのように対応するかも問題だ。
 
事務局:他にも木甲板の損傷も進んでいるが、木甲板を張る職人、特にホーコンを打ったりピッチを流し込むことのできる職人が少なくなり、補修が困難になってきている。
 
徳永:船体各部や木甲板の補修を含め、昔のようにして補修するのは困難ではないか。昔のとおりに保存していますというのが理想かもしれないが、もはやそれは無理だと思う。ある程度割り切って、目的はかつてと同じになるように、ただし方法や材料については現実的に対応しても良いのではないか。
 
細川:技術が失われつつある環境ではやむをえないかもしれない。
 
徳永:そうした、失われつつある技術がそのままで良いのかも疑問ではある。
 
事務局:近々に、委員の先生方には“宗谷”の現状をご覧いただきたいと思う。
 
徳永:ご説明で、バルジ内部の腐食が予想外に進行しており、危険な状態となっていることが分かった。早い時期に、私も現状の確認をしたいと思う。
 外板の板厚の計測は是非行うべきだと思う。
 また、補修の方法は過去にとらわれず、溶接を使うなどより現実的な方法で対応してもよいのではないだろうか。
 
事務局:
次回の、第2回「“宗谷”保存整備検討専門委員会」は、8月10日(土)10時からとする。
次回は、船内やバルジ内部の視察を行うので、ノーネクタイ及び軽装でお集まりいただく。事務局で、作業衣、ヘルメット、軍手等を用意する。
次回は、“宗谷”の一般配置図等の図面を事務局で用意する。







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