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No.2/36
船のしくみI
1. 船の抵抗(ていこう)
 船が水上を走るとき、船体は水や空気によりその進行を妨げようとする力(抵抗)を受けます。抵抗には色々な種類のものがありますが、とくに大きなものが「まさつ抵抗」と「造波抵抗(ぞうはていこう)」です。
 「まさつ抵抗」とは、船の周りの水が船体の表面をこすることによって生まれる抵抗で、低速で走る船が受ける抵抗の大部分はこのまさつ抵抗です。また、船が長い間ドックに入らず船底が汚れて、海草や貝などが付着したりして船体の表面がなめらかでなくなると急激に大きくなります。「造波抵抗」とは、船首や船尾で波をつくることによって生まれる抵抗で、高速で走るコンテナ船、フェリー、客船が受ける抵抗として大きなものです。
 船の抵抗にはこの他、タンカーのように太めの船で船体の周りや後流に渦を作ることで生じる造渦抵抗(ぞうかていこう)、水面上に高い構造物のある客船やフェリーで馬鹿にならない空気抵抗などがあります。
 
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2. 球状船首(きゅうじょうせんしゅ)(バルバスバウ)
 浮き上がった船の船首を見ると先端に球状をした突起物を見ることができます。これは、球状船首(バルバスバウ)といわれ、球状船首を理論的に研究し適正な船首の形状を求める技術を開発したのは、東京大学の乾崇夫(いぬいたかお)名誉教授のグループです。この球状物を船首水面下に付けることにより、船首が起こす波と、球状部分が起こす波とがおたがいに打ち消しあって船首から波が立たなくなり、波の抵抗(造波抵抗)を少なくすることができ普通の船首の船よりもスピードを出すことができます。
 
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3. 船の重さ(トンの起こり)
 船の大きさを表わすのに、古くからトンという単位が用いられてます。商船のトン数は、税金を取り立てる目的から15世紀の初め、イギリスで初めて定められたといわれます。そのころ、イギリスでは商船に税金をかけるため酒樽を何個積むことができるか?ということで税金の額を決めていました。この酒樽の容積が40立方フィートで、酒をいっぱいにすると、2,240ポンドの重さがありました。この樽を空の時にたたくとタンタンと響いたので、タンと名付けられ、そのタンがなまって酒樽1個の重さを表わす単位をトンというようになったといわれます。
 容積を表わす総トンと純トンは、航海のために必要な場所を除外した船の内容積を100立方フィート(2,832立方メートル)を1トンとして測ります。純トンは、除外する場所が総トンより多いです。排水トンは、満載した船が押しのけた水の重量(船の自重に等しい)をグラムトン(1トン=1,000キログラム)で表わし、載荷重量(さいかじゅうりょう)は満載(まんさい)できる貨物の重量を同じくグラムトンで表わします。
 
トンの種類
トン数の使い方 トンの種類 使われる船の種類
船の重量を表わすもの 排水量(排水トン) 軍艦(あらゆる船にある)
船の容積を表わすもの 総トン、純トン 客船(あらゆる船にある)
貨物の重量を表わすもの 載貨重量(載貨重量トン) 貨物船(油槽舶(ゆそうせん)など)
貨物の容積を表わすもの 載貨容積(載貨容積トン) 貨物船(バラ積み船など)
 
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