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3.3 船舶の河川内航行における安全性の調査
 船舶の河川内航行における安全性については、荒川及び隅田川を実際に通航している関係先3箇所にヒアリングを行い、項目ごとに整理した。
 また、本項の最後(表−3.3.1)に「荒川における船舶の通航方法」と「海上衝突予防法」を対比した結果を示す。
 
(1)橋梁による死角影響
 荒川に関しては、新荒川大橋による死角影響がある。これは、新荒川大橋の橋脚付近は水深が浅いため、左側を通航する必要があることが死角を発生させる原因となっている。それ以外については、橋梁による死角影響は問題がないことがわかった。
 隅田川に関しては、千住大橋、京成本線鉄橋付近、豊島橋の3箇所の橋梁において橋梁による死角影響がある。千住大橋、京成本線鉄橋については、隅田川が大きく屈曲しているため見通しが効かないことが死角を発生させる原因となっている。これら3箇所の橋梁以外は、橋梁による死角影響は問題がない。
 今回の調査では、荒川及び隅田川の橋梁による死角影響は合計4箇所であり、図−3.3.1に示す箇所が死角影響の存在する箇所である。
 これらの箇所では、安全確保のために死角影響のある箇所の手前から船首に見張りを立てている。
 
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図−3.3.1 橋梁による死角影響が存在する箇所
 
(2)変針状況
 荒川及び隅田川は、これまで整理してきたように水深が浅く、水深は船舶の通航に大きく影響を与えている。同じ河道でも右岸側、左岸側において水深が異なったり、岸に近い部分では水深が浅くなる。そのため、船舶は河道に沿った針路だけではなく、水深も考慮に入れた針路でなくてはならない。
 隅田川を例にとると、図−3.3.2に示すように、河道に沿う場合()に比べて、水深を考慮した場合(浅瀬部分(図中の)を避けて航行する場合)()は、船舶の変針状況が異なり、右カーブとなる部分でも先に左側に船首を向けなくてはならない箇所もある。
 このように、荒川及び隅田川は船舶の針路が複雑に変化し、通航の難易度が高い河川と考えられる。そのため、船舶の通航による事故が発生しないためにも、利用者が細心の注意を払い船舶を操縦するよう心掛ける必要がある。
 
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図−3.3.2 隅田川における変針状況
 
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図−3.3.2 隅田川における変針状況
 
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図−3.3.2 隅田川における変針状況







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